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小さくて可愛い文芸部の知的な先輩を、膝の上に乗せたら毎日座ってくるようになった  作者: ゆめいげつ
第二章 夏と合宿

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第98話 先輩の、報告りたーんず(柚子先輩視点)

「ごごっ……!!」

「え、どうしたのお姉ちゃん?」

「確かに午後だけど、もう夜よぉ?」


 思わず声が裏返って、左から檸檬、正面からママがボクを見る。

 夜のリビング、ボクの緊張は放課後の時とは比べ物にならないレベルまで上がっていた。

 何故なら今はボク一人。こんな時、翔くんが隣にいてくれたらなぁって思う。ボクが今緊張してる理由も翔くんなんだけどさ。


「ごっ、ご報告がありますっ!!」

「え? 翔くんとお付き合いしたって話はもう聞いたよ?」

「……ひょっとして、結婚?」

「ママぁ、流石のお姉ちゃんでもそれは飛ばし過ぎだし犯罪だよ色々と」

「そうかなぁ? ママが檸檬ぐらいの時はもうパパと身体の」

「え、あ、待って! 聞きたいけど聞きたくない! 親のそういう話! すごい興味あるけどなんかやだ!」

「ボクの話を聞いてよっ!!」


 ボクを置いて勝手に盛り上がってたせいでつい大声を出しちゃったから、驚いた二人の視線が向けられる。

 うぅ、言いたいけど言いたくないなこの空気ぃ……。


「や、やっぱりいいや……」

「そこまで言っておいて!?」

「ま、まあ……大したことじゃない、し……?」

「嘘! 絶対に嘘! お姉ちゃんがメス顔してる時は絶対になんかあるもん!」

「め、メス顔!? ボクは真剣だよ!?」

「鏡見て言いなよ! 今のお姉ちゃんすっごい口角上がってるから!!」

「上がってない!」

「上がってる!」


 何故か話が口喧嘩みたいになっちゃって。


「……二人ともぉ?」

「……ぅ」

「……ぇ」

「お行儀、悪いよぉ?」

「……ごめん」

「……なさい」

「よくできましたぁ」


 一瞬でママに鎮圧された。

 ボクと身長、そんなに変わらないのにどうしてこんなに怖いんだろう?


「それで、柚子の報告ってぇ?」


 一番地獄みたいなタイミングで地獄みたいな人から地獄みたいな質問が飛んできた。

 え、ボク今もしかして閻魔様の前に立たされてる的なアレなの?


「い、言わなきゃだ――」

「柚子?」

「は、はい!」

「ママはねぇ、育った娘の惚気話を聞くためにお仕事頑張ってるんだぁ」


 閻魔様が私利私欲にまみれすぎている。


「言ってくれないと今月と来月のお小遣い……」

「言う! 言います! ボクお喋り大好き!」


 アルバイトをしていないボクにその罰は重すぎだよママ。翔くんとお付き合いして最初の夏休みなのにぃ……うあああああ。


「あ、あのさ……」

「う、うん……」

「うんうん!」


 何故か檸檬まで緊張してるけど、絶対にママのせいだと思った。


「か、翔くんと……」


 ええい、言っちゃえ!


「お、お泊まり旅行に誘われました!!」

「…………」

「…………」


 え、頑張って言ったのに……なにこの沈黙?


「あ、あの」

「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっっ!!??」


 隣から、檸檬大爆発。

 

「り、旅行!? しかもお泊まり!? なに、お姉ちゃん、なんなの!? お昼はそんなこと一言も言わなかったじゃん!!」

「あ、あの後、部室で誘われて……」

「誘われて!? ど、どんな風に……!?」

「ふ、普通に膝の上でお昼寝しようとした時に……」

「それがもう普通じゃないことに気づいて!」

「ま、ママぁ……」


 檸檬の猛攻になにも言えないボクはママに助けを求めたんだけど。


「……ママは寝ているパパの上でお昼寝した事があるの」

「なんの話!?」


 ここにボクの味方はいなかった。

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