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精霊の町

作者: 新萌

 とある国の小さな街、その街の入り口にある、小さいながらも活気溢れる市場に、1人の青年が足を踏み入れた。中性的な顔立ちの青年は、茶色の渕付き帽子を被り、青みかかった長髪を束ねている。20歳前後と思しき青年は、肩から掛けた鞄から地図を取り出し、市場の入り口かにある看板と見比べた。

「ここが、あの.....」

 青年は感嘆にも似たため息をつき、顔に喜びの表情が現れた。

「やっと、着いた.....」

 青年は地図を眺め、上の方にある大きな都からこの地へと引かれた赤い線を指でそっとなぞった。

彼は、10日はかかりそうな道のりを、はるばるやって来たのだ。彼は、今までもこうして、小さな街ならではの自然や人の温もり、素朴な街並みを求め、小さな街へと旅をしていた。


 初夏の柔らかな風がさあさあと吹き、青年の髪と、深緑色の上着をひらひらと揺らす。まるで、彼を歓迎しているようだった。

 長旅の後の青年は、ひとまず空腹を満たそうと、市場を見て回ることにした。街への入り口とも呼べるこの市場は、青年のような旅人や、大都市や、遠い海の向こうから来た商人が集まり、様々な品物が売られている。各々が小さな台や机を置き、場所の許す限り、ありったけの品物を置いて‟店”とする。雨が降れば、柱を立て、布をかけて屋根とする。青年は、店とは呼べない店が集まる市場が好きだった。


 青年は歩きながら品物を見ていく新鮮でみずみずしい野菜や果物、魚がこれでもかというほど並んでいる。食べ物の屋台の先には屋台が並び、おいしそうな匂いが辺りを満たしていた。

「.....はあ、いい匂いだ。」 


 青年は1つ1つ屋台を眺め、そのうちの1つ、サンドウィッチを売っている屋台の列に並んだ。サンドウィッチ、と言っても、両面を軽く焼いた食パンに適当に切った具材を挟んだんだけという、なんとも粗雑な物であったが、彼からすればそれもまた旅の醍醐味であった。


 「いらっしゃい!お客さん、注文は?」

青年の順番になると、店の奥に立っている男性の妻と思われる女性が、威勢の良い声で注文を取った。メニューを見た青年は少し考え、

「えーと、この、『照り焼きサンド』をお願いします。」

と言った。

「あいよ!」

 また威勢の良い声で返した女声は、先程の男性に「照り焼き」と伝えた。男はすぐにレタスを一口大に千切り、水にさっと通した。予めタレに通しておいたサイコロ状の鶏肉を取り出し、鉄板の上で焼いていく。

 店のまわりに甘辛いタレの香りが広がった。

「わあ.....」

 ジュウジュウと音を立てて焼かれた鶏肉は、隣で軽く焼かれたバターの塗ってある食パンに、レタスと共に放り込まれ、あっという間に紙に包まれ、青年の前に出された。

「『照り焼きサンド』、お待ち!」

「ありがとうございます。」


 青年は数枚の硬貨を渡しサンドウィッチを受け取った。市場の大半が望める広場に向かい、1つの木の椅子に座った。両手で紙に包まれたサンドウィッチをを持ち、そうっと1口かじった。口の中にバターとタレの風味が広がる。軽く焼かれたパンと、鶏肉の相性も抜群だった。

「おいしい.....」

青年はそのままパクパクと食べ続け、物の僅かで食べ終わってしまった。

「ふう。」

 

 空腹を満たした青年は水筒の水を飲み、あたりを見渡した。広場は多くの人で賑わい、笑顔で溢れていた。少年は目を細め、うっすらと笑った。

「ここは、良い街だ。」


 青年はしばらくぼうっと市場を眺めていたが、ふと鞄から一枚の紙と、鉛筆を取り出した。さらに、紙と同じくらいの木の板を出し、紙を置き、市場を描き始めた。カリカリと鉛筆を動かし、緻密に写し取っていく。1時間程経つと、粗い四角形だった紙の中のものは、人となり、店となり、あらゆる物として、そこにあったようやく描き終えた青年は、目の前のものと、紙の中のものとを見比べ、満足げに頷いた。

「ほほう、良い絵ではないか。」

「うわあっ!」

 

