「ようこそオリンポスへ♪」
「しゅん。しゅんったら、起きてください。目を覚ましてください」
・・・誰かの声が聞こえる。
誰の声だろう。聞き覚えのあるような声だけど。
でも俺の友達に、こんな声で呼ぶ奴なんていたっけ。
誰だろう?
・・・俺はゆっくりと目を開いていく。
「・・・うわっ」
目を開けると輝く壁が一面に広がっており、俺の目に大ダメージがくる。
「え?」
壁は光が反射しているのか薄い赤色に輝いていた。
「うん?あれ俺は・・・」
「やっと起きてくれましたか、ずっと心配してたんですよ」
「ここはいったい・・・」
「ここですか?ここはオリンポスの中にある病院ですよ」
「病院?なんで俺こんなところにいるんだ?」
「あっ頭はまだ、動かさないほうが」
「ぐあっ、いてええ。なんでこんなに痛いんだよ」
「それはですね、しゅんがペガサスに乗っているときに途中で気を失ってしまって、結果的に揺さぶられる形となってしまい、私もなんとか、ペガサスを止めようと思ったんだですが、残念ながら不可能でして、結局・・・」
「どうりでペガサスに乗っている記憶がないわけだ」
「すみません」
「いや、杏理が謝ることではないよ。気絶した俺が悪いんだし」
「・・・」
「どうかしたか、杏理」
「いえっ、別になんでもありません。それよりもこれから暮らすことになるオリンポスについての説明をしたいのですがいいですか?」
「ああ」
「それじゃあ、行きましょうか」
「どこに行くんだ?」
「外に決まってるじゃないですか」
「・・・外・・・だと?。杏理、知ってると思うけど俺の体だいぶダメージを受けた影響で体中に痛みがあって歩けそうにないんだけど」
「知ってますよ」
「いやだから、歩けないんだけど」
「それなら大丈夫ですよ、車いすありますから」
「いや、でも、今日は来たばっかしだし」
「私が押しますから」
「でも・・・」
「むううう」
「はあ、わかった。わかったから、案内してくれ杏理」
「はいっ」
「・・・私、昔から車いすを押すのが夢だったんです」
「ずいぶん、変わった夢だね」
「あはは、よく言われます」
「でも、なんでそんな押したいの」
「それは秘密です」
「ええ、教えてくれてもいいじゃん」
「これだけは絶対にダメです」
「はあ、わかった」
「それじゃあ行きましょうか」
「ああ、いこう」