幻の薔薇 マリサイド 最終回
この作品は、全て妄想であり、創作です。
タカとシュンは仲直りしたみたいだ。
この前、タカのマンションを掃除に行ったら、今や見慣れたシュンの下着や服が脱ぎ捨ててあり、寝室は乱れ、ワインはこぼしてあり、2人の激しさの名残が残っていた。
全く。マネージャーにタカのマンションで会わないように釘刺されてるくせに。
私には分かっている。
タカは私と過ごした後、シュンへの罪悪感でいてもたってもいられず、直ぐにシュンを呼びつけた筈だ。シュンはここ数日タカと気まずかった事もあり、飛んで来てタカの胸に真っ直ぐに飛びこんで行ったろう。
それこそ子犬のように。
ふふ。
可愛い2人。
バスルームのシュン専用のシャンプーも空っぽになっている。
チッ。これも補充しとかなきゃ。
タカのマンションに置いてあるシュンの所持品のチェックまで私の仕事か?と今までならイラつくところだが、前回のタカとの夜が、私を優しい気持ちにさせていた。
あれは、そう。
タカの浮気では無く、ペットを抱いて寝たようなもの。
タカも私も寂しかっただけ。
たった一夜、添い寝をしただけの事。
私はこの秘密を墓場まで持って行くし、この思い出だけで、これからも生きて行く事が出来る。
タカがこれからどんな人生を歩もうとも。
タカが私に求めているのは、理想の女じゃなく理想の母親なのだ。
いつもタカの味方で、自分を応援して優しく見守ってくれる人。無償の愛で。
私がその役割をこなせば、私はタカのそばにずっといる事が出来る。まぁ、タカにお払い箱にされなければ。
ずっとコンプレックスだった自分の地味な容姿も、タカの話を聞いて、逆に美人じゃ無くて良かったと思えるようになった。
ドラマティックレインと言う、非常に珍しい薔薇をタカがある日ファンクラブからもらった。
なかなか入手困難な高級品種で、バラファンの間では幻の薔薇と言われているとか。
タカにマンションに飾っておくように渡された、その赤紫の薔薇は、挑戦的に、でも見ようによっては寂しくて、タカそっくりに思えた。
誰も寄せ付けないほど美しく、女が近寄れば棘で刺す。
そして、美しい男しか愛せない寂しい人。
今日もたて続けに撮影が入っている。現場は瞬く間に戦場と化すだろう。
タカの好物のアイスティーとクッキーを多めに準備しながら、今日も自分に喝を入れる。
私はタカの影として生きて行く。
タカに着いて行く決心を新たにした、マリ。
次回は、幻の薔薇 シュンサイドです。