 突然背後から声をかけられ、青年は派手に声を上げた。恐る恐る後ろを振り返ると、白い顎鬚を蓄えた老人が、にこにこと笑みを浮かべて立っていた。

「すまんなあ。なかなかの出来であったものだから、見入ってしまってなあ。」

「あ、そ、そうだったんですか.....」

怪しい人ではないとわかったが、まだ心臓はバクバクと鳴っていた。


「隣、よいか?」

 青年は頷き、老人は青年の隣の椅子に座った。

「お主はこの街の者か?」

「いえ、あの、北の方にある都から来ました。」

老人は、驚いた、という顔をした。

「ほお、それは長旅であったなあ。一体何用で来た。」

「旅をするのが僕の趣味なので。今までもたくさんの街を回ってきました。」

「なるほどなあ。」

青年がおずおずと答えると、老人は納得したようにうんうんと頷いた。


 「しかし、その絵は本当に良い。見事なものだ。」

「ありがとうございます。.....あの、貴方はこの町の方ですか?」

 その質問を聞いた老人は、ああ、と答えた。

「わしは長くこの街に住んでおるがな、以前は別の、小さな町に住んでおってなあ。」

「そ、そうなんですね。」

 

 そこまで話した老人は、ああ、そうだ、と何かを思い出したように青年に告げた。

「確か、この近くにあってなあ.....地図は持っておるか?」

「あ、はい。」

 老人に言われた青年はいそいそと鞄から地図を取り出した。老人は今青年たちがいる街から少し下の小さな地名を指差した。

「ここじゃ。此処からそう遠くは無いからな、時間があれば言ってみるとよい。」

「何か、有名な物でもあるのですか?」

「いいや。だが、お主なら、楽しめるかもしれぬ。」

「は、はあ.....」

 

 老人の言葉に少し困惑しながらも、老人に道を教わり、市場を後にした。日も暮れてきたため、小さな宿を借り、部屋に入った。湯浴みを済ませ、帰りに買ったのもで食事を済ませると、ベッドに座り、老人の言っていた町を地図で眺めた。確かに、ここからそう遠くはないようだ。

「この距離なら、明日にでも行けるかもしれない。」

 

 特にこれと言って予定のなかった青年は、明日にでも向かってみることにした。元々自由気ままな旅で会ったから、1日延びようが問題はない。念のため、明日は早朝に宿を立つことにして、明かりを消し、床に就いた。

  

 窓の外に星が煌めく静かな夜だった。


 

 翌日、まだ太陽が高く昇らないうちに、青年は宿を出た。風がさわさわと吹く、気持ちの良い朝だった。青年は地図に引いた赤い線を頼りに一本道を歩き出した。道端の草にはまだ朝露が残り、途中で街に向かうであろう、ガラガラと音を立てた馬車や、馬に乗った商人と幾度となくすれ違った。

 

 暫くして、道が二股に分かれているところが見えた。青年は少し速度を落としながら地図を見た。

 地図には分岐点は存在しなかった。


 「ええ...そんな.....。」

青年は必死に地図と道を見比べたが、どう見ても2本に分かれていた。どうやら老人がその街を出てからずいぶん経っていたらしい。青年はどうしたものかと途方に暮れた。

 

 その時、突如として風が吹き、辺りの木々を揺らした。葉が擦れ合うさらさらという音が響いた。青年は思わず帽子を押さえ、目を閉じた。


 しばらくして目を開けると、青年は驚きの声を上げた。

「え...?」

 

 そこには、2本道の真ん中に、木々で囲まれた小道が出来上がっていた。恐る恐る近付くと、小さな看板が木の枝に掛けられていた。看板には道の奥に向けられた矢印と、青年の目的地の地名が書かれていた。

「これは、一体どういう事だろう。」

 

 地図を見返した青年は、その道が地図の赤線と一致していることに気が付いた。しかし、進むことを少し躊躇った。なにか幻を見せられている気さえした。帰ろう、と思いくるりと向きを変え、元来た道を戻ろうとすると、突然、何かに引っ張られる感覚があった。

「え、え?」

  ‟何か”は、青年をぐいぐいと引っ張り、そのまま小道の方へと押していった。青年は、そのまま訳も分からず吸い込まれるように小道へと消えていった。


 小道へと入れられた青年は押される感覚が消えたことを感じた。後ろを振り返ると、道の先は木々で囲まれ、すっかり隠れていた。青年は深くため息をつき、しぶしぶ小道を進んでいった。

 

 人が2、3人通れるかという小道は、ところどころ雑草が生え、小石が転がっていた。道沿いに生えた木々は小道を包み込んでいるようだった。青年はコツコツと靴を鳴らしながら、かわるがわる左右を眺め、目を輝かせた。

「美しい...!」

 青年は自然の神秘に浸った。


 青年がしばらく進むと、眼前に小川が見えた。川には清らかな水がさらさらと流れ、透き通る水面の下には幾多の魚がさらさらと泳いでいた。近くに古い木橋があるのを見つけた青年はそれを渡った。青年が足をかけると、古びた板が、ギシギシと音を立てた。


 青年は、ふと辺りの木並みが深くなっていることに気が付いた。幹の細いものは減り、代わりに、太く、ずっしりとした大木が増えていた。辺りは少し薄暗くなり、木立から森へと変わっていた。


