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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

罪過の果てに夢を見る

作者: 白告 枢

「声劇台本」兼「会話小説」です。


【台本の利用について】

収益化(後述)及び【禁足事項】に抵触しない限りはご自由にお使いください。

また、上演時には台本URLの記載を必ずお願いします。


【禁則事項】

・内容の過度な変更

・世界観を崩壊させるようなアドリブ

・この台本を利用しての誹謗中傷・他者への迷惑行為

・飲酒上演

・自作発言及び無断転載


また、上演時の台本使用連絡はどちらでも構いませんが、収益化(広告、投げ銭、換金可能な課金アイテム含む)、動画の作成、教材での使用、ツイキャスなどの放送録画(アーカイブ)を残す場合は、お手数ですがTwitterアカウント【@kkk_night】までご一報下さい。



私個人の規約は以上です。では、ごゆっくりお楽しみください。


上演目安時間

~20分



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ミシロ:女性

恋人であったアイカを事故で亡くした。

現在引きこもり中、衰弱死寸前。


アイカ:女性

幽霊

ミシロの恋人

雨の日にわき見運転の車にはねられて死亡。

ミシロが心配でこの世に留まっている。



配役表


ミシロ:


アイカ:



ミシロM「なにもやる気なんて起きない。お腹空いたけど食事する気力もないし、部屋の中ぐちゃぐちゃだけど掃除する気もない。そもそも、起き上がる体力も残ってない」


ミシロ「アイカ…………」


アイカ「なあに?」


ミシロM「絞りだした声とも呼べないそれに、彼女は返事を聞いた。もういないはずのアイカの、私の恋人の返事を聞いた」


アイカ「死にそうだね」


ミシロ「……うん」


アイカ「ごはん、食べてないでしょ?」


ミシロ「……うん」


アイカ「だめだよー、ちゃんと食べないと」


ミシロ「………いらない」


アイカ「私と一緒になりたいの?」


ミシロ「……うん」


アイカ「だめだよ、そんなこと言っちゃ」


ミシロ「アイカとお揃いがいい」


アイカ「それ、私が生きてた時も言ってたよね」


ミシロ「面倒くさい女でごめんね」


アイカ「それはいいからごはんちゃんと食べてね」


ミシロ「……うん」


アイカ「じゃあ、またね」


ミシロ「……うん」


アイカM「私は先週、交通事故に遭った。雨で視界が悪い中、わき見運転の車にはねられた。相手は無免許の未成年。人一人を死なせて、大した罪にも問えないこの国の法律は本当に終わっていると思う。」


ミシロ「……いただきます」


アイカ「カップ麺かー。うーん、食べないよりマシかな」


ミシロ「……やっぱり食べたくない」


アイカ「なんでー、食べてよー」


ミシロ「やだ」


アイカ「子供じゃないんだから、ね?」


ミシロ「やだ」


アイカ「食べないなら私、帰るよ」


ミシロ「……食べる」


アイカ「いい子だね。うん、いい子」


アイカM「死んだはずの私がここにいる理由。そんなの一つしかない。ミシロが心配だからに決まってる。部屋を覗き込んだ時、ずっと泣いているから心配になって残ってしまった」


ミシロ「……アイカ」


アイカ「ん?どしたの?」


ミシロ「……好き」


アイカ「うん、ありがと」


ミシロ「ねぇ、アイカ」


アイカ「私もミシロのこと好きだよ」


ミシロ「……うん。えへへ」


アイカM「ミシロはずっと私のことが見えるわけではないらしい。それに、この子に霊感があるなんて聞いたことないし、なんで私が接触できるのかもよくわからない。お互いの思い入れが強いせいなのか、それともまた別の話なのか、その辺はよくわからなかった」


