表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祈るということ  作者: 吾井 植緒
神殿編
3/47

装備というもの

異世界に行くにあたって用意されたわたしの装備は


その名もズバリ!『神の衣』である。


畳んで差し出されたので、上着なのかと思ったがコレ一枚だけだとか。

着るのではなく装備すると言えと念押しされながら装備したが、裾が長く足首に行かない位だった。

つまりワンピースという事になるのだが、そういうとなんとなく可愛らしい感じがして嫌なので、わたしがあえてTシャツのでかいヤツと言ったら神様に笑われた。ワンピースという名称にすら反発する事が予想以上に複雑な性格を表していると、大好評だった。なんか腑に落ちない。


『神の衣』は緩く広がった七分袖と襟の刺繍以外は特徴のないストンとしたシンプルなものだ。

襟ぐりは薄紅色の薔薇模様の刺繍で白い衣は高級感溢れる光沢があり、サラッとした着心地である。

装備していれば寒さも熱さも感じない上に、脱いだら大変な事になるわたしの胸以外の出っ張り(つまりお腹やお尻だ)を文字通り隠してしまう、つまり平坦に見せてしまう最強装備である。

しかし胸部は平坦にならずに常にいい形をキープしてくれ、乙女のプライドは守られるとか。ちなみに、増量はしない。

んで、ブラもパンツも要らないというか着用できなくなるという弊害が発覚。

ブラは仕方ないとしても流石にパンツは神様に何とかしてもらいました。

わたしはノーパン派ではないので、穿かないと不安になるのだ。

何があっても捲れない特殊機能があるとか言われましたが、そんないらぬアクシデンツを想定するならズボンにした方がいいだろうと思った。


洗濯無用なこの衣は何をこぼしても汚れない上に、常にこの世界の薔薇の香りを漂わせている。

そして、どれだけ風呂に入らなくてもわたしを清潔に保つという効果もあるのだ。

いや、わたしはちゃんと入るよ風呂。洗濯無用は慣れれば抵抗がなくなるが、風呂は別物である。

しかし服が1枚で他は不要というのは神様もよくわかっている。パンツは別として。

だらしないと思われるのが嫌なので、それなりに服を着ていたわたしだが正直選ぶのが面倒だったのだ。


装備を外すと意識しないと脱げないのが難点なこの『神の衣』はもちろん剣も魔法も効かない。

ついでに頭も顔も守ってくれるらしい。

そんな最強防具は通常タグがある部分に金糸でわたしの名前が縫ってあるので、他の人には装備できないようになっている。

『神の衣』は、ミコ様限定装備なのである。


この世界の薔薇は神の花とも呼ばれている。

神様お気に入りだからそう呼ばれるのだが、見た目からしてもパク・・・最初に創った花なのだそうだ。

薔薇は他の色もあるらしいが、神の花と呼ばれるのは薄紅色だ。香りは薔薇をフルーティーフローラル寄りにした感じ。

とにかくパク・・・インスパイアした最高傑作なのだそうだ。

わたしの装備から香るのもそれである。

すっげーいい匂い。ちょうどいい感じで香るので、香水とか苦手な人でも臭くは感じないらしい。

ちなみに歩くとき出てくる花びらもそれである。


なんと、わたしは裸足だと薔薇の花びらが出てきて足を汚さす傷つけず歩く事ができるのだ!


だから靴が装備にないんですね、神様。

靴下もないですよ。

スパッツもタイツも、オシャレなレギンスもありません。

裸足です!

ガラスを踏んでも、泥水の水溜りを踏んでも何ともないけど、常に裸足。

神様曰く、裸足状態が最強。海の上も歩けるらしい。

ちなみに靴どころか靴下を履いたら花びらはでなかったし、水溜りで濡れてしまった。怪我をするか実験する気は起きなかった。チキンと言いたい人には言わせておくさ。わたしは痛いのが嫌いなのだ。

とにかく裸足の時のみ、その効果は発揮されるのである。


チートはフィクションでファンタジーだと断言する神様だったので微妙・・・ゲフンゲフン。

授ける能力は限られるのかもしれないと思い始めたわたし。


耳に入る言葉は日本語だとして、話す言葉はどうするのか。

装飾品が来る事を願っていたわたしに授けられた能力。

その名もミコ語。

能力を体感した時の何ともいえない気分で付けた名である。他の表現は思いつかなかったのだが、簡潔で分かり易いと神様には好評だった。

わたしが話す日本語は全て、ミコ様らしい、偉そうな堅い言葉に変換されるのである。

某翻訳ソフトも真っ青な変換で、言ってもいない言葉がなぜか付け加えられているというオマケ付きである。


言葉は重要だ。

キチンと伝わらないとコミュニケーション的に勘違いやすれ違いが・・・!

なんて不安になったりしてみたが、そもそもわたしは他人とあまり会話をしない。

わたしは人見知りなのだ。

そう言って信じてもらえた事はないが、人見知りなのだ。

話しかけられると、なまじコミュニケーションがとれてしまうので気付かないらしい。

そんな事を思っていたら、他人と浅い会話しかしてないんだから起きる問題も起きないだろうと神様に突っ込まれた。


そう、わたしは一見コミュニケーションがとれはするが、そこから人間関係を構築するに至るまでの深い会話はできないのだった。

どうやらわたしが能力を微妙、微妙と思っていたのを気付いた神様は、お前の足りない言葉を補足してやってる能力なんだから上手く使えとまで言ってきた。


そこでやってやんよ!とならないのがわたしである。

ミコ語を持て余すであろう未来を予想し、面倒になったわたしの耳には他人と交流して満たされたら困るしな、という神様の言葉は入らなかった。



ミコ様による装備と能力の説明。

やたらパンツにこだわるミコ様。

コミュ障までは行かずとも、他人と深い人間関係が築けない事を実は結構気にしています。


服を装備としたのは神様のこだわりです。ゲームの影響かと思われます。

例の異世界召喚を教えた神様にゲームからログオフできない系の話も聞いてた為色々ごっちゃになったらしいです。


神様がチートはフィクションとか言ってますが、よく考えると装備が豪華だしチートっぽいですよね。攻撃の手段はありませんがw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