難攻不落
第4話 難攻不落
ーーー
クレイヴ『此処に蔓延る魔物は倒した。』
クレイヴ『さあ…此処から出るぞ!』
「私はどうしたら…」
「…」
「痛いよ…」
クレイヴ(皆んな…気力が弱っているな…無理もないか…)
クレイヴ『此処に集まって下さい!』
クレイヴ『今から皆さんを、一斉に近くの王国に飛ばします。』
「どういうことだ?」
「私たちを一斉に…」
「そんなこと本当に出来るのか?」
クレイヴ(今は俺に出来ることをするんだ…)
クレイヴ(1回ぽっきりの…「転移魔法陣」…)
クレイヴ(俺にはまだやることがある…)
ーーー
クレイヴ『ふあ…よく寝た。』
クレイヴ(さっきのダンジョンで、十分な仮眠を取ったわけだし…)
クレイヴ(体調は良好だな…)
クレイヴ(こんなに寝たのは、いつ以来だろ…ゲーム配信してた頃は、撮影に編集と…寝る暇なんて無かったのにな…)
クレイヴ(おっ…出口が近い様だな…)
しばらく…迷宮を彷徨っていると、出口らしき光が見えた。
クレイヴ『此処は…砂漠?』
「ディーダ砂漠」
クレイヴ『まさか…異世界で砂漠を見るとは…』
ドドドドドドドドドッ!
クレイヴ「!?」
クレイヴ『この音!?』
クレイヴ『下から!?』
ドドドドドドォォォン!!!
クレイヴ『こいつは!?』
「デスワーム」
・地底の奥深くで蠢き、砂を踏みしめる音で獲物を感知し襲い掛かる。魔蟲の1種。
クレイヴ『俺が獲物か…いいだろう!』
クレイヴ『さっそく!こいつを狩るか!』
ピタッ
どういう訳か、その魔物はピタリと動かなくなった。
クレイヴ『ん?どうした?サービス終了したか?』
俺は、この状況に多少だが…驚きつつも恐る恐るその魔物に近づき触れてみることにした。
そして、動かない原因が分かった。
クレイヴ(これ…フリーズしてる…)
クレイヴ(どうやら俺の、近くに来た。敵は、バグるみたいだな…)
「データの再転送」
「フリーズ」
・自身に接近するすべての対象は、五感と動作及び思考と行動が完全に停止し続ける。
・これにより、対象は永久的に停止し続ける為、完全なる詰みと化す。
・この能力は、「ポーズ」とは異なり自身の任意ではなく、常に発動している。
「削除バグ」
・自身に危害を加えるすべての対象を、無意識及び理不尽に消し去る。
・また、消し去られた対象は、完全なる削除を意味しており、この世から記憶及び存在自体が抹消される。
・これは現状、睡眠及び気絶している場合でしか発動しない。
クレイヴ『まあ…セキュリティはしっかりっと…』
クレイヴ『それはそうと…世界地図を確認する限り…此処から「ルべス王国」が近いな…)
ディーダ砂漠の北に、「ルベス王国」…
その中央に、「クインガル王国」がある…
「ルベス王国」
・世界地図の、最北端に位置するバクラバ砂漠とユーレス海に面している王国。七大国の1つ「クインガル王国」とは、隣国としての友好関係を、建国当初から築いていた。
ーーー
だが…近年、ルベス王国の王女と、クインガル王国の王子が共に婚約し…王子は国王に就任した。
更には、2人の間で双子の子供が産まれる…
この時からルベス王国は、クインガル王国の保護国となっていた。
もうこれだけで、フラグが立っているが…
そう…多くのゲームに良くある設定…
度重なる魔王軍の侵攻で、ルベス王国は壊滅…クインガル王国も壊滅寸前となっていた。
クレイヴ『王国の滅亡か…』
ーーー
「魔物の根城となった…ルベス王国は、完全に占拠し我らの手中に堕ちた!」
「残すは、クインガル王国のみ!」
「王家の者どもは皆殺しにせよ!」
「すべては我が国の為!」
オォォォォォォォォ!!!
ーーー
双方の領土を、何としても手中に収めたい。グレイブルグ王国側と…
最後の要となった王都を中心に…祖国を守り抜く為に立ち上がる。クインガル王国側との…
征服戦争の勃発である…
ーーー
クレイヴ『それで…』
急遽だが…その征服戦争に参戦することとなった。
クレイヴ(皆んなも…何故?と疑問に思っていることだろう…)
クレイヴ(それが…いろいろとあってな…)
ーーー
俺はまず、ディーダ砂漠を抜けた先にある…
グレイブルグ王国との国境に向かう筈だった。
その国境付近には、難攻不落として名高い「ファマリス城塞」が見えた。
クレイヴ『あれが…ファマリス城塞か…』
その城塞は、王国並みの規模を誇っていた。
グレイブルグ王国へ向かうには、5つの国境付近に聳え立つ要塞を抜けなければならない。
グレイブルグ王国を、5つに囲む要塞はかつて…数多の王国軍の侵攻と竜の襲来に備える為に建てられたものであり…
その歴史は古い…
難攻不落と呼ばれる理由も、そこから来ている。
俺が要塞に向かっている…その時だった…
「紅き炎で灰と化せ!」
「ファイアベイン!」
ボボゥ!
ボボォゴゴゴォ!!
「水よ…氷よ…鋭き刃となりて降り注げ!」
「ブリザードランス!」
カチッコチッ!
カララララ!!!
クレイヴ『あれは…所謂「魔法」なのか!?』
「何故だ!?魔術が…発動しない!?」
「どうなっている!?」
クレイヴ『この世界では、「魔術」と呼ぶのか…』
クレイヴ『それにしても…いきなり攻撃とは、随分と物騒だな…はあ…』
「データの再転送」
「ラグ」
・自身に接近したすべての対象は、五感と動作及び思考と行動に遅延が発生し続ける。
・これにより、魔術を含むどのような能力も遅延によって不発となる。
クレイヴ(仕方ない…少し…遊ぶか…)
クレイヴ『グリッチ…』
「!?」
「これは!?何だ!?」
「貴様!何をした!」
「データの再転送」
「グリッチ」
・すべての対象の脳組織及び神経伝達にノイズを発生させる。
・これにより、視覚と知覚が困難となり
また、認識と思考が不可となる。
クレイヴ『ターン(ツケ)が回ったな…』
クレイヴ『今度はこっちの番だ!』
俺は、王国軍に絡まれてしまっていた。
ーーー
「魔彩精鋭の1人である…剣魔アルバートが、何者かに殺られた。」
「何!?アルバート殿が!?さては勇者の仕業か…」
「いや…生き延びた魔物から得た情報では、どうも…勇者の姿では無かったらしい…」
「なにやら…見たことも無い力を使ったのだと…」
「これで…世界に5人か…その内の2人は、勇者に匹敵する者たちだと聞くが…」
「まあ…我々の敵でもあるまい…」
「魔王軍直属の最上位魔族…魔彩精鋭…」
「またの名を…十魔皇である我々にはな…」




