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「蕾、ほつるる先」

サブタイトルはそのままの意味ですが一応。

お互い、寄り添い始めたといった意味です。

愛乃に話を聞き、兄上に事情を報告し直ぐに南月を別の部屋へ移す。

まだ、紗奈あのおんなは南月を睨んでいたし、何をするか分からない。

とにかく離れなくては。

左腕がまだチリチリと痛みひきつってきたが構ってはいられない。

量はともかく、南月があんな熱湯を頭から被っていたらと思うとゾッとする。



部屋を移って暫く南月はショックの為か意識が朦朧もうろうとしているのか、反応がなかった。

慌てて声をかけ、何度目かにようやく反応があった。

だが、俺の腕を見て泣きそうな顔をする様は見るに耐えなかった。


しかし、そうしていると今度はしきりに謝り始める南月。

あまりに必死に謝り続ける彼女に俺も戸惑うが、まだ混乱してるのだろうからこのままにはしておけないと肩を揺さぶり、腕が片方しか使えないので不安定ではあったが肩を引き寄せた。

とにかく落ち着かせなければ。

だが、南月はそこで慌てて俺の胸を押してはなれながら声をあげる。

「もう、私は落ち着いてます!大丈夫です。」

あ、ああいかん。思わずやりすぎた。

そうだな、俺は嫌われていたんだった。

だか、直ぐに彼女は異性に馴れてないから苦手意識があるだけで俺の行動に限っての反応ではないと続けた。

異性に馴れてない、のか。

しかし同時におかしな話も口にしていた。

嫁としての義務を果たさなければ家族に影響が出る、だと?

あの分家の女主人め、脅しまでしていたのか。

勿論、そんな話等ないと伝えた。

後で対応しておこう。


その後ポツポツと話をしながら彼女は何かをかを考えるように俺の顔と腕を見ていた。

まだ気に病んでいるのか?

だか、話が一段落したところで少し沈黙が出来てしまう。

どう話を切り出すべきかと胸中で呻く。

そうしていると、南月が声をかけてきた。

ああ、何か用だろうか?

返事の代わりに視線を合わせる。

「・・・?」

何だ?雰囲気が少し変わった様な気がするのだが。

思案していたが、目の前の南月が口を開く。

「庇ってくれて、ありがとうございます。」

「・・・。」

あ、ああ、先程の礼か。

そうだな、どういたしまして。

そう返せば良かったのだが、動けなかった。

何と言うか、今までの南月は視線や表情が少しキツイ感じがしていたのだ。

勿論、好きでもない相手にニコニコ出来よう筈もなく、ましてや無理矢理嫁入りさせられたのだし。

だから俺は初めて見たのだ。

邸宅で女中達にはしていた、穏やかな顔。

俺にはしてもらえなくて、しかしどうしても俺にも向けてほしいと思い願っていた顔。

まだ硬いが、今までとは明らかに違う顔。

少し照れているのかもしれない。

笑顔ではないが、少し眉を上げたてどうすればいいか分からなくて困った様な顔。

笑顔ではないが、愛らしいと。

こんな時だというのに思ってしまい、だから言葉を返した時おれは頬が緩むままにしていた。



ただ、その後彼女が固まってしまった。

何故だ?

笑顔で返事をしたと思ったのだが。

蒼耶、いきなりフリーズの裏側でした(笑)。

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