『トランポリンでエベレスト』
子供のころ、無邪気に思い浮かべていた夢。成長するにつれそれは叶わないとあきらめた夢。「トランポリンでエベレストを越える」、俺はそれに挑戦する機会を得られた。
「トランポリン跳んででエベレストを超えることは難しいが、トランポリンで飛んでエベレストを超える事なら可能である!」役所の堅物どもに俺の夢を実現させる方法を語った。
まず、エベレストを超えるには、 エベレストの四倍の敷地面積のトランポリンがいる。 張力は関係ない。一番重要なのは気力だ。 俺は、長い旅路の中で、伸縮無限、弾性係数1以上の布を見つけていた。
弾性係数1以上。つまり布はどこからかエネルギーをもらってきて、それをプラスして返すということだ。このエネルギーが光からなのか熱なのか、はたまたそれ以外なのかは今はどうでもいい。
段数係数1の壁を越えればいい。そう気づいた時、俺の脳はこの世の心理を悟った。わかったぞ! やれる。俺ならやれる。これがエベレストトランポリン射出事件を引き起こすことになる。
時はきた。 大量のギャラリーの中、舞台は設定された。 目の前には高くそびえるエベレスト。 そしてそれの手前に、もう地平線の彼方までトランポリン。 この上で少しでも跳ねようもんなら 先は想像に難くない。
舞台は整った。御託はもういらない。あの頃の夢を目指しトランポリンの中央から大きく跳ね上がる。俺の体は上へ、上へ-。とうとう山頂すら眼下へまわり、青い空が視界いっぱいに広がった。
執筆: nu, ts, hideri