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花火の匂い
シロが言った。
「花火ってさ、優しい匂いだよね」
アイが振り返る。
「優しい?」
「うん。なつかしくてやさしい」
ステージイベントが終わり、閉会式。
歓声。
花火の火薬の匂い。
アイがうなずく。
「シロには、きっと、花火に良い思い出があるんだね」
シロが首をかしげる。
「そうなのかな?
みんな、そう感じるんじゃないのかな?
リリさんは?」
「そうだね、なんかわかるよ」
リリがほほ笑む。
アイも優しく笑う。
「うん、そうだね。私も嫌いじゃないよ。
……不思議なもんだね。火薬の匂いだってのにさ」




