幻の薔薇 タカのマネージャーサイド
この作品は、すべて妄想であり、創作です。
タカは超売れっ子なのに親の七光りにも関わらずいばらないし、努力家だし、性格もいいし、どんな奴にも公平に優しいし、情もある。
文句のつけどころが無く俺のマネージメントした芸能人の中でもトップクラスの大当たりした一人ではあるが、いかんせん美しい男しか愛せない奴だ。
この業界に決して珍しいことではないし、韓国ではそれを売りにしているタレント達もいるぐらいだし、腐女子なんて言葉が流行してから漫画や小説界でもボーイズラブは大はやりだ。特に美しい男同士が絡み会う図ってのは、確かに、どんな人間をも麻痺させるのかもしれない。
大昔の武将達は長い戦の間、性の処理として必ず陰間を置いておいたそうだし。足利義満と世阿弥。織田信長と森蘭丸など超有名ではないか?
しかしここは日本であり、今は平成であり、戦国時代ではないのだ。
タカがシュンと恋人同士で実は夜な夜な絡み合っている本物の恋人同士だって事が世の中に知れることになったら、それはまあ腐女子連中の一部の狂気じみたファン共は大喜びすることだろうが、やはりがっかりと言うか、嫌悪される事が多いのではないだろうか?
ボーイズラブなんてのは、妄想の中で美しい男達が裸体で絡み合うからゾクゾクと刺激されるのであって、これを現実に目の前で見たら、あのタカやシュンに何十万も一瞬で平気で使うキチガイファンの叔母様達も、何割かはドン引きするに決まっている。
しかも今はまだ2人が30歳に27歳と、ちょうど盛りの良い美しさだろうが、タカもシュンもそのうち40歳にも50歳にもなるのだ。まあ、芸能界の旬の盛りが終わっても寄り添ってられるのなら、まあ2人の愛って奴は本物なのだろうが・・・
たぶん2人ともなかなか利口者だから、世間に許されず適当な時期が来たら適当な相手と形だけでも結婚するのではないか?まあ子供は作れないかもしれないが。
タカの母親は大人のいい女として有名だがとんでもない淫乱だ。少し前に病気してからはだいぶ大人しくなったようだが、女盛りの時は本当にやりたい放題で、タカはそれを目の当たりにして育ったので女という生き物を許せないのだろう。タカがあんな風になったのは確かに気持ちも理解できる。
女優Aあたりなら、幼馴染だしタカと気も合うし、噂だけじゃなく本当に結婚してくれれば似合いの理想カップルとして世間も喜ぶのだが・・・世の中はうまくいかないものだ。こと色恋ざたってのは・・・
タカが昔、まだ子供みたいな少年をどっかのゲイバーから引き抜いて囲いものにし、何回もそいつを説得してやっと追い払ったと思ったら、今度はシュンだ。
シュンも女から引っ張りだこだったし何かと噂が入って来てたから、どうやらタカと出来てるらしい、どうしよう?とシュンのマネージャーから青ざめた顔で相談された時は俺も驚いた。
今回はタカもシュンも別れさせる事ができなかった。2人とも2人しか見えていないようだった。と言うか、俺はシュンがタカに熱をあげているようだと思っていたが、どうやらタカのシュンへの独占欲も、もの凄いらしい。2人の小競り合いは必ず痴話喧嘩だ。2人ともその嫉妬の対象になる相手が女も男も両方なので聞いていると笑える時も多いのだが・・・まあ、俺に言わせると2人ともまだまだ子供だ。
タカが、去年、マリと言うへんてこりんな女の子を、高級ブティックから引き抜いて来た。なんでもヤクザみたいな奴が隣で買い物をしており、マリにドレスは投げつけるわ、怒鳴るわで大変だったらしいのだが、泣きもせず、淡々と仕事をこなしていて、なかなかセンスが良く、一瞬にして相手を引き立てるお洒落をさせることが出来る。専門の勉強もしたことも無いらしいからスタイリストには無理でも頭の回転も速いし、あの子はけっこう使える筈だよ?とタカが超珍しく女の子を褒めたので、これまた驚いたものだったが、失礼ながらマリ本人を見て納得した。
まあどう見ても、ブスの部類に入るのだろうなぁ。背も低いし、メガネもかけて、地味だし、無口だし・・・
こんな子が最先端の芸能界のパシリが務まるのかよ?本当に高級ブティックにいたのかよ?って容貌の子だ。
タカは母親を連想させる美しい女が駄目なのだ。
綺麗じゃない女には安心感を持つらしい。反面教師ってやつだろうか?
しかし、母親で苦労したタカは女を見る目は確かだった。
マリは事務所のどんな嫌がらせにも根をあげず、淡々とパシリをこなして見せた。誰にも口応えをせず、濡れ鼠のように事務所の中を走り回った。事務所で働いている奴全員が自分のほうがマリより上だと思わせるような雰囲気がマリには確かにあった。だから誰もがマリをこき使っていたがいつのまにか、ほんの少しずつ、マリを認め始めていた。マリが居ないと困るのだって事を。
それでもタカが不細工なマリを可愛がるのを容認するのとは又、別の感情で、マリはいつまでたってもみんなからいじられていた。
マリがタカの専属のお付き人みたいな立場になるにつれて、面白い現象が起きるようになった。
タカのまあ、マリを含めて一番深く関わっている3人がタカの取り合いというか、お互いを牽制し始めたのだ。
簡単に言うと、シュンが恋人、女優Aが小姑、マリが母親だった。いつの世もこの関係がスムーズに行く事は無い。
それぞれが、各自の立場からタカの事を独占しようとしていた。
が・・・それによっての相乗効果も生まれた。3人とも前より仕事に熱が入るようになったのだ。
シュンはタカに認められたくて、タカと過ごすプライベート以外は全て仕事をしていたし、女優Aはどんなドラマや映画でも必ず主役を取ると必死だったし、マリはもともと無口だったが、ますます女を微塵も出さずにタカと事務所の雑用係に徹するようになった。
気づいてみたら事務所もいつのまにかタカ中心にみんなが仕事をしているのだった。本当に不思議な奴だ。関わる人間を虜にしていつのまにか自分側の人間にしてしまう・・・男も女も関係なく。
俺もタカがますま高く売れるように、大物スポンサーや映画監督と話を交渉しなければ・・・
シュンのマネージャーにももう少し喝を入れさせねば。
実行できるかどうか神のみぞ知るだろうが、タカとシュンは将来2人でオランダかカナダに移住すると言っている。同性愛者達が住みやすいと言われている国だ。
それまでは俺が何としても2人の秘密を守るのだ。
タカのマネージャーも、タカとシュンを守るのに必死です。タカ、マネージャーにも恵まれてるね!
次回、幻の薔薇 タカサイド 最終回です。




