表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さくて可愛い文芸部の知的な先輩を、膝の上に乗せたら毎日座ってくるようになった  作者: ゆめいげつ
第一章 椅子から恋人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/128

第16話 先輩の、作戦会議(柚子先輩視点)

「つまりお姉ちゃんは放課後の部室でいつも可愛い後輩の翔くんと二人きり。一度乗った彼の膝と温もりが忘れられず、その優しさに甘えて毎日座っちゃうと……」

「……うぅ」


 地獄だった。

 今までボクがやってきたことを客観視した上で、それを妹の檸檬に一から全部説明する。

 思い出して恥ずかしい、喋って恥ずかしい、恥ずかしさのオンパレードだった。


「うん、エッチだね」

「エッチじゃないよ!?」

「エッチだよちゃんと自覚して! 翔くんがオレサマ系のドS王子だったら今頃お姉ちゃん押し倒されてるよ!」

「お、押し……!?」

「でも待って。翔くんから椅子になるってことは、純粋ドM後輩ワンコ系ヒーローかもしれないね!」

「……ボクにもわかる言葉で喋ってくれない?」

「総じてエッチ」

「総じてエッチ!?」


 こ、この子は実の姉のことを何だと思っているんだろう。

 昔は物静かでボクの後ろにぴったりとくっついてきて可愛かったんだけどなぁ。


「今度こっそり隠し撮りしてきてくれない?」

「絶対ヤダよ!?」

「えー、翔くんの上に乗って頭が沸騰しそうなお姉ちゃんが見たいだけなのにー!」

「だけの範囲を超えてるよ!!」


 ボクの痴態なんて見てどうするつもりなの。


「じゃあ写真! せめて翔くんの写真見せて!」

「え……」

「写真ぐらい良いでしょ? お姉ちゃんが好きな相手なんだし、私も知っとくべきじゃん?」

「いや、あのさ……」

「え、もしかして人には見せられないエッチな隠し撮りだらけとか!?」

「違うよ!! そ、そうじゃなくて……写真、一枚も、無くて……」

「…………え?」


 何でそんな信じられないものを見た、って顔するの?


「……あー、じゃあSNSのアカウントでも」

「知らない……」

「……い、今から自撮りを送ってもらうとか」

「連絡先も知らない……」

「嘘でしょ二ヶ月も何してたの!?」

「健全に部活動だよ!!」

「後輩男子の膝上に乗ることの何が健全なの!?」

「うぐぅ……」


 か、勝てない……。

 積み重ねた正論がボクを襲ってくる……。


「好き、なんだよね?」

「うん……」

「それで連絡先も聞いてないの?」

「た、タイミングわからなくてそのまま……」

「同じ部活なのにそれじゃ不便だったでしょ?」

「部室に行けば、いつでも会えるし……」

「惚気っ!!」

「惚気!?」


 そんなオーバーリアクションでベッドに倒れこまなくてもいいじゃんか。

 ほらシャツが捲れて、おへそ出ちゃってる。


「……わかったよお姉ちゃん!」


 うわっ、ビックリした!


「お姉ちゃんの為に私が一肌脱ぐよ! あ、エッチな意味じゃないからね!」

「わかってるけど……な、何するの?」

「チッチッチ、恋は駆け引きが重要なんだよお姉ちゃん」

「か、駆け引き……?」


 ちょ、ちょっとだけそれっぽい。


「そう駆け引き! 押してばかりじゃ駄目、たまには引かなくちゃ!」

「ひ、引く……そ、それなら明日ちょうど図書委員があるから部活は休みだけど……」

「いいじゃん! 一時的に距離を置けるから翔くんを焦らせるね!」

「じ、焦らす!?」

「そこを誘惑すればイチコロだよお姉ちゃん!」

「待って!」

「その時もすぐには座っちゃ駄目、ギリギリまで待てをしてムラムラさせるの!」

「待ってよ!」

「そう! これこそアマアマギリギリムラムラ既成事実大作戦――!」

「待ってってば!」


 駄目だこの子、夢中で何も聞いてくれない!


「とりあえず気になるから明日、翔くんに会いに行って良い?」

「駄目!」

「えー! ちょっとだけ! ほんの少しだけ!」

「ちょっとも少しも駄目!!」

「……ちぇー」

「駄目だからね!?」

「……はーい」


 うぅ、絶対に相談する相手を間違えたぁ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