プロローグ
私の名前は橘 桜子。
宮司の娘であり、後に後継になる身でもなる。現在の橘家当主である私の父親、橘 剛は気性が荒く、家族にはDVを繰り返す最低な人間だった。
この事が理由で、私は父親から避けながら生活している。
そんな時、私は一人の男性に出会った。
幼馴染×ヤンデレ=の方程式Another story
〜サクラチル恋〜
「あ゛〜! !」
私は怒っていた。
今日もまた仕事を終えた父親が部屋を荒らしてきたからだ。こんな人が本当にお坊さんなんて、普通に疑う。
結局私は家を出て行き、夜の街を何も考えず歩いていた。
まぁ、まだ中学生の女の子が一人で歩いていたら変な男が近寄らないわけもなく、気付いた時には柄の悪い男たちに囲まれていた。
「君、一人なの?お兄ちゃんたちと遊ばない?」
「嫌です」
さっきからイライラしていたせいか、少し当たりの強い言い方をしてしまった。
そして、私になめられていると勘違いしたのか、男に手首を掴まれ乱暴に振り回し始めた。
「触んなよ!!」
必死に振りほどこうとするが、大人の相手には歯が立たず、地べたに押し倒される。
「あらら、お嬢ちゃん。さっきまでの威勢はどこにいったのかな?」
私の口を押さえ、言いたい放題の男性。そして、その仲間たちもみんな揃って私をジロジロ舐め回すように見てくる。
あぁ、私は今日で汚れてしまうんだ。
と心の中で呟く。
まぁ、あんな父親に毎日のように痛めつけられているんだから、こんなの痛くも痒くも無い。
そんな、半ば諦めかけた私を救おうとしたバカな一人のメガネをかけた青年男性が現れた。
「その子から手を離せ、そして、そんな低俗な遊びはやめろ」
いきなり喧嘩腰かよ。そんなんじゃこいつらの神経を逆撫でしているようなもの。
「あぁん!?テメェ、なめた口きいてんじゃねーぞ!」
ほら、言ったそばから頭に血がのぼったバカが反応した。このメガネをかけた彼は本当に強いのかな?
私を襲ってきた集団は合計で四人。それに対して、メガネの彼は一人だ。
まぁ、結果は目に見えてる。
と思っていたが……
気付いた時にはメガネの彼だけが、一人立っていた。
「大丈夫だったかい?」
そんなこと言いながら私に手を差し伸べる。
「あ、ありがとうございます」
この人、近くで見たら結構イケメンじゃん。喧嘩も強いみたいだし、何かしら使えるかも。
「君、家はこここの近くなのかな?よかったら送って行くけど」
「えっと、ここからすぐ側なので送ってもらわなくて大丈夫ですよ」
「そうか、それならまたこんな夜に一人で出歩かないように気をつけなよ!」
なんだよ、急に説教くさくなったな。
「はいはい」
「返事は一回!」
こいつ面倒くさいやつだな……
その後、まさかこの人また出会うことになるなんて思ってもいなかった。