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舞台設定の結末

シロは、パタリ、と小説を閉じた。

開店まで少し時間が空いて、昔買って読んでなかった小説を読んだ。

「おもしろかった」


「ふうん、もしよければ貸してくれる?」

アイが後ろから話しかけた。


びくり、と一瞬背筋を伸ばして、シロが振り返る。

「独り言に返事しないでくださいよ

 ……まあ、いいですよ」


リリがカウンター向かいから話しかける。

「ああ、それ、ドラマとかアニメになった有名な本だよね。

 5年前の出版だっけ?」


シロはアイに小説を渡しながら、こたえた。

「発売してすぐに買ったんです。

 でも、前半を読んで、悲惨な話になりそうで、

 何となく途中で読み進めてなくて。

 これが原作のテレビドラマの再放送、昨日、偶然最終回を見たんです。

 ハッピーエンドで。

 もしかして結末が違うのかなって思って、

 段ボール箱の底のほうから見つけ出して読みました」


リリがカウンターの中から出て近づく。

「小説もハッピーエンドだったでしょ」


苦笑いして、シロはリリを見た。

「ハッピーエンドでした。愛のあるほのぼのとした小説でした。 

 同じような設定なら、血みどろな陰鬱な展開が多いと思います。

 私は、恐怖と不安から、登場人物たちはバラバラになって、

 傷つけあうんだろうと思ったんです。でも違って。

 ……今読むと、明るく温かい雰囲気なのに。

 きっと、最初読んだ時、恐怖と不安があったのは、私の心の中だったんだと思います」

 

「登場人物たちの中に、愛とゆるしがあるか、恐怖と不安があるか。

 作者の中に、読者の中に」

アイはページをめくりながらつぶやく。


アイが小説の最後のほうのページを開いているのを見て、シロが言った。

「あっ! アイさん!

 結末から読む気ですね?

 最初から読むことをっ、すすめます!」


「私、小説は結末とあとがきから読むんだよ」


「なんと……、しんじられません」

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