ミシロ「アイカ、どこ……?」


アイカ「ここにいるよ」


ミシロ「アイカ?ねぇ、アイカ!どこ!返事してよ!!」


アイカ「ミシロ?私はここだよ?落ち着いて、よく見て!」


ミシロ「……アイカ?」


アイカ「うん、アイカだよ」


ミシロ「よかった…」


アイカ「どうしたの、ミシロ?」


ミシロ「アイカが見えなくなって……いなくなったと思って…」


アイカ「大丈夫だよ。私はここにいる、大丈夫だよ」


ミシロ「もうやだよ……」


アイカ「ごめんね、ミシロ」


ミシロ「……うん」


アイカ「そういえば、まだご飯あるの?」


ミシロ「ない、かな…」


アイカ「買いにいこっか」


ミシロ「やだ」


アイカ「なんで?」


ミシロ「話せなくなるから」


アイカ「わがまま言わないの」


ミシロ「私は外で話しててもいいもん」


アイカ「それはダメ。我慢して」


ミシロ「……はい」


アイカ「ん。いい子」


ミシロ「ねぇ、アイカ」


アイカ「今度はどうしたの?」


ミシロ「頭撫でてほしい」


アイカ「でも私触れないよ?」


ミシロ「それでもいいの」


アイカ「ミシロは甘えん坊さんだなぁ」


ミシロ「………………うん」


アイカ「じゃあ、ご飯買い行こっか」


ミシロ「もうちょっとだけ、だめ?」


アイカ「だめ。ほら、準備して」


ミシロ「……はぁい」


アイカ「人気(ひとけ)のないところなら話してもいいよ」


ミシロ「すぐ準備する!」


アイカ「ミシロはほんとに素直だね」


ミシロ「できた!」


アイカ「お財布持った?」


ミシロ「三千円入ってる」


アイカ「ガスの元栓はしめた?」


ミシロ「しめた」


アイカ「蛇口は?」


ミシロ「だいじょうぶ」


アイカ「それじゃあしゅっぱーつ!」


ミシロ「………しゅっぱーつ」


アイカ「今日は何買うの?」


ミシロ「カップ麺」


アイカ「またカップ麺?」


ミシロ「好きなんだもん」


アイカ「そうだっけ?」


ミシロ「……そうだよ。好きだよ」


アイカ「じゃあ、私とカップ麺なら、どっちのほうが好き?」


ミシロ「両方」


アイカ「即答なんだね」


ミシロ「どっちも好きだもん」


アイカ「じゃあいっぱい買おうね」


ミシロ「うん!」


アイカ「ミシロはやっぱりかわいいなぁ」


ミシロ「あ、ここ…」


アイカ「どしたの?」


ミシロ「ここ久しぶりに来たや」


アイカ「公園?この公園がどうかしたの?」


ミシロ「何言ってんの?このベンチで私が寝てたじゃん」


アイカ「そうだっけ?」


ミシロ「そうだよ!その時にアイカがナンパしてきたじゃん」


アイカ「私が?」


ミシロ「こう、起きてる?子猫ちゃん。ってかっこつけて……」


アイカ「何それイタイやつじゃん」


ミシロ「アイカ?」


アイカ「なに?」


ミシロ「えっと、あのさ…」


アイカ「うん」


ミシロ「今日、何日かわかる?」


アイカ「うーんと、六月の十四日だっけ?」


アイカ「事故の日は覚えてる?」


アイカ「うーん、最後に雨が降ったのが一週間くらい前だからそれくらい?」


ミシロ「………そっか」


アイカ「どしたの?」


ミシロ「ねぇ、アイカ。花火見に行かない?」


アイカ「六月なのにもう花火大会あるの?」


ミシロ「うん。明日やるらしいよ」


アイカ「ミシロは良く知ってるねー」


ミシロ「さっきそこの掲示板にポスターあったからね」


アイカ「いいねー、絶対行こうよ!」


ミシロ「楽しみだね」


アイカ「そだねー。ミシロから誘ってくることってあんまりなかったもんね」


ミシロ「嬉しい?」


アイカ「嬉しいよ。すっごい嬉しい」


ミシロ「………あ、コンビニついちゃった」


アイカ「じゃあ、また帰りにお話ししようね」


ミシロ「すぐ買ってくる」


アイカ「行っちゃった。ここのコンビニ生きてた頃から入れなかったんだよね。変なの」


ミシロ「おまたせ、待った?」


アイカ「早かったね。ちゃんと買った?」


ミシロ「買ったよ」


アイカ「何買ったの?」


