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「見つめる側と見られる側」

今回はほとんど女中3人による語りです。

使用人の人って、実は色々見て、あれこれ考えた後が、内心激しいのかしら?とか思いながら、書いてました(笑)。


何だが不憫な夫婦だわ。

目の前の光景を掃除片手にチラリと視界に映し微妙な表情をしているのは、女中の花弥かや


***


本当にどうにかならないかしら?主に旦那様が。

ここ天守家そらもりけに3人の花嫁様が輿入れして早1週間。

そして、ここは次男様夫婦の居住邸宅『蒼紫邸そうしてい』。

私は今回次男の蒼耶様の奥様の南月様付きになった、この邸宅にいる3人の女中最年少の花弥と言い、長い行儀見習い兼花嫁修行の一環として努めています。


視線を目の前に見える居間に再び移します。

実際年齢よりも遥かに若々しく愛らしい、私がお仕えしている奥様、南月様は中庭の方を向き此方には背中を向けてらっしゃいます。

中庭は箱庭になっており、様々な花や小ぶりの木々を植えており花は年中咲かせるため度々庭師のかたが出入りします。

その甲斐もあって、艶やかな風景が広がっています。

ただ、奥様はどんな気持ちで眺めてらっしゃるのか・・・。

と言うのも、この度の結婚を奥様は嫌がっていたにも関わらず、報酬欲しさに天守家に順ずる家が無理矢理花嫁の奥様を連れてきたと言うのです。

本当に何にを考えているのだろか?

無理強いして花嫁の輿入れ後に何があるかとは考えなかったのでしょうか?

最悪自殺、なんて事になったら?

無い話ではないように思えます。

あの奥様の沈み様だと。

ただ、一点を除けば。


奥様のいる居間の入口に張り付いていたかと思うと、入ろうとしたり、離れようとしたりしていらっしゃる当邸宅の主、蒼耶様。

旦那様です。

一体貴方様は何をしていらっしゃるのですか?

挙動不審すぎるでしょう、流石に。

自宅でなければ、通報されますよ?捕まりますよ?

かれこれ1時間くらいでしょうか?

ずっとこの調子でウロウロ、ウロウロとして、正直鬱陶しいんですよ!気になって仕事に集中できないんですよ!

不敬だとか言われても仕方がないですよ!仕事に支障出てるんですから!

とっとと話し掛けるんなら話し掛けて下さいよ!

大体澄ました様な顔が眉間に皺寄せてコミカルな動きとか、突っ込み待ちなんですか?待ってます?しませんけど!見てて怖いので!

内心大騒ぎなまま、私も同じくらいの時間をここで過ごしている訳ですけどね、勿論色々仕事しながら。

愛乃さんに話には聞いていましたが、どうするんです?これ。


***


私は今、蒼紫邸のお台所で夕食の下ごしらえをしています。

蒼紫邸とは私、佳純かすみの担当する邸宅です。

先日、この天守家の婚儀が終わり旦那様と奥様が此方に移られ私も本格的な奉公が始まりました。

ただ、正直気が重い。

理由は輿入れされた奥様です。

別に嫌な方と言った意味ではなく、奥様が気の毒と言う意味で。

何でも、嫌がっていたにも関わらず無理矢理連れてこられて花嫁にされてしまったのだとか。

いくら古くから続く旧家であるとは言っても、なに時代かと飽きれてしまいましたよ、流石に。

それでもまだ救いがあるかもしれないからと、私達女中はお支えしますよ?『奥様』を。

え?何故、旦那様ではなく奥様かですか?女中は女主人に従うものだと私は思うのですよ。

第一、何処をどう見ても奥様可哀想じゃないですか。

結婚は一生モノ。

それを好きでもない男性と、だなんて!


まあ、持論はともかく・・・。

先程『救いがあるかもしれない』とのたまったのには理由があります。

これはこの邸宅にいる担当の3人の女中のかしらを努める愛乃さんの勘だそうですが、どうも旦那様は奥様に気がおありの様だと。

最初は何の事かと思っていたのですが、これがまた一夜明けて今の今まで様子を見ていて、何というか可笑しい。

四兄弟一の美丈夫が、あれは可愛らしくも間抜けとも映り、笑を堪えるのが忙しい事、忙しい事!

どうかしましたか!旦那様!

胸の内で何度も叫びましたよ!

だって、奥様の反応ひとつで、ふにゃっ!としたり、ガーン!と固まったり、かまってほしいけど奥様はその気がなくて、自分から話し掛けるかどうしようかオロオロしたりしてるんですもの。

旦那様ってこういう人でしたっけ?

ただの面白い人ですね。


***


どうしたもか・・・。

今、俺はどうしたらいいのか分からず彷徨さまよっていた。

本当に、物理的にも。

居間に南月が座っている。

目の前の庭を眺めているのだと思う。

ここからでは背中しか見えないのでよく分からないが。

少し前、かれこれ1時間になるが向かい合っていた時は少し話が出来た様な気がするが、思い返せば俺が一方的に喋っていただけであったと今更の様に思う。

本当は南月の声を聞きたくて会話を始めたというのに。

社交性はあると思っていたのだが、少し違うのかと思った。

そもそも、何を話したらいいのか?

このままでは、新婚の為にある休養期間が終わってしまうという焦りと、しかし急性にと言うのも南月には良くないと思い、今、話し掛けるかどうしようか悩んでいる。

ただその間、この邸宅担当の3人の女中達が妙な視線を向けながら仕事をするのが気にはなるが。


そんな事をしている間に休みは終わり、社へ通う日々が始まってしまうのであった。

勿論、南月も花嫁修行が始まり忙しくなっていく。

更に会話も接する事も無くなるのかと自室で肩を落としていたが、後日意外な出来事が起こるのであった。

あ、蒼耶さん、バレバレな愉快な人になってますね(笑)。

次回から、南月ちゃん動きます!

暫くショックで沈んでましたけど、本来の南月ちゃんです!


ちなみに、蒼耶さんと南月ちゃんの自室兼寝室は別々です。

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