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幻の薔薇  作者: naomitiara-tica
2/15

私の日常

この作品は、全て妄想であり、創作です。


私の仕事はいわゆるパシリというやつだった。



事務所はことごとく役柄が決められており、マネジャーさんはもちろん、スタイリストなど多岐にわたっている。

が、それぞれが一杯一杯だったりするので、その間、間の仕事は誰がやるか?って時にみんなで困ることがある。

つまらない話だが、タバコを買ってきたり、両替したり、カビンの水を替えたり、足りなかったドリンクの予備を買ってきたり。。。

これらは、マネージャーさんも、スタイリストさんも、クリーンスタッフも全員が出来る・・・が撮影が立て続けに込んだりすると逆に全員が出来なかったりする。

私に求めれたのはそういう、隙間産業とも言うべく芸能人はもちろんの事、それに関わるスタッフ全員がスムーズに仕事できるように走り回る事だった。



仕事は熾烈を極めた。

大切なのはもちろん体力気力忍耐だが、その場の空気を一瞬で読んだり、一流と言われているマネージャーやスタイリストやカメラマンが恥をかかないように素早く小物やセットなどを用意する、いわゆる気働きやセンスの良さのようなものが求められた。そして、給料はセブンイレブンのバイトと変わらない。私なんて前にチンピラに怒鳴られた店の売り子の方が給料良かったぐらいだ。



タカは今30歳。

俳優としても油が乗って来て、20代のモデルには出せない大人になりかかった魅力の持ち主という事で、長く成功するために必須だと言われている中年以降の比較的経済力の高い女性達に莫大な人気を誇っていた。

雑誌のアンケートでも抱かれたいタレント部門で、平均してここ数年20代までには5位に30代~50代には堂々と1位と・・・なかなかの人気ぶりであった。



タカのマネージャさんによると、ありとあらゆる手づるでいろんな人がこのパシリ業に付くらしいのだが、タレントが連れてきた奴はだいたいが、タレントのお取り巻きになりたいやつばかりで使い物にならない、マネージャー候補の優秀なやつはプライドが高くて使いづらい、スタイリスト希望のやつはセンスが無い癖に口だけな生意気な勘違いが多く、総合してたいていのやつが何かあると、最初と話が違うと、言い出して直ぐに辞めると。だから、私にも全く期待していなかったと話してくれた。

こんな風に、わがままそのもののような連中に揉まれて、何一つ文句を言わずに走り回る私に、『君、なかなか根性決まってるね?』と笑いながら缶コーヒーをご馳走してくれた。



私には帰るところがなかった。と言うか甘えても許される人間がいなかった。母は早くに他界して再婚している父はもう私の父ではなく、継母の家族であった。

弟は結婚して精一杯、子育てと日常生活に追われている。

父も弟も、守るべき家族があり、私の話は誰も聞いてくれるかもだけど、決して甘えられる居場所はないのだった。



タカが私を必要としてくれた事が、私を支えていた。

どんなに罵声を浴びせられても、ヒステリーを起こされてもふとした瞬間にタカとすれ違ってポンポンと肩をたたいてくれたり、タカが打ち上げに差し入れたサンドイッチをスタッフみんなで食べている時、『マリ-私の名前-も遠慮するなよ?』って声をかけたりくれたり、そんな優しさだけで私は生きながらえていた。



私はタカの為なら、どんな汚れ役でも買って出るつもりだった。


タカに為に頑張る私!これから何が待ってますかね?

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