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見る人と見られる人

イベントでの街角ライブで、


ミユは、電子ピアノを弾いて歌っていた。


野外のまちかど。簡易的な椅子。


まだリハーサルで、


観客席に、人は居なくて。


イベントの開始時間へはまだ遠いのに、

人の流れはあって。


こちらに興味を持たないお客さんがちらほら居るくらい。


そこに、ふいに、

一人、椅子に座った。


じっと、私を見て、

リズムをとって。


黒い帽子、青いシャツ。じっと私を見てリズムをとって。


私は、つい、曲の終わりを繕わずに、途中で演奏を止めて、ほかの楽器の接続を確かめた。


本当なら、リハーサルとはいえ、曲を途中で終わらせたのは、

不自然に思われただろうか。


黒い帽子の人は、椅子を立って、歩いて行った。






ウミネコビールを飲みながら、

カウンターでリリと話す。

「じっと見つめて、リズムをとって。

 それなのに、演奏を急に止めたら、

 『じっと見つめたせいかな?』って、

 傷つくかな?」


「さあね?

 分からないよ。

 人の心なんて。

 でも、まあ、ミユが気に病むことはないよ。

 傷つくのは傷つく人のこころもち次第だから。

 でもまあ、ミユも『演奏を続けたいな』とか『曲の終わりっぽくして切り上げたい』って思ったなら、

 そうしてあげればいいさ」


「次会うかわからないけどね」


「まあ、それは、何だってそうだよ」

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