出会い
冒険者ギルドへ行く途中、「そういえば3人組の事どうしようかな……ついでにカウンターの人に言ってもいいけど……そろそろ人が多くなる時間だし、やっぱりご飯だけササッともらってレーネさんに相談してからでもいいかな?」と考えながら歩いていた。
周りの店をほけ〜っと眺めながら考え事をしていたユーラは前方から例の3人組が歩いてくる事に気づいていなかった。
「あ!おいてめぇ!!」
「ウェ?!」
朝と同じ様な大声に変な声が出たユーラはキョロキョロと見渡しようやく3人組を見つけた。
「てめぇのせいで今日の稼ぎがいつもより少なくなったんだぞ!」
「そうだそうだ!」
「バッファーのくせに逃げ出しやがって!」
「生意気なんだよ!!」
まさか町中で堂々と難癖を付けられると思ってなかったユーラは目を瞬かせる。朝、簡単に撒くことが出来たため、彼らに対する恐怖はない。余裕そうなユーラに若干たじろいだ様子を見せた男達だったがふんっと鼻息荒くリーダーらしき男がユーラの腕を掴む。
「おら、こっちこい!稼ぎが少なくなった責任をとりやがれ!」
グイッと手を引かれるが、ユーラとしては理不尽な彼らの言い分に従う理由もない。闘唄で強化した身体能力で踏ん張る。
力を込めてもユーラを動かす事が出来ずつんのめるリーダー格の男。
「パーティには入らないとお断りしました。それでも追い回したのはあなた達でしょう。その責任を押付けられても困ります!」
朝とは違いハキハキと言い返すユーラに男は目を瞬かせるが今更後に引けないのか更に力を込めてユーラを動かそうとする。
微塵も動かない小柄なユーラを大柄な男が何とか動かそうとする様子はある種のコントのようだった。騒ぎに気づいた周りの人々が助けるべきか?とざわめくなか、1人の少女が飛び出してきた。
「ちょっと!その子嫌がってるじゃない!離しなさいよ!」
勝ち気そうな赤い瞳に長い金髪を動きやすくまとめた少女は男とユーラの間に立ち、持っていた杖をビシッと男に突きつける。
「あぁ?んだてめぇ!関係ねぇだろうが!!これは俺たちパーティの問題だ!すっこんでろ!」
「いや、私はパーティじゃないんだけど…」
ユーラの呟きは拾われず少女と男の言い争いはヒートアップしていく。
「お〜い、落ち着けアリア。何してるんだ?」
人混みをかき分けて少女、アリアの連れらしき1人の少年と角が生えた青年が出てきた。がたいのいい青年が出てきたのを見て勢いが萎む男達。
「こんな可愛らしい女の子に寄って集って何してるんです?みっともないからやめたほうがいいですよ。」
アリアと、男に腕を掴まれているユーラを見て何となく状況を把握した青年が煽りを交えた言葉を吐く。男はカッと怒りに顔を赤くするが、大事になってきた周りの様子を見るとチッと舌打ちをしてユーラの手を離した。「おい、行くぞ!」と野次を飛ばしていた残り2人を引連れ人混みの中へ消えていった。
「大丈夫?怪我してない?」
アリアは心配そうな顔をしてユーラの手首を見る。強く握られて赤くなっているのを見て手をかざす。
「治癒」
ポワンとユーラの手首が優しく光り、赤い跡はなくなった。初めて治癒魔法を見たユーラは「おぉ〜」と感心してお礼を言った。
「助けてくださってありがとうございます!もし良ければ皆さん、一緒にご飯を食べませんか?お礼に奢ります!」
優しくしてくれたアリアともう少し話してみたいと思ったユーラはお礼も兼ねて夕食へ誘う。
今襲われたばかりだというのに怯える様子もなく目をキラキラさせて食事に誘うユーラにアリアは目をパチパチとさせるが、誘いに嬉しそうに頷く。
「いいわね!それにあなた、冒険者なんでしょ?同じ年頃の冒険者の子って中々いないからもっとお話ししたいもの。あ、でも、奢るんじゃなくて、私達今日この街に来たばかりだから美味しいお店に案内してくれればいいわ!」
「……実は私もこの街に来たばかりだからあんまりお店はしらないんですけど…。でも!冒険者ギルドの酒場は結構美味しいのでそこで食べませんか?」
ユーラが自信なさげに言う。
「大丈夫よ!丁度、私達も冒険者ギルドに依頼達成の報告がてら行こうとは思ってたから。そこのご飯が美味しいって情報だけでもありがたいわ。ねっリーダーいいでしょう?」
アリアが振り向いて青年達に向かって問いかけると、返事をしたのは少年だった。
「おー、いいぞ。じゃあとりあえず冒険者ギルドまで案内してもらってもいいか?」
少年がリーダーという事に驚きつつも「はい!」とユーラは元気よく返事をして冒険者ギルドへと向かった。




