雨の日のプラクティス
雨音。雨音と風の音が好き。
他のいろいろな不安を、洗い流して、吹き飛ばしてくれるみたいで。
雨の日は、よく眠れる。
昔から、私はそうだった。
ランは窓から外を見た。
雨。暗い空。ガラスを伝う水。
音をたてて、雨は降っていた。
アイとランは、
雨の日も、店内で軽くストレッチと筋トレをしている。
大きく動けないのと、
片付けの手間があるので、晴れの日より時間的には短い。
片付けを済ませて、
ランとアイは店の椅子に座った。
シロが二人の前に水の入ったコップを置いた。
「雨、やまないですね」
ランがはにかんだように笑う。
「私、雨が好きなんです。
変わってるって、言われますけど」
シロは微笑んでうなづく。
「私も嫌いではないですよ。濡れなければ」
アイも笑う。
「ランは、晴れの日よりも雨や曇りのほうが調子がいいように思うよ。
雨の日のほうが、自信があるように見える」
きょとんと、ランはアイを見た。
「そんなに違いますか?」
「自信のあるなしは重要だよ。
本来、生き物は、自信に満ちているはずなんだ。『自信がない』って言うのは欠落をさらしている様なものだ。
自信を持つだけで、動きは善くなるし、直感が動きやすくなる。
自信さえあれば日々を、泰然と生きることが出来る」
「私にも、じしんはもてますか?」
「持てるさ!
私だって根拠なく持ってる。
大丈夫だよ。おそれなくても。なるようにしかならない。
『自信を持って歩けば、世界の美しさを感じる。
自信を失って歩けば、世界の恐怖を感じる』
根拠なく自信を持って生きるだけで、より幸せに生きることが出来るなら、
自信をもって生きたほうがいい。
それに、何があっても、自信さえあれば、たいてい何とかなるもんさ」
「師匠ほど自信いっぱいになれますか?」
「なれるさ! ランは私の弟子なんだろう?」
雨音は少しずつ静かになり、
空は少し明るくなった。
庭の緑に、日の光がさして、少しまぶしい。
「きれいだな」って思った。




