表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

地下世界との出会い

 オリンポスに住み始めてから早くも1週間が過ぎ去ったある日、俺はとある建物の中を歩いていた。

 外はうだるような暑さなのだが俺が今歩いている場所には冷房が効いているのか涼しい。

 これが楽園なのかなと思ってしまうほどに快適な空間だった。

 だがそれでも憂鬱にはなる。

 なぜなら、目の前には果てなき長い長い通路が広がっているからだ。

 歩き始めてから1時間近くが過ぎようとしているのに未だ部屋らしきものが見えないという時点でお察しだ。

 外から見た時点である程度は予想していたがそれにしても長すぎた。

 なんでも杏理が言うにはこんな長い通路が作られた経緯には、敵が攻めて来た時に時間を稼ぐためらしいのだが。

 正直に言ってそんなところまで行かないといけないこっちの身も考えてほしいものだ。

 ほんと最悪な呼び出し人である。

 そう。俺がこんなところを歩いているのはこの国のトップに挨拶をするためである。これから先、長い時間を共に過ごす仲間になるのだから挨拶は大事である。

 そう思っていた時期が俺にもありました。

 はい。

 なんか正直に言ってやる気がおきない。帰りたい。

 それでも一つだけ楽しみがあるから帰れない。

 それはリーダーの名前の由来を知りたいのだ。

 リーダー、またの名を電源兄さん。

 正直にいっておかしい人間だと思う。

 なんだよ電源兄さんって。

 怪物かよ、まあ怪物なんだろうけどさ。

 そんなおかしなあだ名をつけられるってほんとどんな人なんだろう。

 

 歩き始めてから2時間近くが経とうとしていた。

 俺の体力もそろそろ限界になりそうである。

 そんな状態では前を向こうという気持ちにもなれず結果俺は下のタイルを数えながらゆっくりと歩いていた。

 5800.5801.5802.5803.

 「うわっ?!」

 5803番目のタイルを数えたその時、俺はなにかとぶつかってしまったようだ。

 壁かと思ったがそれにしては柔らかい。

 ……顔を上げるとそこには少女が居た。

 なんでこんなところに?

 「〰~」

 少女は俺を見て何かを呟いている。 

 「なに?」

 俺は少女に優しく声を掛ける。

 それに対し少女はただ一言。

 「ゴウダヘロ」

 

 次の瞬間俺は落ちていた。

 真っ暗な闇の中へと。

 

 

俺は落ちていた。

 あれ?さっきまで俺は地上に居たよな。

 不思議に思い俺は首を振り下を見てみる。

 そこには明かりひとつない無の世界が無限に広がっていた。

 俺の落下スピードは留まらず徐々に加速しているのか顔に吹き付ける風の勢いは強くなっていく。

 なんでこんなことに。

 世界には地下世界なるものが存在していると都市伝説では有名だがまさか本当にあるのだろうか。それともただ単に穴に落ちてしまっただけなのだろうか。

 どちらにせよこのままでは地面に追突してしまい怪我では済まないだろう。

 こんなことなら杏理に能力の使い方についてもっと聞いとけばよかった。

 もしも杏理が使っていた水のバリアを仕えたら全く問題は無かっただろう。

 なんでも杏理が言うにはあの水のバリアはいかなる物理衝撃も吸収してしまう代物らしいのだから。

でも残念ながら今の俺では使えない。

 

 なにか……なにかないのか。

 考えるんだ。

 俺の能力は水を操るポセイドンの力だったはずだ。

 だけどほんとにそんな簡単な能力なのか。ポセイドンは仮にもオリンポス12神に入るほどの実力を持っている神だぞ。

 他にもあるんじゃないのか。

 でも何をしようとも水が無ければ。

 ん?……あれ? 

 仮にもポセイドンは神だ。もしもの話だが陸上に居る時に襲われたとしてどうするんだ。

 水は海や川にしかない。

 いや違う。

 あるじゃないか。

 ここに。水蒸気として!

 

 方法はわからない。

 だけどやるしかない。

 怪物に襲われた時みたいに水蒸気を利用して手のひらから水を生み出せれば。

 

 「はああああああっっぁ。」

 俺は大声で叫び手のひらに全神経を集中させる。

 水。水。水

 俺は必死に願う。

 だが俺の神ポセイドンはそんな俺の願い事を叶えてくれないのか一滴すら創れない。

 なんで?あの時は沢山の水を創れたのに…

 もしかしてあの時水を生み出すことができたのは偶然だったのか。

 ……もしそうなら俺は。


 いや、まだ諦めるのはあまりにも早い。

 手から水を作れなくても操ることならできるんじゃないか?

 例えば水蒸気を操ることは出来ないのか?

 水蒸気も一応水だ。それなら。

 

 「はああああぁっ」

 俺は両手を前に伸ばし左右に動かすことで、そこら一体に広がるであろう水蒸気に必死に触れようとする。


 「変幻! 水流操作」

 俺は水を操るために全身全霊を込めて願う。

 俺は明日も生きていたいんだ!



 


 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