還暦勇者? 異世界転移する 3
画面の女性が「信晴さん咲良さん、こちらへ」と
即すので、我々はテレビの前に腰を降ろした。
女性は「突然のことで驚いたでしょう」と我々を
労いつつ「お二人の置かれた状況について私から
説明をさせて頂きます」と続けた。
「先ずは自己紹介をさせて頂きますね」
「私は、愛の女神アンダー・ステアと申します」
「そしてこの世界アンダーパスの管理女神です」
彼女は、状況をまったく理解出来ていない我々を
尻目に説明を続けるのだった。
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女神の説明は、概ね次の通りだった。
1.二人が昨夜男女の関係になった直後に心臓に
持病のある咲良くんが急死してしまった。
咲良くんの身上を哀れと思った地球の管理
女神により、アンダーパスへの異世界転生を
打診されたアンダー・ステアが快諾した。
転生とは前世の記憶を持ったまま異世界に
生まれることである。
2.一方私は生きていたので、そのまま地球に
残るはずだったが特殊な事象のため同じく
アンダーパスに転移することになった。
転移とは生きている状態で異世界に移動する
ことである。
3.アンダーパスは地球でいう中世に近い文化・
文明だが、魔法が存在し魔物が人々を襲う
過酷な世界である。
大まかに分類すると地球人型が人族と言い
その他が亜人族、この2族を襲う魔族の
3族になる。(細分類の説明は後々)
4.人族・亜人族は魔族に対抗するため地位の
ある者は騎士になり、平民はギルドで登録し
冒険者になる。
と、言うものであった。
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「ところで女神様、私が転移された特殊事象とは
いったい何なのですか?」と疑問を投げると、
女神はたちまち頬を赤く染め、微かに聞こえる
声で「それは・・・繋がっていたからなのです」
「はぁ?繋がっていた、とは?」と聞き返すと
益々真っ赤な顔で「ですから、貴方のものが彼女
から抜けなかったからです」と女神が叫んだ。
どうやら私のが入ったまま咲良くんが急逝した
ため、結合したままでは私を地球に残せなかった
らしい。