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「誘華(さそいばな)」

お久しぶりです。

そして、更新が遅れて本当に申し訳ありません!

こんな調子で不定期になってしまうとは思いますが、これからもよろしくお願いいたします!

始まります!

このところ妙な事が続いている。

何がと言われても答えようがないが。

ただ、フッと気が付くと視線を感じている。

そんなことが度々ある。

場所は様々で、時間もバラバラだ。

いや、自宅である蒼紫邸にいる時は全くない。

・・・・・むしろ、自宅までそんな事があったら気味が悪いが。

「蒼耶?どうした?」

ああ、いかんな。

兄上と話の最中だった。

「いや、何も。で、話は何処まで行ったか?」

「ああ、もうそろそろ『御目見得おめみえの宴』が近くなって来たからな。南月さんに準備をしてもらう様に伝えてくれ。」

ついこの間『歓談の宴』があったばかりだと思っていたが、もうそんな時期か。

正直、『歓談の宴』ではとんでもない事があり、思い出したくもないが。

まあ、あの一件から南月と話が出来る様になったのではあるが。

「分かった、伝えておく。」

「ああ、頼む。」

会話をそこで切り上げて今日の勤めも終わった事だし、南月の松自宅へ急ぐ。


「・・・。」

まただ。

一体どこから?

むしろ誰が俺を見張っているのだろうか?

1度立ち止まり、辺りに視線を巡らせる。

もちろん、不審人物など見当たらない。

いや、むしろ見える場所にいると思う方がおかしいのかもしれない。

そう思い歩き出そうとした時、声がかかった。

「あの、蒼耶さん。」

聞き覚えのある嫌な声。

むしろなぜ通常の10品である”次座様”ではなく名前を呼ぶ。

しかも”さん”だと?

馴れ馴れしい。

だが、無視はできないと振り返ると、体をもじもじしながら明らかにこびへつらう様な表情かおでこちらに歩み寄ってくる3男・朝斗の嫁、沙奈が視界に入った。

全く何を考えているのか?

着物を着崩して胸元をあんなにはだけさせるとははしたない。

頭が可笑しいのか?

いや、可笑しいのかもしれない。

自分が危害を加えようとした相手の夫に今のような様子で声をかけること自体が。

俺がそんな事を考えて内心イライラしているというのにこの女はすぐ前まで来て見上げて来た。

気持ちの悪い視線だ。

「あのぅ、こんにちは。今お帰りですか?」

「そうだが、見て分からないか?何の用で?」

「ああ、すみません。少しお話が出来ればと思いましたの。」

俺に話す事はないし、一体何の話があるというのか?

「何の話があると?」

「あ、他の方とはお話をしたんですが、蒼耶さんとはまだちゃんとお話もしたことがなかったですし、今回お話して仲良く出来ればいいなと思いまして。」

馬鹿な。

何を言っているんだ?この女。

仲良く?出来ると思うか?紗奈おまえは南月にひどい真似をしようとしたのだぞ?

「仲良く?出来ると思うか?」

冷たく言い放つ。

当たり前だ、このくらい。

さっさと俺は南月の元に戻りたいのだ。

しかし、そんな俺の反応にどうすればこの女のような反応になるのか・・・。

「ああ、そうでした!私の家の者が酷い真似を!左腕でしたわよね!?まだ痛みますか!?」

言いながらこともあろうか俺の腕にしがみつきすり寄って来た!

気持ちの悪い!

思わず振りほどき数歩離れる。

「何をする?」

「え・・・と。」

何か意外そうな顔で俺を見ている。

意味は分からないがそんなことはいい。

「俺はお前などとかかわりたくはない。第一俺の事をなぜおまえが名で呼ぶ?『次座様』だろう?名で呼んでいいのは妻である南月や親しい家族と兄弟だけだ。」

そのまま一歩下がりもう一度にらみつける。

「金輪際俺にも、南月にも近寄る事は許さない。では、俺はこれで失礼する。南月が待っているのでな。」

そう言って歩き出す。

向けた背の向こうで何かぶつぶつと言っていた様だが関係はない。

本当に気持ちの悪い。

しかも、あの濃いい化粧や悪趣味な香水の匂いがついている気がして気持ちが悪い。

早く南月の元へ戻りたいというのに。


そうして俺は玄関にたどり着くと、出迎えに来た南月と会話をして女中頭に目そばせをして呼び寄せた。

「何でございましょうか?旦那様。」

愛乃は不思議そうに近付き、すぐ近くまで来たところで「ん?」という顔になった。

「気付いたか。頼みたい。気持ちが悪くて仕方がないのだ。」

先ほどあった事を説明すると愛乃も嫌そうな顔になりながらうなずく。

「お嫌でしたでしょう。」

ああ、嫌だった。

むしろああいう事は・・・。

「奥様にしていただいたのならまだしも・・・。」

・・・。

ん?

「ああ、申し訳ございません。分かりました。湯浴みの時に洗いに出しますので旦那様はいつも通りで結構です。」

「ああ、よろしく頼む。」

会話はそこで終わった。

終わったが・・・。

「顔に出ていただろうか?」

ああ、俺もあの時思った。

ああいう事は南月にしてもらいたいと!


***


いけませんねぇ・・・。

着物の回収は終わりましたし、奥様のもとに行きますか?

しかし、先ほどはまずかったです。

三男様の奥様が旦那様にした事は、本当に頭が可笑しいのかと思う様な事です。

まあ、旦那様に気があるというよりは兄弟1の美男に取り入ろうという感じですが。

前回の『歓談の宴』の騒ぎもそういった感情からの事でしょうし。

本当に困った三座様の奥様です。

しかし、その様子を語られる旦那様はよほどお嫌だったのでしょうね。

どんどん顔色が悪くなって、思い出す様子は汚物でも見たような様子でしたし。

まあ、だから思わず零してしまった訳ですが。

ああいう事は奥さまにしてもらいたかったのだろうと思いつい”奥様にしていただいたなら”と。

まだしも何て付けなくてもよかったですわね。

奥様相手なら何されても大喜びなさってそうですし。

しかし、三男様の奥様の行動は少し気になります。

少し探りを入れるべきでしょうか?

・・・三男嫁さん、貴方何してらっしゃるの?

本当に敵ばかり作る人ですが、本人は良く分かっていたり分かっていなかったりしてます。

蒼耶がものすごく嫌そうで口が悪いですね。



2017/08/10に一部修正が入っています。

『身ひろめの儀』=×

御目見得おめみえの宴』=〇

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