3章
ホーク君の動画の構成からすると、次は証拠集めだろう。今日は彼の独壇場だからいじめる様子をたくさん撮れるはずだ。覚悟しやがれ。
しばらく探して歩くと、目的の相手がいた。のうのうと植木鉢の手入れをしている。私はスマホのカメラを起動し、その時を待った。
ようやく植木鉢の角度に納得がいったのか、鷹橋はチラリと腕時計を見た。つられて私も時計を見る。11時少し前だった。すると――
「あの~」
突然、声がした。男性の声だ。思わず、体が跳ねる。そしてぎこちなく後ろを振り向くが、誰もいなかった。どうやら鷹橋に呼ばれていたらしい。
何か話しているらしい。少し遠すぎてよく聞こえない。
しかし、いちおうカメラに収めておこう。もしかしたらなにか入るかもしれない。
これを録画したら、いったん席に戻って仕事をこなさないといけない。とりあえずは北條さんに任せているが、それでも二人分の仕事をこなすのは厳しいだろう。いそいで戻ってヘルプに入らないといけない。
席に戻ると北條さんが忙しそうに仕事をしていると思ったら、なぜが全く違って、意外と余裕があるように見えた。
もうあきらめてゆっくり丁寧にしているのかと思ったが、詳しく話を聞くとそんなことはないようだった。
どうやら今日いるあいつにいじめられているメンツには計画のことを話したらしい。みんながみんな「バレたときにもっといじめられるかも」だとか「あいつと関わりたくない」だとか「むしろ最近ちょっといじめられるのに快感を覚え始めている」だとかと言って、すぐには賛成しなかったようだが、さすがは元営業部のエース。そこは力強い交渉や、見返り、逆にサディスティックに目覚めさせるなど、たぐいまれなる才能をフル活用して、仲間を集めたらしい。その数なんと今日いるメンバー全員。そのメンバーで仕事を分担したらしい。
北條さんのあふれる才能の片鱗に少なからずあてられた私は
「私じゃなくて北條さんが復讐すれば…」
と、口から零れ落としてしまった。
ハッと思わず口を手でふさぐ。
「私には無理ですよ。行動力がないですから。所詮私ができるのはサポートだけ。それ以上のことはどうしても無理なんです」
北條さんは笑いながらその返答としてこう答えた。
たしかに私だってホーク君の存在がなければこれまでもこれからも復讐しようなんて考えなかっただろう。
だから――
「いつか、北條さんにも背中を押してくれる存在が現れるよ」
私ができる精一杯の応援を、アドバイスを、そして希望を彼女に捧げた。




