偵察(ウィンドウショッピング)
子どもたちに教えてもらった魔道具の店は「旅人の友」。その名の通り旅に役立つ魔道具が揃っている店だ。通りは高級感に溢れていたが、その始まりにある「旅人の友」はまだどこか親しみやすい雰囲気のあるお店だった。冒険者ギルドと比べたら綺麗で高そうなお店!という感じはあるが。
お店へ入ると店員がチラとユーラを見て視線を戻した。店内にはユーラと同じ冒険者らしき姿から貴族の使いらしきメイドや執事の姿にと様々だ。メイドや執事には店員が付いて説明しているが、冒険者は個人でまわっており、時折店員に話しかけている。冒険者と貴族関係者に合わせて対応しているのだ。
店は1人で回りたい派だったユーラは好都合だと店内を歩きまわる。子ども達の話のとおり、様々な魔道具が置かれていた。野営用品として火をつけるものや明かりとなるもの、洗浄が出来たり、虫除けをしたりとちょっとした効果のものもあり日本のアウトドアグッズを眺めているようで、ユーラは楽しげに見て回る。
奥に置いてあるもの程高価で結界が張れたりテント内の温度を調節出来たりより高度な魔道具で、いかにもファンタジー!といったラインナップがならんでおり、こちらはこちらで面白いとユーラは思った。アイテムバックとナビゲータらしき魔道具はやはり高価なゾーンに置いてあり、ナビゲータはランタン型ではなく、方位磁針のような形をしている。
1番高いアイテムバックの説明書きを見ると「2頭立て馬車と同程度入る大容量 大金貨 4枚」と書かれていた。まだイマイチ金銭感覚が掴めていないユーラだったが、宿屋が1泊銀貨1枚として、銀貨10枚で金貨1枚、金貨10枚で大金貨1枚……400日は泊まれる事になるのかぁ…と途方も無い額にほへぇ〜と間抜けな顔になる。
見たところ時間を停められるアイテムバックはなさそうだったが、普通のアイテムバックですらとてつもない値段である。つまりユーラが持っているアイテムバックの値段は更に高くなるという事だ。
ゆっくりと首を回しナビゲータらしき魔道具の説明書きを見るユーラ。「いざと言う時の保険に。何処にいてもアークラの場所を指してくれます。 金貨8枚」と書かれている。ユーラのナビゲータは大きくてかさばる見た目ではあるが、目的地を変更する事が出来るので言わずもがな金貨8枚よりは高いだろう。
高価なナビゲータを付けていたユーラが襲われなかったのは売ってあるナビゲータと見た目が違いすぎるからかな?とあたりをつけたユーラだが、値段を見てバックにかけたままだったナビゲータはバックにしまおうと決めた。
商品を良く見ていると、アイテムバックの方は麻袋4袋分入る金貨3枚の安い(庶民からしたら十分高いが)ものもあった。見た目はあまり変わらなかったため、アイテムバックを全く使わないのは面倒くさそうだと思ったユーラは一番安い性能のアイテムバックとして使う事にした。
とりあえず、必要だったアイテムバックとナビゲータの確認は出来たユーラは店を出る。取り急ぎ必要そうなものも無かったし、お金に余裕がある訳でも無かったからだ。
少し離れた所でナビゲータをそそくさとしまい、辺りを見回すといつの間にやら日が傾き、街並みは赤く染っていた。「もうこんな時間か…」とユーラはつぶやく。商品を眺めるのが楽しく、ユーラが思っていたよりも時間が経っていたのだ。
「今日は何食べようかな〜」
ユーラはのんびりとした足取りで食堂のメニューを思い浮かべながら冒険者ギルドへと向かって歩き出したのだった。




