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「宴の花束達・当人視点」

間があきました。

すみません。

何だか、嫌な人だったり、アレな人だったりが出てきます。

あー、面倒臭い!何がお稽古よ?わたくしに義務だ何だと命令して何様のつもり?



部屋で着付けた着物が乱れる勢いでイラついた手が楽譜を床に叩き付ける女性がいた。

明らかに染められたものだろう、明るい茶髪の女性だ。

美人の部類には入るだろうが、マスカラ含むアイメイクがキツイ印象を与え、爪もデコり過ぎ一歩手前まで飾ってある為ケバく見えてしまっている。

彼女が三男の朝斗あさとの妻、『紗奈さな』である。


彼女は今しがたお稽古のひとつである琴の指導を受けていたのだか、爪についての指摘にキレ、部屋を飛び出し自室へ続く廊下で地団駄を踏んでいるところだった。

まあ、あの爪では仕方がないと誰もが口を揃えるだろうが。


彼女の場合、今回の婚姻には最初から乗り気で「格上の家から嫁入りの申し出ですって?私にふさわしいわ!」などと息巻いていたらしいが、この手の嫁入りの本当の意味については理解していなかったらしい。

今まで散々好き勝手してきたがしきたり等からなる″格式″は彼女の常識では″面倒臭い″事に部類されてしまった様だ。

彼女にとっては全くもって寝耳に水だったという訳だ。


それでも当初は、潤沢な財力とイケメンの夫に気をよくしていた。

だか、ある時から田舎の山奥で辛気臭く暮らすはめになったと騒ぎだし現状に至る。

正に考えなしの自業自得だと言うのに。


***


「あの、奥様・・・お食事を。」

「口に合いませんわ。」

天守家、四男・厳樹いつきの邸宅に刺すような冷たい声が響き、女中の小さな「ヒッ!」と言う声がこだまする。

濡れた様な艶やかな黒が螺旋を作り流れ、その下に透き通る様な白。

ばっちり強調されたマスカラにあかい口紅。

服はこれもまたあかい、ゴシック調のドレス?と言うのだろうか?

どちらにしてもケバイ印象を見る者全てに与えている。

大抵、″何だこの生き物″みたいな目を向けられているこの趣味故に残念な美人は『実鈴みれい』。

この四男宅の奥方である。


紗奈の様な我が儘こそないが、彼女も相当、灰汁あくの濃い人物だ。

見ためはゴシックドレスと言う純和風な天守家の中では浮いた装いをしていて、ただ趣味まっしぐらなだけの女性なだけなのだろうかと思ってみれば、立ち振舞いや性格は古い部類の我が儘お嬢様とでも言うのだろうか?プライド高すぎ。そんな人なのだ。


彼女の実家は紗奈とは違い、天守家ほどではないにしろ由緒ある家でしきたりや習わし等についてはさほど戸惑いもなく順応したようだか問題は馴染み過ぎな部分が度を超えている事である。

要はお稽古をすれば指南役しなんやくの者に、程度が低いだの、よくそれで人に教えられるものだと罵り、出された食事にいちゃもんをつけ、使用人を人とは見ず罵詈雑言をぶつけまくり護身術教育のひとつとして習得した体術でうち伏せる。

結果、彼女に恐怖心を抱いた女中達は日々神経をすり減らせ続け、彼女が行動するたびにびくびくと脅える様になってしまったのであった。

それに加えて紗奈以上の浪費癖まであるらしく、全くもってたちが悪すぎである。


***


あ、お腹が痛くなってきた。


恐らくは気のせいである筈の体調不良に眉を寄せたのは、次男嫁の南月その人である。

宴の話を聞いて「嫌だなぁ」とか言っているうちに、アッという間に時間が経ち当日だ。

「一体、何があるんだろ?イビり?嫌味?嫁vs姑?あ、嫁vs嫁かもな。金持ちの家ってそういうのありそうだ。」

何とも勝手な、暴走交りの宴を想像した、南月であった。

読んで下さりありがとうございます。

次回、顔を見せた顔合わせです。

(婚姻の儀では、式は同じ場所で同時に行ったのですけど、新郎新婦3組はかなり離れており、新郎は陰陽師の服の様なのに大きなフードのような物を被った衣装だったので、その嫁くらいしか旦那サイドの顔も知らないのです)。

これはこれで、揉めそうです。

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