始まりの語り
この物語の入口となります。
本編は次話から。
「おや、珍しいのぅ。こんなところまで迷い込んでくるものがおったか」
気付いたらぼくは甘い香りのする木のそばにいた。掛けられた声に顔を上げてみれば、昔の時代にいそうなお爺さんが座っていた。にこにこと優しそうに笑っている。
「誰?」
「おお、爺は誰なのか、とな。たまにこの場所に現れる謎の爺と認識してくれればよいぞ」
この場所……と呟いて周りを見回す。けれど、お爺さんと木の他には何もない。何も見えない。ただ、深い霧の中にいるみたいだった。
「お主がここまで辿り着いたこれも何かの縁じゃろう。どうじゃ、ここで少し休憩していかんか? その間爺がちっと話をしよう。なに、警戒することはない。この爺は無害じゃよ。ただ話を聞いてくれるだけでええ。少なくとも退屈の凌ぎにはなるじゃろ」
そう言われて、お爺さんの隣に座った。
「さて、どこから話そうかのぅ……まずは一人の女子の話じゃ。あの子も自らの力に悩まされておった。
結論から言うとのぅ……ん? おお、これは話してはならんのか。なになに……ねたばれ、とな。意味はよくわからんが、はじめから知りたいのじゃな? そうするとちっと長くなるが良いかの? まぁ、付き合えるところまで付き合ってくれればええ」
――これから話すは一人の少女を中心とした奇縁の物語じゃ




