辛辣にゃんこ
わー、日付変わった。
夏休みです。
「それで、主~。あと、3日しか生きれないっていうのはどういうことにゃ?」
と、マサが尋ねる。
「あぁ、えっとな。何か変な魔術?掛けられてる、らしくてな。」
「主…。随分他人事っぽい言い方だにゃあ。」
「うん、まあ、そりゃあ、ちょっと前まで普通に人間やってたわけだしさ。」
「それにしても他人事すぎるにゃ!もうちょっと危機感をもつにゃあ!」
「ああー、うん。ごめんごめん。」
翔はそう言って、マサの目のあたりを撫でる。
マサは嬉しそうに目を細め、手をペロッと舐める。
猫特有とちょっと、ザラッとした舌。
「それで、どうするにゃ?」
「ああー、うーん、何か御子っていうやつの血を吸えば良いらしいけど?」
「ふぅーん、御子にゃあ。確か、もにゃりは御子だったと思うんにゃけど。」
もにゃり、と言うのは恐らく最成のことだろう。
「げふ…っ。」
噎せたように、げほげほとわざとらしく咳き込んで見せる翔。
「ま、俺は知らにゃいけど。試しにもにゃりの血を吸ってみればいいにゃあ。」
「いやいやいやいや、そんなお試し気分で血って吸っていいものなのか?」
「寧ろ、お試し気分じゃない吸血ってにゃんにゃんだよ!って感じにゃー。まさか、ひたすら同じ人から血を吸うつもりだったにゃあ?」
お試し気分、というのは言い得て妙なのだろう。
「でも、ほら、男の血を吸うって抵抗あるじゃん?うん。」
「ふん、そんにゃんにゃらサッサとくたばればいいにゃあ。生物ってのは生にしがみついて縋って必死に生きてるにゃあ。その気持ちが無いやつはにゃ、生きる資格がにゃいにゃあ。だから、サッサとくたばればいいにゃあ!」
辛辣だが、確かにそうだろう。
「うーん、うん。吸血するときに意識があるままのことを考えるから(ビジュアル)が悪いんだな、うん。意識落としてから血吸えば問題無いよな!」
ビジュアルは、どうであれ意識を落とさせるのは得策なのだろうか?と、つっこむ者はもちろんここにはいない。
「ていうか、主。女装してるんだし(ビジュアルは)問題無いと思うにゃあ。」
そういう問題なのか?
「ああ、そっか。」
納得しちゃった。
お忘れでしょうから、言っておきます。
翔は、天才系残念イケメンです。残念イケメンです。残念。
「ま、ノックアウトさせれば早いにゃ。」
従者、マサムネは随分と辛辣かつ物騒なにゃんこでした。
おほほ。
補習まぬがれましてよ。