還暦勇者? 異世界転移する 2
私と咲良くんは、まだベットの上に居た。
「とにかく着替えて出社しよう。朝礼があるし」
「はぁい、課長」
「いや、今日から課長じゃないし同僚だから、
それに新課長の葛西くんに悪いだろ」
こんなやり取りのあと、アラームを止め~眼鏡を
掛け~シャワーを浴び~洗面を済ませたあと
身支度を整えて出社しようと、咲良くんと共に
アパートのドアを開けると駅へに向かう小道が
あるはず・・・だったのだが実際は違っていた。
私と咲良くんが外に出ると、目の前には我々が
見たことの無い世界が広がっていた。
そこは深い森の中の様で、まるで原始にタイム
スリッブでもしたかの様な景色だった。
『課長ぅ、外はどうなっちゃったんですぁ?』
と尋ねられ、「どうなっちゃったんですかぁ?
って言われてもねぇ」と言いながら振り向と、
そこに居るはずの咲良くんの姿が無い!!?
「咲良くん、どうした?何処に居る?」
『何処って、ここに居るじゃ無いですかぁ』
「いや?私には咲良くんが見え無いのだが」
『え~っ!!!そんなぁ(泣)』
咲良くんの声はすれど姿は見えず、パニくって
いると突然「ギャー!!!」「ギャー!!!」と
叫び声が2回鳴り響いた。
(聞いたことの無い声だが、何の声だ?)
声のした方向を凝視すると、何やら黒っぽくて
背の低い子供の様な物体が歩いて来る。
手にはこん棒の様な物を持ち、段々接近する。
(ゴブリン?)そう思った刹那、本能的に危険を
感じた私はアパートに戻ろうと踵を返したが、
そこにはまるで洞窟の入口の様な穴が口を開けて
いるだけだった。
「ドアが無い???」再びパニくる私の耳に
ゴブリン?の叫び声が迫る。
(漢は度胸!)とばかりに眼前の穴に飛び込むと
そこは・・・咲良くんのアパートの玄関だった。
「怖かったですねぇ課長」と涙ぐむ咲良くんが、
抱きついて来る。
「咲良くん今まで何処に居たんだ?」と問うと
「ずっと課長の傍にいましたよ」と答えたが、
「でも、身体が無かった様な感覚がありました」
(実体が無く、思念で会話していたのか?)と
思った、その時唐突にリビングの液晶テレビの
電源が入り薄衣を纏った女性の豊満な身体が
写し出された。