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4人のベルセポネー  作者: 望月 薫
第1章:自己紹介、始めます。
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第4話

 自己紹介、始めます。

 丸山薫。金山高校2年生。生徒会に属しています。部活は弓道部です。

 ……他に紹介することがないので、私の話はここら辺で終わります。

 先程の3人が言っている薫というのは私の事です。今から私達が何者なのか、お話ししましょう。



 あなたもご存じのとおり、現在の日本の犯罪社会は最悪の状況です。

 殺人、強盗、麻薬、強姦、詐欺…。毎日あちこちで犯罪が起きています。

 そして近年特に問題になっているのは、「再犯罪者の増加」。つまり刑に処した後、再び何らかの犯罪を犯すものが増えているのです。

 問題なのはその著しい増加もありますが、犯罪者にとって警察に捕まり裁判を受け、刑務所で刑期を過ごすということが脅威ではなくなっているという事実です。

 刑務所も人で溢れかえり、収容する場所が限られ、そして再犯者が増えていくという悪循環。なんとしても打破しないといけない危機的状況でした。

 そして20年前、政府がある事案を内密に可決しました。「再犯者取締法」というものです。

 知らなくても無理はありません。この法律は世間には公表されていない、極秘のものです。

 再犯者によって被害者、もしくは被害者遺族が心身共に大きく損害を受け、その者達の意思に乗っ取って被告人を裁くというものです。

 それっぽい言葉で説明していますが、この法律が型どる刑はただ一つ。

 よく考えてみてください。被害者達が犯罪者に一番に何を望むかを。

 大切な人を傷つけられ、殺され、絶望のどん底に落とされた時、一番に何を望むかなんて誰だって想像がつきます。

 被告人の死刑。この法律に乗っ取って判決が下された犯罪者が行く先は、刑務所ではありません。

 一般人は誰も知らない、政府がひっそりと、莫大な金をかけてとある場所に作った敷地。

 それが私達の仕事場、「テリトリー」です。

 裁判が終えると、受刑者は何も聞かされずにこの「テリトリー」に連行され、生きて帰ることはできません。

 法の裁きの下、死刑宣告を待つだけの日々を送ることになります。

 荒れた街並みのテリトリーには時間を知る術がなく、いつも赤い月が上る夜のままの世界。

 ここまでで勘のいい人ならお気付きでしょう。私達の仕事とはなんなのか。

 簡潔に言うと、私達の仕事は「テリトリー」で死刑を執行することです。

 この法案が決まった際、政府は20年の月日で着々と準備を進めてきました。

 生まれながらに植えつけられた才能ほど怖いものはない。16年前に生まれた多くの孤児の中から、最新の遺伝子工学に基づいて選び出された私達は、物心ついた時既に暗殺の術を習い、運動神経を高め、武器を抱えて寝る生活をしてきた、生まれながらの死刑執行人なのです。

 「テリトリー」の存在は一般人には内密です。ですから私達もごく普通の高校生として日々過ごしています。

 『全ては正義の名の元に』。小さい時に叩き込まれた言葉です。

 さあ、あなたはそんな私達の日常を見ていくわけですが、決して誰にも言ってはいけませんよ?

どこから弾丸が飛んでくるか分かりませんから。


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