『触手のある鏡』
「今日も眠いな」 彼女はそう呟いて二階の寝室から一階の洗面所へと向かった、 「冷たい」 冬だ。水は冷たい。 寝ぼけ眼で正面を向いた。
鏡がある。 至って普通の、しかし何か違和感があった。
鏡をのぞくとそこにはいつもと変わらない自分がいる。写りがおかしいわけじゃない。ふと鏡の縁へ視線を動かすとそこには 無機物には似つかわしくない触手がはえていた。
「ヒッッッッ」 声が出なかった。 腰が抜け、後ろの洗濯機に凭れるように尻をついた。 黒ずんだ触手は鏡のふちを取り囲むように、、、 「動いたっ!!!」
動いた触手は一瞬にして、自分の首元に絡みつく。 その時初めて気づいた。 その触手には小さな穴のあいた腕が一つあり、 自分の顔の前まで、その腕を突き出した。 そして、まるで囁くように 「言った」
「お前は鏡の中の自分と話してみたいと思ったことはないか?」かすれるような声は、確かにそう言った。言葉の意味を理解しようとするより先に、首元の触手を払おうとした。
「いやあっ!」 ああああああああああああ ああああああああ ああああああああああああ 1秒か、1時間か、 「大丈夫か!」 そういって父親が来た。 「出たなカビめ!」
カビ〇ラー! ぴったり泡が!奥の奥までー! 「キレーイ!(喜んでる主婦)」 浸透力でしつこいカビを根こそぎ除去! 「「「「「カビ〇ラー!」」」」」」
執筆: 旱川, ts, nu