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一人目

戦闘シーン習作『ガンカタ』

・横幅10メートルの石の回廊を歩く男 石柱がならぶ

・袖口からオートマ2丁

・石柱の影から自動小銃を構えた兵士

・男は歩きながら兵士を倒してゆく

・兵士数を頼みに男にせまる

・男は両手の銃を駆使して歩きながら倒す

・弾切れ

・足で蹴って自動小銃を空中キャッチ 。撃ちながら歩く。

・閉ざされた門が最終防衛線

・男は足をとめて兵士と白兵戦

・射撃と銃剣術の組み合わせ

・次々と銃変えながら戦う

・最後に男だけが残る

・門を蹴り開ける


 著者:もり

 そこは、大理石の柱がならぶ荘厳な回廊。

 そこは、いくつもの発砲音を反響させる。

 そこは、数多の兵士が存在し。

 そこは、相対する一人の男が佇んでいる。

 そしてそこは、女神の寵愛などという曖昧で突飛で滑稽極まるものを信じたくなってしまう光景を作り上げていた。

 そこにあるすべての自動小銃の銃口が男へ向き、銃弾の嵐と硝煙の雲とを創りだす。男は風立たぬ暴風域の中心で、鉛弾の餌食となることなく悠然としていた。あたかもこの場に己を傷つけるに足る存在はないことを確信していたかのように。


 男の両袖に仕込んだオートマチックの拳銃がせり出し、それぞれが掌へとおさまる。

 足元に向けられた銃口がすうっと水平を向く。

 マルズフラッシュの閃きは、強烈な死出への誘い。兵士たちは否応なく取り込まれ、屍へと変わってゆく。


 男は無表情で無造作に一歩を踏み出す。

 頬をかすめた銃弾が、柱に銃創を刻む。

 だが特に警戒した様子もなく機械のごとく歩みを進める。まっすぐに、悠々と。


 マーブル模様にどろりとした朱が上塗りされてゆく。

 耳を切り裂くように相乗する銃声に大理石を踏む硬質な足音が重なる。

 己の血を味わい断末魔をあげた一人の兵士が、男の行く手を阻むように横臥する。

 男は手にした銃を手放す。と、既に一つの死体となった兵に抱えられた自動小銃を真上へと蹴り上げた。

 兵士の視線が一斉に銃を追い放物線に動く。

 そして銃が男の手に納まった瞬間、それぞれが非ぬ方を向いた。


 男の足音が止まる。

 立ちはだかるは頑強な門扉と未だ戦意を滾らせた黒ずくめの兵士たち。

 男は値踏みをするかのようにおもむろに見回すと、唐突に着剣した銃を正面へと突いた。

 倒れゆく兵士。男は彼が手にしていた小銃をもぎ取り、迫り来る別の兵士の土手っ腹を穿ち、同時に銃爪を引いた。

 とどめを刺す。同時に反動と振動とが(はらわた)に食い込まれた切っ先を露わにする。次の獲物を仕留めるために。


 罅割れた柱から礫がこぼれる。

 そこはまるで屠殺場の様相を呈していた。

 群がる兵士が順を追って処分されてゆく。

 最後に男だけが立っていた。高揚の紅潮も、悲愴の蒼白もない。なんの感慨もないであろう無機質な表情。

 これで作業は終わりだ、とばかりに鼻から長い息を吐き、門扉を蹴り開けた。


 完

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