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祈るということ  作者: 吾井 植緒
帝国編
48/50

即刻退場というもの

遅くなりました

「ミコ様、コイツ邪教の臭いがします!本当に知っている人物なんですか?」


説明を求めるであろうと思っていたボクっ子が、案の定詰めよって来た。


「邪教の臭いだって?!」


ざわつく騎士団。知らんよ、先輩からは柑橘系の匂いしかしないよ。


「あ、それアレかも。」


「なんかイキナリ砂漠に放り出されちゃってサ。凄い砂嵐をやり過ごそうとしたら、ラッキーな事に遺跡で。クリアしちゃったら、性別変更の薬貰えたから飲んだんだよネ!ホント、ラッキーだったナ!ミコ様と番える性別に成れるなんてサ。」


先輩の爆弾発言にざわついていた皆がシン…とした。てか、先輩色々めちゃくちゃっすよ!である。


カチャ、隣で音がしたかと思うとセイが剣を抜こうとしている。


「斬りましょう。邪教の欠片も残らぬように。今なら勝てます、勝ってみせます!」


いやいやいやいや、首を振るが目が逝っている。先輩の危機というより、セイが心配だ。


「そうだ!やっちまえ!」


騎士団もボクっ子も酷いもんである。


「ちょっと待ったぁああああああ!」


止めてくれたのは、蛇王!意外と常識人蛇王である。


「その遺跡、ウチの国のもんじゃねえか!何勝手にクリアして特典自分のモンにしてんだよ!申請しろ!申請!クリア特典は国の許可が出るまで手を出さないのが決まりだろうがよ!」


蛇王、違う意味で常識人であった。


「なるほど、あの柑橘系の臭いは飲むタイプだったからか。」


ボクっ子の呟きに、わたしは思わず(知らんがな)と思ってしまったのである。

というか、やっぱり先輩、女性だったんだ…。

なぜ男性として暮らしていけたのだろう。謎だ。


「ねぇさぁあああああああん。」


親方!今度は空から妹が!って、まさか。妹はキャトられて…

ドオオオオオン!

ものすごい音で着地した!

妹は無事か?1


「姉さん、久しぶり…。」


妹よ、涙ながらの感動の再会も良いが、ものっそ高い所から見下されてるんですが。

担がれてる下の赤い髪のイケメンマッチョはなんですか?物凄い妹の好み臭がするんですが。


「せっかく帰ってきたのに、姉さんが今度はいなくなったと聞いて…先輩が消えて嫌な予感がしたから来ることにしたの。」


「相変わらず姉離れできてないんですネ!」


「うるさい、変態。今までは同性だから許してたけど、異性になったら話は変わるんだから。白河家総出で阻止させて貰う。」


ちょっと待っててね。妹はそう言うと、イケメンから飛び降り、お願いと言ったか言わないかでイケメンが消え、気がついたらイケメンが先輩を米俵担ぐように立っていた。

よく見ると先輩は気絶しているようだ。

一瞬過ぎて、ちょっと自分の目が信じらんないぜ。


「それは混じったから救済できないぞ。」


さっきのおじさんの声がした。


「こっちで運ぶから大丈夫。」


妹が答えた。

妹よ、お姉ちゃんちょっとついていけてないぞ。


「姉さんは後を継がないから、いいのよ。」


以心伝心は相変わらずである。

妹がいいなら、いいやがわたしである。


「義姉上。はじめまして、アギルと申します。」


うわーイケメン、声渋!

てか、あねうえの言い方でなんか推察できたぞ。二人はプリk…相思相愛だ!

あれ、神様のツッコミがないな。


「今、ウチの神様にお仕置きされてるから大丈夫。」


妹の言葉に、(だ、大丈夫なんだぁ)とちょっと心配になった。


「宇宙食に傾いてはいたものの、食べるのは好きな姉さんにリンゴしか食べさせないような無能な神様の心配は無用よ。すぐに全異常耐性に変更してもらったから。」


神様が無能で、周囲がざわついたが、わたしの妹ということが関係したのか声を発する者はいなかった。


「あの、妹様。ウチの神様というのは?」


ボクっ子が下手に出ている!

