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【コミカライズ化!】小さくて可愛い文芸部の知的な先輩を、膝の上に乗せたら毎日座ってくるようになった  作者: ゆめいげつ
第一章 椅子から恋人

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第49話 先輩の、大きな幼馴染

 秘密を意識しすぎて避け続けていた柚子先輩に、逃げ場が無くなってしまった。

 混雑した食堂、催促する姫ちん先輩、空いた俺の隣の席、両手に食器のトレー、すみっこで震える綾斗……いや最後は関係ないか。

 けど流石に柚子先輩もこの状況じゃあ冷静に……。


「……か、かけっ」


 想定外の展開に柚子先輩の頭の中で何かがおかしくなってた!


「せ、先輩お疲れさまです! どうぞ空いてますよ?」

「あ、ああ……ありがと」


 サッと隣の椅子を引き先輩をエスコートする。

 ここまで露骨な反応だと隠し通すのは無理だ。

 多少は妥協していこうと思う。

 連続でお疲れさまですって言った気がするけど、細かいことは無視だ無視。


「あれー? ゆずゆず、知り合いなのー?」

「え、えええ、まあ……ほ、ほら普通な? ぶ、部活の後輩だよ……?」


 トレーを置いて俺の隣に座った柚子先輩が明らかに動揺していた。

 けど姫ちん先輩は雰囲気がおっとりしてるからこれで何とかなるのかもしれない。


「あー! 君がいつもゆずゆずが言ってた翔くんかー!」

「ひ、姫ちんっ!?」


 柚子先輩!?

 いつも俺の何を話してたんですかっ!?


「二年生になって可愛い後輩ができたー。ってゆずゆず、毎日喜んでたのに最近その話を聞かないからどうしたのかなって思ってたんだー」

「うわー! うわー! うわわわわーっ!」

「けどこの反応なら大丈夫そうだねー。良かったー!」


 柚子先輩が俺のことを可愛い後輩……!?

 え、嬉しい……けど可愛いのは柚子先輩ですよ!


「……ひょっとして、翔が毎日言ってた柚子先輩って、この人なのか?」

「綾斗ぉ!?」


 お前、え、何で今それ言うの!?

 いつも知らない女子がいる場所で自分から喋らないじゃん!


「……えっ」


 ほら柚子先輩が凄く驚いた顔で俺を見上げてきた!

 可愛いけど! 嬉しいけど!

 なんだったら柚子先輩の素晴らしさをここで熱弁しても良いけれど!

 それは柚子先輩が恥ずかしがるから駄目だ!


「ぼ、ボクの話……な、なに?」


 柚子先輩が一番興味持ってる!?

 駄目です柚子先輩。そんな小声で囁くように聞いてきても、ここでは……ここではっ!


「あ、自己紹介まだだったねー? あたしはゆずゆずと幼馴染の宮部 姫乃でーす」


 ナイス話題転換です姫ちん先輩!


「……え? あ、天城……綾斗、っす……」


 自分に関係する話題だと急に小動物になる高身長イケメン。

 けれど姫ちん先輩と比較すると小さく見えるのは確かで。

 一八○センチ越えの高身長の綾斗が隣にいても、余裕でそれ以上に大きかった。

 その隣で女子が苦手なのに頑張る高身長イケメン。

 わかるよ先輩に敬意を払うその姿勢、運動部の性だもんな。


 くいくいっ。

 

 ……ん?


「……姫ちん、見すぎ」


 え、可愛い。

 柚子先輩が俺のワイシャツのわき腹部を引っ張ってきた。


「あ、え、えっと城戸 翔です! よろしくお願いします、ひ……宮部先輩!」


 ドキドキしながら誤魔化すように俺も自己紹介。

 柚子先輩が呼んでた印象が強すぎて、危うく初対面で姫ちん先輩って呼ぶところだった。

 

「あー、翔くんもー、綾斗くんもー、名前で呼んでくれると嬉しいなー」

「え?」

「ほらー、姫乃って名前ー、可愛いでしょー?」


 ほわほわオーラが出ていた。

 六月なのに、姫ちん先輩の周りだけ春の陽気を感じる。


「……っく、う、っす……ひめ、の……先輩」


 そしてその陽気に当てられて冬眠から目覚めさせられる小動物系高身長イケメン。


「ほらー、翔くんもー?」

「じゃあ……その、姫ちん先輩。でもいいですか?」

「おー、ゆずゆずと同じだねー!」

「あ、はい。ゆ……先輩もそう呼んでいたので呼びやすいかなって」

「二人は仲良しさんだー」


 柚子先輩の時も心の中で呼ぶだけじゃかなり苦労した。

 それにしても仲良しか、とても嬉しい。


 くいくいっ。

 くいくいっ、くいくいっ。

 おや、また柚子先輩が俺のワイシャツを引っ張ってる。

 とても可愛い。


「……先輩、どうしました?」


 ぎこちなく学食を食べてる綾斗と、美味しそうに凄い勢いで山盛りの学食を食べている姫ちん先輩を横目にこっそりと柚子先輩に視線を向ける。

 綾斗も超大盛り定食の筈なんだけど、姫ちん先輩と比べると普通に見えるな。

 いや今はそれよりも柚子先輩だ。


「……むぅ」


 左手だけ俺のワイシャツを摘み、そっぽを向いてる柚子先輩。

 ちょっと不服そうに、頬が膨らんでる。


「……姫ちんだけ、名前」


 も、もしかして……し、嫉妬なんですか柚子先輩?

 え、嬉しい……それにめちゃくちゃ可愛いんですけど、ここ食堂なんです!

 内緒って言ったの柚子先輩ですけど、俺はいったいどうしたら良いんですか!?


「え、えっと……」


 どうしたらいいか悩んでいた時だった。


 ぽてっ。


 何かが落ちた音じゃない。

 何かが乗った音だった。

 その音はとても小さく、誰にも聞こえないだろう。

 だけど俺は震動と感触で感じ取った。


 席の下。

 俺の右太ももに柚子先輩の左手が、乗せられた。


「ここのご飯はいつも美味しいねー」

「う、うっす……そ、そっすね!」

「…………」

「…………」


 この状況、なに!?

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