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小さくて可愛い文芸部の知的な先輩を、膝の上に乗せたら毎日座ってくるようになった  作者: ゆめいげつ
第一章 椅子から恋人

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第18話 先輩の、いないところで

「あっ、ごめんごめん! エッチな話してると思ってつい来ちゃった!」


 つい、で来るんだそれで。

 まあ確かに俺も誰かが柚子先輩の話をしていたらつい、で入っちゃうかもしれない。


「な、ななな……そ、そそそそんな話してねぇけど!? な、なあ翔!?」


 ……と、隣のイケメンが取り乱し始めた。

 野球一筋の天才超人である綾斗は見てわかるとおり、女の子を前にするとあがってしまう弱点がある。

 成績優秀でスポーツ万能の高身長イケメンの綾斗は当然のようにモテる。モテるけど本人がこの性格なので、いつもその恵まれた身体能力を無駄に使って全力で逃げていた。

 

 だから今もこうして俺の背中に高身長イケメンが体を丸めて隠れている。

 いや何してんのお前。

 

「翔……? 君、もしかして……城戸翔くん!?」

「え、うん」


 そして目の前の女の子は一言で言うなら派手で、何故か俺を知っているみたいだ。

 

 金色の長い髪。前髪がアシンメトリーで左目だけが隠れている。

 柚子先輩の片三つ編みとは違った左右非対称だ。

 ワイシャツとスカートはどっちも丈が短く露出度が高い制服は、スタイルの良さと同時に彼女の色白な肌のおへそやふとももをこれでもかと強調させていた。


「へぇー! 君が翔くんかぁ……!」


 見てくる。すっごい見てくる。

 まるで吟味をするかのようにめっちゃ見てくる。

 こんなにグイグイ来るタイプは、綾斗が苦手なタイプだ。


「か、翔……! こ、こここの子、お前の知り合いか!?」


 ほら、俺の背中でイケメンが怯えてる。


「いや、違う……よね?」

「うん! 初対面! けど話は聞いてるよ!」

「え、誰から?」

「んふふー! 秘密! 私の中で、君はとっても有名人!」


 いつの間にか有名になってしまっていたらしい。


「それに天城綾斗くん、もちろん君も知ってるよ! 超有名人だもんね!」

「う、ウッス! きょ、きょきょきょ恐縮っす!!」


 綾斗は超有名人だった。


「あはっ、タメなんだし普通で良いってば!」

「お、オーッス!」


 背中で叫ぶのやめてくれないかな。


「それで君は?」

「私? そうだなぁ……新芽高校普通科一年A組の謎の美少女。じゃ、駄目?」


 自分で美少女って言っちゃうタイプの人だった。

 確かに可愛いけど、柚子先輩の方が可愛い。


「つ、つつつつまり俺たちは……新芽高校スポーツ科一年B組の謎の美少年……?」


 美少年なのお前だけだよ。


「できれば名前ぐらい教えてほしいかな。ほら、呼ぶ時不便だし」

「それもそだね! んー……じゃあ、檸檬! 檸檬って呼んで! 漢字だから超めんどいの!」


 れもん、レモン、檸檬。

 テストの時、名前を書くの大変そうだ。

 柚子先輩といい、柑橘系の名前が流行ってるんだろうか。


「それでそれで! さっき二人は何の話をしてたの!? 男二人だし、やっぱりエッチな話!?」

「ううん、俺の好きな人の話」

「か、翔……! お前この子の前でまだ続けんのかその話!?」


 柚子先輩の可愛いところ、まだまだ全然伝えられてないし。


「え、翔くん好きな人いるの!?」


 檸檬ちゃんは凄い食いつきだった。

 やっぱり女子って恋バナ好きなのかな。

 柚子先輩の良さをわかってくれる人が増えるのは嬉しいから良いけど。


「誰々!? 名前教えて教えて!」

「ま、待て翔! 初対面の女子に個人情報を簡単に教えるもんじゃないぞ!?」

「うん。柚子先輩っていう文芸部の先輩なんだけどさ」

「駄目だコイツ夢中になると話しを聞く奴じゃなかった!」


 本人に聞かれるならともかく、恥ずかしがることじゃないと思うけどなあ。

 それよりそろそろ綾斗お前、背中から出てきてくれない?


「へー……ふーん……へぇー! そっかそっか! 良いじゃん!!」

「うん、柚子先輩は凄く良いんだ!」


 檸檬ちゃんは凄く良い笑顔だった。

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