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【コミカライズ2026/1/10発売決定!!】乙女ゲームヒロインの『引き立て役の妹』に転生したので立場を奪ってやることにした。【書籍1巻2巻発売中!】  作者: 陸路りん
第三章

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18.バーナード

 土蛇が彼の体を捕える。そのまま締め上げようとして、しかしすぐにその土の身体は瓦解した。

 黒い鞭が走ったのだ。

 黒い線が軌道を描き、土蛇の身体を縦横無尽に横断すると、それに合わせて土蛇はあっという間に半分ほどの大きさになってしまった。

「こんなもの、俺には通用しないぞ!」

「……っ、さすがは指名手配犯なだけはありますね」

 ジーンは苦しそうに、しかしかろうじて口元に笑みを浮かべて言った。

(まずいなぁ……)

 この状況にミモザも冷や汗をかく。

 バーナードは戦士としては優秀なのだ。

 ちょっと子どもっぽい振る舞いではあるものの、前回は詐欺が成功したから勝てただけであって、正面から戦って勝てるかと訊かれると悩ましい。

(ジーン様と二対一なら、なんとかなるかも知れないけど……)

 しかし勝てたところで、こちらもある程度の負傷は免れないだろう。

 できればまともには組み合いたくない相手だ。

(そもそもバーナードは一体なんの目的でここにいるんだ……?)

 彼は石像のことをミモザと同じく『アルベルトくん』と呼んだ。ということは、つまりーー、

「お前ら……」

 ゆらり、とバーナードは姿勢を整えた。その交戦的な視線は明確な敵意をもってミモザ達のことを睨む。

 その圧にミモザ達は身構えた。

 そんな二人から目を離さず、彼はびしり、と指を差す。

「さては……、お前達も『願いの叶う石』が狙いだな!!」

「……。目的を白状してくれてありがとうございます」

 ミモザは思わず礼を言った。

 『アルベルトくん』のセリフから、おそらく同じ石板の内容を見たのだろうとは思ってはいたが……、確証が得られてなによりである。

(もしかしてもっと情報をくれるかな?)

 聞いたら答えてくれるかも知れない。そう考えてミモザは尋ねた。

「宝探しは順調ですか?」

「ふん、順調に決まってる!」

「アルベルトくん像を回収したのはあなたですね?」

 彼は自信満々に頷く。

「そうだ。これで十二体全部そろったぞ! あとは必要なのを絞って置くだけだ!」

「なるほど……」

 どうやら石板に書かれていた『12の中で必要なのは2つだけ』、『置くのは1日の終わりと始まりの場所』の『12』とはアルベルトくん像が十二体あるということであり、『置く』必要があるのもアルベルトくん像のことだったようだ。

(なんでも話してくれるな、この人)

 本当に相変わらずのようで何よりだ。

「なんだ! その視線は!!」

「いえ、親しみがあるなぁ、と……」

「なんだと!?」

 彼はいきり立つ。

「俺は天才だぞ! 恐れられこそすれ、親しみなど皆無だ!!」

「それは失礼いたしました」

 表面上はしおらしく謝罪しながらも、裏でミモザは思う。

 これは、使えるかも知れない、と。

 そしていかにも優しげな表情を作るとにこりと微笑みかけた。

 無害アピールである。

「でもバーナードさん、あなたは悩んでいるのではないですか?」

「な、なんだと……!?」

「材料は揃えたものの、正解には到達できずにいる」

 彼は顔を真っ青に染める。

「なぜ、それを……」

(よっしゃ、乗った!!)

 占い師作戦成功だ。

 なんとでも受け取れるような情報をいかにも察しているかのように出して、相手が心を見抜かれているかのように錯覚してしまうあれである。

 『悩んでいる』のなんて見つかるかわからんものを探している時点で高確率で起こりうることだし、『材料は揃えた』のは本人が先ほど自己申告済みである。

 『正解に到達』できていたら彼はもうこの場にはいないだろう。

 しかしミモザはそんな内心はおくびにも出さず、もっともらしい顔で頷いてみせた。

「わかりますよ、あなたの考えていることは」

「な、ま、まさか貴様……! 心が読めるとでもいうのか!?」

「いいえ、心を完璧に読むことはできません。しかし断片的に状況を察することはできるのです」

 ミモザの言葉に彼の瞳はきらきらと輝いた。それはまるでスーパーヒーローを見つけた子供のような輝きだ。

「解剖してみたい!!」

(おっと)

 マッドサイエンティストの輝きの間違いだった。

 事態が恐ろしい方向へ転がる気配を察し、ミモザはなんとか軌道修正を図ろうと咳払いを一つする。

「それはお勧めできませんね」

「なぜだ?」

「僕は一人しかいないからです。もし解剖に失敗してこの能力が失われたら困ってしまうでしょう?」

 彼は首をひねって考え込んだ。ややして顔を上げる。

「うまくやる」

「うん、ちょっと頭を冷やしましょうか」

 ミモザは真顔になった。

 忘れていたが相手は保護研究会。倫理観無視の団体の一員である。

(作戦変更)

 ミモザは頭の中で言う予定だった言葉を組み立て直した。

 そして人差し指をぴん、と一本立てて見せる。

「そうですね、今はやめといた方がいいと思いますよ」

「なぜだ?」

「もっと『いいタイミング』があるからです。そう、例えば……」

 子どもに道理を噛んで含める大人のように、信者に説教をする指導者のように、優しく優しく告げる。

「あなたが目的の物を見つけるのを、手伝わせた後とかはどうでしょう?」

 バーナードの目の色が変わった。

いつも読んでいただきありがとうございます。

そろそろ毎日投稿が厳しくなってきました。

頑張りますが、明日の投稿は夕方〜夜ごろになりそうです。

お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。

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