天災
生きる意味って……?
空から赤が降ってきた。
勢いを増し、落ちてくる、音を増し、落ちてくる。
それを理解するのには、少々、いや、だいぶ時間を要した。
それは、俗に言う、隕石だった。
見るところ、まだ遠くのほうにあるが、後3日もすれば、地球とはおさらばだろう。
さて。
こうなってしまったら最後、人間は何をしでかすか、分からない。
そんな時僕は、何をすればいいのだろう。
急に、世界が、地球が終わると言われて、何をすればいいのだろう。
こんなことが起きてからでしか、人間は気付けない。
自分が何をしたいか、何を思っているか。
そしてその答えは、だいたいが――無、だ。
したいことなんてない。思っていることなんて、ない。
僕たちはそうして、こうして命が危機的状況に陥るまで、分からない。
地球の偉い人たちは分かるのだろうか。命が危機に晒されなくても、分かってしまうのだろうか。
それとも――偉人たちでさえも分からないのだろうか。
隕石が落ちて、命があの世へ落ちかけて、初めて気付く、馬鹿な人間。
自分に意味なんてない。
生まれてきた意味も、生き続けている意味も。
そして――死ぬ意味さえ、人間は、持ち合わせていない。
傲慢で、怠惰な、人間の話。
おや。
思ったよりも早く到着するようだ。
死にゆく意味って……?