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ていねいなひと
あるいてあるいて。
どこかへ。
歩き続ければ幸せになれると思っていた。
この道を究めれば、幸せな生活が送れると思っていた。
まだ、歩き続けてる。
私はこの生き方を手放せないでいる。
こんこん
お店の扉から、ノックの音。
「はーい、どなたですか?」
「先日、お手紙をお届けしました。
レナと言うものです。
呪い刀のお話をお伺いできませんか?」
「どうぞ」
がちゃり、とカギを開け、
店内に通した。
お客さんの外見は灰色のフード付きのパーカー。
中の服も、灰色や、灰色に近い茶色。
「店主のリリと申します。
レナさんの言う刀は、この刀ですか?」
腰の刀を指す。
「そうです」
うなづく。
「もっと手荒く来られると思ってました」
「皆さんお話を伺うと、
手放してくれる方や、対策を講じてほしいと依頼される方が多いのです。
あのお手紙も、驚かれたかもしれないですが『盗まれたことにする』と言うのが喜ばれることが多くて、あの文面にしています。
様々な事情で呪いの品を所有していて、自ら手放したことにしたくないお客さんも多いので。
私はこれを商売のタネにしているのです。
……サイダーが評判が良いと聞きました。一ついただけますか?」
「良いですよ」




