還暦勇者? 異世界転移する 5
「それでは、この世界アンダーパスについてお話し
する前に信晴さんは異世界についてどの様な認識を
お持ちなのかを、お聞かせ下さい。」
「私が、ですか?」まさかの問いかけに戸惑う私に
「やっぱり夢と希望のファンタジーですかねぇ」と
咲良くんが真っ赤に張らせた顔でニッコリ言うと、
女神は「うん、うん」と頷きながら、ニッコリと
微笑み「信晴さんは如何ですか」と催促された。
「そうですね、私達が居た地球には知的生命体は
こちらで言う人族しか居ませんでした。その人族
同士の争いは絶えませんでしたが、魔法や魔族の
無い世界でした」
「私の異世界についての認識は、世界を揺るがす
悪者が居て・魔法とスキルと鍛え抜かれた身体を
駆使して悪を成敗する、冒険活劇かなぁ」
(まぁ、昔読んだラノベのまんまなんだけどね)
「課長って、意外とロマンチックなんですね❤」
「よせよ、恥ずかしいだろ(汗)」と照れると
「そんなことはありません。信晴さんの認識で
間違いはありません。話が早くて助かります」と
女神からのお墨付きを頂き嬉しいのも束の間、
急に引き締まった顔つきの女神が話を続ける。
「このアンダーパスも現在魔族の進行が激しく、
騎士も冒険者も防戦で手一杯の状況なのです」
「ですから、お二方には現状打開のカンフル剤に
なって頂きたいのです」
「そのために、お二方にはそちらの世界で言う
ところの、チートな能力をいくつか授けます」
「先ず、お二方とも魔法が使える様にします」
「信晴さんは主に攻撃魔法を、咲良さんには治癒
魔法を使える様にします」
「それでは早速行きますよぉ、いいですかぁ~
ムムっ・ムムムっ・ムムムムっ」
女神が顔を真っ赤にして唸り始めるとテレビの
画面がたちまち光だし、やがて部屋全体を光が
覆ったと思ったら数秒後には光も薄れ元通りに
なり、画面には息を切らした女神が映っていた。
「ハァハァハァ、これで魔法が使用可能です」
(しかし、いきなり使えると言われてもなぁ)
「もう使えるんですか?」半信半疑で尋ねると
女神は「ステータスを確認すれば解ります」と
言い「ステータスですか?」と聞き返すと、
「ステータスとつぶやいてみて下さい」
(やってみるか)「ステータス」とつぶやくと
目の前に何やら表の様な画面が現れた。