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第7話 先輩の、反省(柚子先輩視点)

 ボクの後輩は、可愛い。

 器用で要領がよくて、困っている人がいたら例え自分が辛くても手を差し伸べられる、素晴らしい人だ。


 そんな彼の優しさにつけこんで、ボクは、ボクは……!


「うわー! うわー! うわー! うわー! うわあああああああああっ!!」


 今日も自分のベッドで悶えていた。

 ボクのお気に入り、アオウミガメのミーくんぬいぐるみは胸の中でギュッと抱き続けたせいで形がゆがんでしまっている。


 胸の、中で……?


「……なーにしてんだよボクはあああああああああああああああああっ!?」


 座った!

 また座った!

 翔くんが望むならとか言ってたくせに、自分から彼の膝の上に座った!


「……えっちってなんだよ、えっちってさああああああああああああっ!?」


 だって仕方ないじゃん暑かったし何故か翔君と一緒にいると気を許しちゃうというか気づかずそもそも見せちゃったのボクだけど!


「ていうかその後なんて全部ボクのわがままじゃんかもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!」


 自己嫌悪、すっごく、自己嫌悪。

 いや確かにあの時は冷静じゃなかったけど!

 何であんなことしたのさボクは!?


 翔くんの胸の中は大きくて! あたたかくて! 安心できて! 幸せな気分で!!


「えへへへぇ……ハッ!?」


 駄目だ駄目だ駄目だ!

 何を考えているんだボク!

 いつまで翔くんの優しさに甘えているんだ!


 それに、あんな、彼の、膝の上で、胸の中で、ずっと、ずっと……。


「うぅーっ……うぅぅぅぅっ……!」


 恥ずかしさで爆発しそうだった。

 まだ手も繋いでいないのに、あんな大胆なことをボクは……。

 いや、翔くんと手を繋ぎたいとかそういうふしだらな気持ちとかじゃなくてこう、先輩と後輩っていう健全な関係をもっと、こう……!


「……翔くん、凄く、ドキドキしてた」


 彼に寄りかかってる時、ずっと胸の鼓動が聞こえた。

 はちきれそうな程に大きい、ずっと聞いていたくなるような、優しくて力強い音だった。


 ボ、ボクの胸を見た時もそうだったけどか、翔くんも男の子だもんね……?

 ボ、ボクにも魅力があるってこと……だよね?


「えへ、えへへへ、えへへへへへへへ……ハッ!?」


 駄目だ、やっぱり駄目だ!

 これじゃあ明日もまた今日と同じ二の舞になっちゃう!

 

 意志を強く持つんだ、ボク!

 

「顔真っ赤で、ずっと目をそらしてて可愛かったなぁ……」


 大丈夫、ボクならいける!

 明日は絶対に翔くんの膝の上に座らないぞ!!

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