 青年は、少し奥の岩に何か書かれていることに気が付いた。よく見ると、地図と同じ地名が書かれている。

「ここ、なのか?」

 青年は赤い線を見ると、同じ場所で途切れていた。

「ここ、なのか。」



 道らしい道はないが、踏み固められた地面が、一本道のように続いていた。青年はそのまま足を進めた。周りには苔や草が生え、長い年月を物語っているようだった。

 所々に枯れ葉の落ちている小道を進んでいくと、あまり経たない内に、少し開けた、広場のような場所に出た。


 「ここは、村?」

 一面に草が茂り、やはり木々で囲われている。少し先には畑だったと思しきものと、杭のような物が立っていた。ふと横を見ると、蔦で覆われた木造の家屋の跡がある。さらに、古びた井戸も蔦に絡み取られていた。


 「ここは、もう、廃れてしまったのか。」

 明らかに人気は無かった。あの老人の古郷は、既に記憶の物となっていたのかと、青年は哀愁の念を抱いた。せめてまた出会った時の土産にと、手ごろな岩に腰掛け、市場で出したものの半分ほどの大きさの紙を取り出し、古き村を、ゆっくりと、丁寧に、写し取った。

 しばらくして村を描き終えた青年は、紙をまとめようと鞄の中に手を入れたその時、

 

 突然、強い風が吹いた。小道が現れた時とは似ているような、違うような、ざあざあと音を立てた風が、あたりを包み込んでいった。


 「あっ...」

 帽子を押さえた青年の手の中の紙が、空に舞った。手を伸ばせば届きそうな位置から、さらに高く舞い上がり、森の中へと飛ばされた。青年はすぐに追いかけ、森の中を吹かれていくそれを見つけた。青年は、さらに奥へと走り出した。


 青年は、まだ超えていなかった、街への入り口を、街の名前が書かれた岩を、超えたことに気付かなかった。


 岩を超えた瞬間、青年の周りを風が渦のように包み、そのままふわりと宙に巻き上げた。

「うえ、ええ?」

 突然の事に驚いた青年は思わず大きな声をあげた。木々を見下ろせる程の高さまで舞い上がったところで、青年は自分が追っていた紙を見つけた。青年は震える手を伸ばし、掴もうとした。

「あと少し...。」

 

 手がそれに触れたとき、今まで青年を囲んでいた風が、ぴたりと止んだ。支えを失った体は頭から落ちていく。下は決して柔らかいとは言えない土。青年は思わず目を閉じた。


 いつまでたっても衝撃がなかった。不思議に思った青年が恐る恐る目を開けると、体が宙で止まっていた。

「あ、れ?」

 否、青年の上着を、腕を、足を、‟何か”が懸命に引っ張っていた。‟何か”は光のような、雲のような、小動物のような、姿をしていた。どうやら青年を助けてくれたらしい。‟何か”達はゆっくりと青年を地面に下ろした。しっかりと足をついた青年は、‟何か”にお礼を述べた。

「どうも、ありがとう。」

 

しかし、これはいったいどういう事だろう。青年は、ふと、ある旅先で聞いた話を思い出した。

 

 

 この世界には、「見える世界」と「見えざる世界」がある。「見えざる世界」には精霊が住み、時々迷い込む人間を、そっと「見える世界」に返してくれるのだ、と。


 

 青年は、街からの出来事を思い返し、1つの考えに至った。

「つまり、あれは『精霊』で、ここは、『見えざる世界』という事になるのか。」

 にわかには信じられないが、今はこう考えるのが自然だった。非現実的(・・・・)ではあるが、これが現実(・・)に叶っている。

「不思議なこともあるものだな.....と。」


 改めて見ると、森の中は一変していた。深緑の木々が茂っていた薄暗い森は、初夏の瑞々しい新緑に変わり、光が透き通り、ところどころスポットライトのように差し込んでいた。先程は何も無かった地面には、大きな川が流れ、ごつごつとした岩が流れに点在していた。鳥がさえずり、小動物の影も見える、生きた森だった。

「あの森も、昔は生きていたのか...」

 青年はあの、陽すら遮る鬱蒼とした森を思い出した。


 「ん?」

 コツン、と何かが肩に当たった。何だろうと青年が見回すと、さらに、コツン、コツンと、頭に当たった。上を見ると、精霊がクスクスと笑うように、姿を震わせていた。いたずら好きの精霊らしい。

「随分と人間味のある精霊じゃないか。」

 青年がそう返すと、どこからか一体の精霊が現れた。彼か彼女か分からぬ精霊は、青年が被っていた帽子を差し出し、ちょん、と青年の頭に乗せた。


「あ、ありが、とう。」

 青年が言うと、その精霊は青年の服をくいくい、と引っ張り、ついて来て、というように、前に浮いて進みだした。 そのやり取りを見ていた精霊たちがわらわらと周りに集まり、後を追い始めた。どうやら前を行く精霊がこの森の長のようだ。従わない理由のない青年は、後に続いたが、すぐにぴたりと足を止めた。

