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小さくて可愛い文芸部の知的な先輩を、膝の上に乗せたら毎日座ってくるようになった  作者: ゆめいげつ
第一章 椅子から恋人

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第13話 先輩の、寝言

 むにゃむにゃと、おねむなゆずせんぱいに、ねよ? といわれた。

 

 考えられる答えは二つ。

 寝るか、寝ないか。

 

 けれど少し考え見れば分かることだ。

 こんなに可愛い柚子先輩の提案を断れる訳がないと。

 そう、最初から答えは一つだった。


 俺は、寝る。


「……すぴぃ」

「…………っぁ!」


 寝られる訳がないだろう!

 柚子先輩が俺の膝の上で眠っているんだぞ! 寝ているからいつもよりももっと、完全に俺に体重を預けているこの状況で!


 それなのに柚子先輩は座ってすぐにぐっすりだよどんだけ眠かったんだ!?

 

「…………ふへへぇ」

「ハッ!?」


 柚子先輩の小さな肩を掴む。

 これで三度目、流石に慣れてきた。

 柚子先輩は小さい。小さい体を俺に預けて寄りかかり眠っている。


 すると、こうなる。

 力が入っていない、無防備な柚子先輩がどんどんずり落ちてくるんだ。

 それを俺は申し訳ないと思いながらも肩を掴んで元の位置に戻していく。


 軽い! 小さい! 柔らかい! 可愛い!


「せ、先輩……ふ、普通に寝た方が良いんじゃないですかね?」


 寝てしまっている柚子先輩に提案してみる。

 ちょっと、こう……限界が近かった。

 柚子先輩を持ち上げて俺に寄せる度に良い匂いがする。

 軽いけど、それでも柚子先輩の体を何度も乗せていると背中だけではなく太ももにもその体重がかかって、こう……ヤバいんだよ!


「……へーきぃ」


 もぞもぞ、俺の上で、もぞもぞ。

 ……返事、返ってきたんだけど。


「……先輩、起きてます?」

「…………ん、にゃ」

 

 んにゃ。


 んにゃ?


 んにゃ!?


「……すぅ……すぅ……」


 寝言みたいだ。

 いやどんな寝言だよ!

 寝言で人が殺せるぞ!?


「……んぅ」

「ァッ!」


 寝返りを、うった。

 俺の胸の中で横向きになる柚子先輩。

 顔の下で両手を合わせ、上半身を丸めてすっぽりと俺に収まっている。


 思わず変な声が出た。

 けれどまだ柚子先輩はスヤスヤだ。

 俺の心臓はバクバクだ。


「あ、危なかった……」

「…………へーきー」


 兵器?

 可愛さ兵器?

 自己紹介ですか?

 

 ていうかまた返事が返ってきたけど……もしかして、寝言で返事してる?

 いや、まさか……けれどもしかしたらさっきの『んにゃ』も、『いいや』って返事だったのかもしれない。


 ちょ、ちょっとだけ試してみるか……?


「……今日、暑いですよね?」

「…………ん」


 頷いた!


「……飲み物、買ってきましょうか?」

「……いー」


 どっちだ。

 日本語って難しい。

 首振ってるから多分否定だと思う。


「…………黒船に乗ってきたのは?」

「……………………ぺりー」


 答えた!

 柚子先輩凄い!


「……好きな本のジャンルって何ですか?」

「…………ぺりー」


 ペリー!?

 好きなジャンル、ペリー!?


「……ウチの校長先生の名前は?」

「…………ぺりー」


 またペリー!

 ウチの校長ペリーだった!

 違うこれ完全に寝言だわ!!


「……すきぃ」


 ペリーにお熱の柚子先輩も可愛い。

 きっと今、開国している夢を見ているんだろう。

 

「かける、くん……」

 

 ……。


 …………。


 ………………。


 ……………………。


 …………………………え?

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