もぐもぐ雑談
食事を楽しみ、お腹も落ち着いた頃、
「そういえば、ユーラはバッファーなのよね?どうしてパーティを組んでないの?」
不意にアリアがユーラに問いかけた。
「最近冒険者になったばっかりで…ランクもソロでEに上げられたから必要性を感じて無かったんだよね。興味はあるんだけど。」
そう答えたユーラにクリューが驚いた顔をする。
「ユーラはバッファーなのによく魔物を倒せたな。」
「?……えっと、水魔法が使えるので、スライムを水魔法で倒しましたよ?」
首を傾げるユーラに俺たちにも別にタメ口でいいぞと言いながらクリューはアリア達と顔を見合わせる。
「普通はバッファーって魔術が使えない魔力持ちがやるジョブなのよ。魔術が使えるなら魔術師系のジョブを選んだ方がソロでも活動しやすいからね。ユーラはどうして魔術師系のジョブにつかなかったの?」
そう尋ねるアリアにユーラはえ〜っとと考えながら話す。
「わ、私の故郷はちょっとした島にあるんだけど、呪歌が得意な人が多くて…皆でバフとデバフを使いながら狩りをして暮らしてたんだ〜。で、私も教えてもらって呪歌が得意だったからその強化が出来る声楽家を選んだの。だから、正確にはバフもデバフも同じくらい出来るよ。」
正直に全てを話す事は出来ないため、少し嘘を混ぜつつ経緯を伝えると「へ〜」「ほ〜」と感心した声があがる。
「珍しいわね〜。ここら辺だとバフ系は他の人がいないと役に立たない、が常識なのよ。呪歌は使いこなすのが難しいから魔法を練習した方が速いし。それに、自分にはかけられないでしょ?」
「え?」とユーラが不思議そうな顔をすると3人も「え?」と同じような顔をする。
「私、自分にもバフかけられるよ?故郷の人達も全員出来てたし…」
そういうと3人は驚き目を見張る。
「そんな事、初めて聞いたぞ?ユーラの故郷は大分特殊みたいだな…。普通に生活出来てたみたいだが、どうして故郷を離れたんだ?言いにくい事なら言わなくてもいいが。」
クリューがそう問いかけるのも無理はない。冒険者は生活が苦しい人や事情があって家を出た人等がなる職業だ。大体は家業を継ぐ事が多い。
「えっと、風習で?なんというか、狩りが出来る1人前になったら外の世界を見て回る?らしくって…とりあえずお金が稼げそうな冒険者になったんだぁ。まぁ楽しいからいいんだけど。」
「そうなの?外に人が出る風習がある割にはそんなに凄腕のバッファーがいるなんて話あまり聞かないけれど…」
「私が久々に生まれた子どもらしくって、ここ最近はたまーにちょっと遊びに行くくらいだったって言ってたから冒険者とかをしてないだけじゃないかなぁ?」
のほほんと言うユーラにそういうものか?と納得しきれないクリュー達。実はユーラより前に地上に来た人達は複数人で出てきて自然と身内でパーティを組んでいたため目立たず、話が広がらなかったという事情もある。
「そういう皆はなんで冒険者になったの?」
あまり深く聞かれるのはまずいか?と思ったユーラはアリア達に水を向ける。
「私は、ありがちだけど家が嫌で出てきたのよ。ほんっとに考えが古くて合わなかったのよね〜」
しかめっ面で本当に嫌そうに言うアリア。
「俺は見ての通り小人族なんだが、暮らしが変わらなすぎて暇でな…他の暮らしをしてみたくなって旅してる感じだな。」
ハハハッと楽しそうに笑うクリュー。
2人が話し終わって最後の1人、レンに全員の目が向く。先程から話しは聞いている様だが口をあまり開かないレンをユーラはじっと見つめる。
「俺も鬼人としてはありきたりな理由で、強くなりたかったんですよ。でも、里のやり方では強くなれなくて。武器やら体術やらを学びたかったんです。」
苦笑するレン。皆それぞれ理由があるんだなぁ〜と感心するユーラ。そんなユーラを見ながらよし!と気合を入れたアリアは、
「ねぇユーラ、パーティ組む予定もないなら私達と組んでみない?そしたらさっきみたいに絡まれる事も無いと思うし!私達のパーティにはバッファーいないし丁度いいと思うの!」
と切り出し「ね!リーダー!」と期待を込めた目でクリューを見つめる。
「俺はいいと思うがユーラの気持ち次第だろ?ユーラは1人でも充分そうだしな。ユーラはどうする?」
少し突っ走っているアリアを抑えつつユーラに問いかけるクリュー。少しの間しか関わっていないが、ユーラは「アリア達はいい人だなぁ〜」と感じており、荒くれ者達にパーティー入りを迫られた事もあり迷うことは無かった。
「私でよければ、よろしく!」




