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小さくて可愛い文芸部の知的な先輩を、膝の上に乗せたら毎日座ってくるようになった  作者: ゆめいげつ
第一章 椅子から恋人

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第6話 先輩の、寄りかかり

 柚子先輩は、可愛い。

 柚子先輩だから可愛いのか、可愛いから柚子先輩なのか。

 天文学的な問題も、可愛さの前ではどっちが正解かなんて些細な事だった。


「うぅ、見られたぁ……」


 大変だ、柚子先輩が俯いてしまった。

 原因はもちろん、膝の上ワイシャツぱたぱた事件で俺が、その……下着を見てしまったからで。


「す、すすす、すみませんでしたっ!」


 グリンと、首を九十度曲げて、反対側を見て、叫んだ。

 窓の外の夕陽が輝いている、俺の心は焦りで大嵐なのに。


 本当は柚子先輩を直接見て謝りたかったけど、まだ俺の膝の上なんだもん。

 目の前にいるんだもん。

 叫んだら柚子先輩の耳に大ダメージなんだもん。

 

 ていうか何でまだ俺の膝に乗っているのだろうか。

 いっそビンタとかしてくれた方が戒めにもなって……あ、その手があったか。


「先輩!」

「……な、なに?」

「今すぐ俺を殴ってください!」

「えぇっ!?」

「俺は、先輩がワイシャツをパタパタしている時にその内側を見てしまいました! その絹のようにきめ細やかで白い肌を! 夏の小川のせせらぎを感じさせる薄水色の下着を! そして少年少女の淡い夢のように小さな膨らんだその胸を――」

「わあああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!??」


 ゴスっ!  ゴスっ!!  ゴスっ!!!  ゴスっ!!!!


 頭突き、そう、頭突きだった。

 柚子先輩が俺の胸に何度も頭突きを繰り返している。

 向き的に横からの頭突き。それはまるでゴール前のストライカー。一流サッカー選手のような側頭部から繰り出される頭突きだった。


「ぜ、ぜぜぜ全部言わなくていいからっ! 忘れて! 今すぐ! 全部! 余計な語彙力もいらないっ!」

「はい! 忘れました!」

「ボクの下着の色は!?」

「水色でした!!」

「忘れてないじゃんかあああああああああっっ!!」


 いや、無理でしょう。

 俺だって思春期男子ですよ、柚子先輩。

 しかもそれが好きな人の下着、そして胸ときたら完全保存間違いなしだ。

 今の俺はどんな天才よりも記憶力で勝てる自信がある。


「うぅ……もうっ、もう……」


 ゴスっ、ゴスっ……。


 意気消沈した柚子先輩は弱々しい頭突きを最後に、俺の胸に寄りかかったまま動きを止めるのだった。

  

 俺はここからどんな言葉をかければいいのだろう。

 何を言っても逆効果な気がする。

 

 ……いや、それよりも。


 密着えぐいんだけど!?


 今完全に寄りかかられてるよ俺!?

 柚子先輩の耳が、こう、丁度俺の胸の位置だよこれ!?

 胸の高鳴り確実に聞こえてるよ!?

 だって俺が自分の鼓動を感じられるぐらい高鳴ってんだもん!!

 いつからって? 

 柚子先輩が俺の膝に乗ってからずっとだよ!!


「あ、あの……先輩? は、離れては……いただけないでしょうか?」

「……やだ」


 答えはシンプル。

 駄々をこねる子供のように、可愛すぎる返事だった。

 けどこの状況はマズいって!


「で、でも暑いですよね!?」

「……離れたら、また見るじゃん」

「もう見ません!」

「……やだ、信じられない」


 ああもう可愛いなこの人!

 拗ねた感じで、いやいやしてるけど俺の胸に寄りかかって顔を押し当ててる!

 こんなんやられたら好きになるって! 

 あ、もう好きだった!


「……君はボクの椅子なんだから、寄りかかっても文句ないでしょ」


 そうです。俺、椅子でした。


「……ボクが許すまでこのまま動かないで」

「は、はい……」


 そう言って。

 ――日が暮れるまで、俺が許される事はなかった。

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