「これを...渡るのか...?」

 

 目の前には、大きな川が流れていた。見たところ深くはなさそうだが、岩に当たるバシャバシャという水飛沫の音が流れの速さを物語っている。橋は無いが、飛び石が点在している。

「あれを使えば渡れそうだけど、なあ。」

 

 精霊の長は早く早くというように向こう側から眺めている。

 青年はしばらく川面を見つめていたが、意を決して助走をつけ、最初の石に飛び乗った。そのまま流れを崩さずに2つ目、3つ目と移っていく。途中で何度か滑りそうになりかけたが、精霊たちが見守る中、とにもかくにも渡り切った。


「はあ~、緊張した。」

 地面に降り立った青年は、ふう、と安堵の息をついた。精霊が称賛するように近付き、青年を囲む。

「ふふ。ありがとう。」

 あまり褒められる経験のない青年ははにかんだ。


 と、精霊の長が近づき、再び袖を引いた。青年が何だろうと思っていると、さらに奥の道へと進みだした。精霊たちも青年を囲んだまま、長についていく。まだ何かあるのかと、青年も後に続いた。



 「しかし、かなり急だなあ。」

 精霊たちに導かれるままに道を進む青年は次第に低くなる川をちらちら振り返りながら呟いた。前を行く精霊は止まることを知らず、ふよふよと坂を登って行く。人1人がやっと通れるほどの小道には、枯れ葉が所々散らされ、靴で踏むとカサカサと音を立てた。斜面には木々が生え、空からは光が差している。

 「ここは、山?」

 急な坂を上がり切ると、木の看板があった。山の名前は読めないが、山であることを示す文字が辛うじて読み取れた。青年が何とかして山の名前を読み取ろうと、看板に近付き目を凝らしていると、前を進む精霊の長がぴたりと止まり、青年の方へと向き直った。


 「ん?」

 何が始まるのかという顔をした青年に、精霊はくい、と鞄のひもを引き、少し前方にある岩場に行くよう促した。青年が足を進め、そこからそっと見下ろした。


「これは...」

 眼下には、溢れんばかりの緑が、自然の息吹が広がっていた。木々はざわめき、川は煌めき、光が生き生きと差していた。

「美しい...!全てが、生きている。」

 青年はそのまま見惚れていた。半ば無意識に紙と鉛筆を取り出し、眼に映るものを写した。精霊たちがじぃっと見つめる中、青年はカリカリと鉛筆を紙に走らせてゆく。木々を、川を、光を、生命を描いていく。

 暫く経ち、青年が顔を上げると、紙には景色をそのまま閉じ込めたような、一枚の絵が、完成していた。

 「う~ん。やっぱり、こっちのほうがきれいだなあ.....」

 絵を褒めたたえるように集まった精霊たちをよそに、青年は景色と絵を見比べた。

「でも、まあ、今までで一番美しいものかもしれない。」


 と、少し離れた場所で見つめていた精霊の長が、そっと近付いた。描いた絵を丁寧にしまう青年の前に進み、ぺこり、と一礼した。

「え?」


 青年は訳が分からず困惑した。



 その時、風が、強く吹いた。

 


 今までのどの風よりも強く、木々をざあざあと揺らし、地面の木の葉を舞い上がらせた。


 「今度は...何なんだ?」

 とっさに帽子を押さえた青年は、また飛ばされるのではないかと身構えた。

 が、風がいくら吹いても、浮かび上がることはなかった。代わりに、青年の瞳にはだんだんと消えていく精霊の姿があった。

「一体、何が起こって...」

 

 と、前方から木の葉が数枚、青年のもとへと迫り、青年はとっさに目を閉じた。



 次に目を開けると、青年は草原(くさはら)の上で座り込んでいた。


 「ここは?」

 体に痛みは感じない。周りを見ると、見覚えのある壊れかけの家屋があった。

 

 「最初の...?どうして...?」

 青年が状況を理解するには、多少の時間を要した。どうらや先程の強風で精霊の国から元の町に戻ったようだ。森は元通りの深緑の葉を茂らせ、川は無い。もちろん、精霊の影も、形もなかった。

 青年が自分が座っていた岩を見ると、自らが描いた町が置かれていた。


「あれは、夢だったのか、幻だったのか。」

 青年は絵を鞄に入れようと手を入れると、コツン、と何かが当たった。それをつかんでみると、どんぐりが1つ、手の中にあった。青年が絵の束を出すと、精霊の国で見たあの景色が、はっきりと、あった。


 「.....なるほど。」


 青年はうっすらと笑い、街に続く小道へと消えていった。



 優しい風が辺りを包み込む。木々が、さあさあと揺れた。 



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