ぐぬぬ、とわたしがオーラで不機嫌を出すと妹が苦笑した。以心伝心、以下略。


「ミコである姉とわたしの家を加護してくれている異世界の神よ。ここの神より年上なの。」


八百万の神が年上なんてもんじゃないだろう。紀元前(に文献がある)の神だぞ。


「そっちのスゲーのは?」


蛇王の言葉に妹は頬を染めた。


「わたしの婚約者です。姉さん、ゴメンね。紹介が遅れて。色々あって、向こうの世界から連れて来ちゃった。」


テヘペロ。

わたしがため息を吐いたのは呆れたからではない。妹のコレに弱いからである。色々あったなら仕方ないね!


「それより大変なの。コイツがこっちに来る時に手を借りた神様が邪神になっちゃったのよ!」


「「なんだってぇえええええ!」」


みんなの心が一つになった。


「理由はちょっと話せないんだけど、姉さんを狙ってるの。こっちに侵入しようと力を溜めてるわ。」


「ミコ様を狙ってるだって!」

「大変だ!」


「そこで邪魔なコイツを排除がてら、わたし達が来た訳。邪神に対応するには今のあなた達では難しい。だからウチの神様に秘剣を借りたの。使い方は彼が教えるわ。」


彼って婚約者の?


「副団長、カモ〜ンヌ!」


妹が高く手を挙げると、空間が裂け、そこから王子様が現れた!


「へえへえ、副団長。ご降臨でやんす。」


なんとも卑屈な王子である。

しかしわたしを見ると


「義姉上様!どうもお見知りおきを。あなたの祖母殿にはこき使われとります。名前は副団長でいいですよ。ちょっと憚られるんでね。妹さんとは結婚するまでにワンチャン狙ってるんで、よろしくお願いします!」


なんともチャラい王子である。

しかし色々気になるワードがあったような…。


「ワンチャン、ありえませぇん。姉さんは細かいことは気にしなくていいからね。身を守る事だけを考えようね!」


まあ、狙われているならそっちに集中した方がいいな。


「先輩にはこっちの化け物の封印が解けかかっているから責任もって戦力になってもらうから、こちらに来る心配はないわ。」


おおー。周囲が先読みした妹の言葉に感嘆の声を上げた。学生時代よく見た光景である。

そういえば、妹はこちらの異世界語を話している。流石、妹。流石過ぎる。


「姉さん、ホントは話せるんでしょ。あんまり甘えちゃダメだからね。」


む、ミコ語は威厳があって楽しいのだ。


「とにかく、わたし達はこっちの化け物のせいで手伝えないけど、副団長置いていくから。頑張ってね。

もし姉さんを守れないような世界なら、邪神ごと滅ぼして、姉さんにはこっちに帰って来てもらうってウチの神様も言ってるから、覚悟してね。」


妹の冷笑に場が凍りついた。


「それでこそユイ。わざわざ悪者になるだなんてネ。」


王子様がウインクした。星が散った気がするキレイなウインクだった。

場の雰囲気がまた変化した気がした。


「そんな事にはさせません!」

「何がなんでもミコ様を守るぞ!」


騎士達が盛り上がっている。

セイを見ると、大丈夫ですと頷いた。


「姉さんに1ミリでも傷付けたら、許さないんだから!」


よく分からない捨て台詞を残して、妹は空間を裂き、先輩を担いだイケメンと帰って行った。


「じゃ、とりあえず秘剣に耐えられる人を選びましょうかね。」


王子様の冷たい笑いに王子の腰の剣がブブブと呼応した。

これからはポチポチ頑張ります

なんか昔の作品がランキングとかビビる

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