タカとシュンと私
この話は、すべて妄想であり、創作です。
大抵の事に動じなくなった私も、2人の情事の最中に居合わせた時はさすがに参った。冗談抜きに参った。
タカが明日ハワイの撮影に行くので、スーツケースの中をチェックして置けと言う。
撮影用の衣装はスタイリストが持って行くが、プライベートで歩く洋服を適当に見繕って、足りない小物は買って入れとけと言う訳だ。
私はタカからマンションの合鍵を渡されていた。
タカは荷物の整理ができない。
シュンが一緒だとシュンが全てやるのだが、噂が立った後なので、2人は遠出などの外出をことごとくタカのマネージャーに禁止されていた。
かと言って、タレントでも愛人でも無い私をそうそう海外まで連れ歩くわけにもいかず、私はいつも陰の都合の良いタカの身の回りのお世話係だった。
変な話、タカの下着は全て把握しているぐらいだ。だって全て私が買うんだから。
そのへん、恋人のシュンより詳しい筈だ(笑)
鍵を開けた時から嫌な予感はした。
玄関先には見慣れたシュンのスニーカーがあった。
2人はマネージャーにお灸を据えられてからしばらく逢瀬にはホテルを使っていたが、明日からタカが日本に一週間いなくなるし、シュンも映画の撮影に缶詰めらしいから、しばし逢瀬を楽しんでるんだろう。
全くタカもシュンもぉ。詰めが甘いよ。
私じゃなかったらどうするの?
タカのベットから漏れる2人の動物の鳴き声のような、悲鳴のような唸り声と、激しい息遣いと甘い喘ぎ声、衣摺れの音を呆然と聞きながら、タカに言われた事を何一つ終わってない私はそのまま帰る訳にも行かずぼっうと佇んでいた。
もう、寝室ぐらい締めてよね?
覗くつもりはないのだか、ドアが半開きで、2人の様子が垣間見えてしまう。
シュンの長い髪がほどけて、タカが首筋を舐めまわしている。
シュンは鼻にかかったような甘い声を出してあがきながらタカの背中に爪を立てる。
2人とも美しい。
私は惨めさに泣きたくなった。
2人ともヒドイよ。
いくら2人から見て私は女じゃないからって、もう我慢の限界だよ。
タカのスーツケースの中身なんて知るもんか。
ハワイの洋服なんてどうでもいい。
帰る!
今まさに帰ろうとしたら、二人が急に静かになってシュンが裸のまま出て来たが、私に気づいて慌ててバスタオルを巻く。
タカはガウンを羽織り、涼しげな声で
『なんだ、マリ早かったね。声かけてくれれば良かったのに、あぁ、腹減った。なんか作ってよ』
私はお前の母親か!
内心毒づきながらも、キッチンに立つ。
しかしすでにシュンが素早くパスタを茹でている。
シュンは普段の仕事中、私に意地悪も無視もしないと言うか全くノータッチだか、ことタカに関しては別だ。タカに張り付くなと言う警戒態勢が見え見えで、今もタカが食べるパスタは僕が作るのだ、お前じゃないって心の声がダダ漏れだ。
私は私で、あんたはこんなとこで遊んでないで、さっさと明日からの撮影の準備に行きなさいよ。
また、パパラッチされっかんね?
タカの身の回りは私が引き受けるからさ。
シュンと私の間に激しい火花が散る。
しかし私達は結局、出来上がったパスタを三人で仲良く食べる。
茹でたパスタにオリーブオイルを垂らして、明太子とノリを散らしただけの簡単なスパゲティ。
タカの大好物だ。
あんた達、食べてる時ぐらい、離れてられない訳?
タカがシュンに腕を回しパスタを食べさせながら私をからかう。
『マリ、さっき、僕たちの事、覗いてたろ?どうだった?感じちゃった?』
シュン
『やめてよ。恥ずかしい。マリも見てないで声かけてよ。僕、思いっきり声出してたでしょ。タカが容赦無く弱いとこ責めるんだもん』
チッ‼︎
こいつらはぁ!
全く2人とも、隠し映像でも撮って、週刊誌に投稿したろか?
あんた達が下着共有してる事だって、全部知ってるんだからね?
私は二人の呑気さと天然ぶりに呆れて最後には笑ってしまうのだった。
さて、今のところ、マリはシュンともうまくやっていけてますね!このまま何も無いといいね!