ミシロ「えっとね、ラーメンとか、うどんとか買ったよ」


アイカ「カップ麺買ったんだね」


ミシロ「え?」


アイカ「カップ麺もいいけど、ちゃんとしたご飯食べないとだめだよ?」


ミシロ「えっと、うん…」


アイカ「じゃあ、帰ろっか」


ミシロ「アイカ、家そっちじゃないよ」


アイカ「あれ?ごめんごめん。それで、なにしてたんだっけ?」


ミシロ「アイカ?」


アイカ「なに?」


ミシロ「帰らないの?」


アイカ「帰る?どこに?」


ミシロ「どこって、私たちの家だよ」


アイカ「私たちの?誰と誰のこと?」


ミシロ「アイカと私の家だよ」


アイカ「……だれ?」


ミシロ「もしかして、からかってる?」


アイカ「なんで知らない人をからかわなきゃいけないの?」


ミシロ「アイカ?何言ってるの?」


アイカ「あ、ミシロ~」


ミシロ「そっちは誰もいない……誰を見てるの?」


アイカ「ミシロ~、どこ行ってたの?」


ミシロ「アイカ、私はここだよ。ここにいるよ!」


アイカ「じゃあ帰ろっかー。もう夕暮れだよ」


ミシロ「アイカ!アイカ待って、待ってよ!」


アイカ「……触れないミシロは私のミシロじゃないよ」


ミシロ「私は……」


アイカ「さようなら」


ミシロ「……それでも、例えあなたに触れなくても、忘れられても、私はミシロだよ……」


アイカ「……花火、見たかった」


ミシロ「……明日は、八月三日だよ」


アイカ「そっか。もうそんなに経ってたんだね」


ミシロ「あの時は、ごめんね」


アイカ「なんのことかわからないけど、でもきっと許してるよ」


ミシロ「…また、会える?」


アイカ「もう会えないよ」


ミシロ「探しちゃダメ?」


アイカ「だめ」


ミシロ「私が諦めると思う?」


アイカ「思わないかな」


ミシロ「正解」


アイカ「早く忘れて、私より素敵な人を見つけてね」


ミシロ「やだ」


アイカ「ミシロ。お願い」


ミシロ「やだ!」


アイカ「………ごめんね、ミシロ」


ミシロ「またね、アイカ」


アイカ「…またねじゃないよ」


ミシロ「またねだよ。生きてるから、会いに来てよ」


アイカ「ダメだよ。私のミシロはここに居るから」


――――――――


ミシロ「そう私に告げて彼女は溶け消えた。私は今、独りで花火大会を眺めている。この大橋の欄干からは花火がよく見えるんだ」


アイカM「仮に私がいなくても、彼女は生きていける」


ミシロ「なんてこと思ってるんだろうけど、私一人じゃ生きていけないよ」


アイカM「花火、一緒に見たかったなぁ…」


ミシロM「一際大きく、儚い最後の花火は寂しく空に泳いでいった。さようなら、ごめんなさい、やっぱり私はーーー」


――――――――


アイカ「起きてる?子猫ちゃん」


ミシロ「イタイやつ来ちゃった」


アイカ「えー、でもこういうの好きでしょ?」


ミシロ「まぁね」


アイカ「それはそうと、ミシロはこんなところで何やってるの?」


ミシロ「んー、考え事かな」


アイカ「じめじめして暑いのによく公園なんかでできるね」


ミシロ「ほら、ここちょうど木陰だから涼しいんだー」


アイカ「そうかな?そうでもない気がするけど」


ミシロ「わからないなんて、アイカはおこちゃまだなー」


アイカ「おこちゃま…なのかな?」


ミシロ「ねぇ、アイカ」


アイカ「なに?」


ミシロ「好きだよ」


アイカ「私も好きだよ」


――――――――


ミシロM「きっとこれは幸せな夢。だけどそれでいい。私がいて、アイカがいるなら、ここは幸せな時間なんだから」


ここまで読んでいただきありがとうございました。

はっきりといいますと、いろいろ分岐を考えてはいたのですが、どれも蛇足気味だったので削ったらこのありさまとなりました。あれ?おかしいな……。


それはさておき、ほかの作品も公開しておりますので、もし気に入ったら読んでいただけると幸いです。

また、ご意見・ご感想等お待ちしております。

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