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夢物語~庶民の俺が御曹司!?~  作者: バルデル
第一章 幼少期編
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第五話

 俺が部屋の窓から外を眺めていると、この屋敷に使えているメイドさんの一人が俺を呼びに来た。

 そろそろ到着すると言うことらしく、応接間ので出迎えることにするから来いと言うことらしかった。


 というわけで俺はメイドさんについていき、応接間へと向かう。

 応接間は床に敷かれている敷物や、上でこの部屋を照らしているシャンデリアなど、どれをとっても一級品だ。

 因みに、俺はこういう柔らかい絨毯の上にねっ転がるのが大好きだ。

 今、やったら怒られるのは確実なので、やらないけれど。


 ただ待っているだけでは暇なので、使用人たちのいるほうへと向かう。

 小さい頃から、いろいろと世話をしてくれたりと、基本的に皆顔なじみであり、三歳と言う年齢も手伝ってか、こういうところに来ても何かを言われることはない。

 テーブルの上においてある何かを見ているようなのだが、俺の身長では全く見えない。

 何が乗っているかが気になったので、ぴょんぴょんと飛び跳ねていると、使用人さんの一人が、抱えあげてくれた。


 すると、そこには小型テレビのようなものが置いてあり、屋敷の前の監視カメラの映像が映っていた。

 それを見てみると、ちょうど門が開かれ、玄関の前にある我が家の敷地内の道に一台の車が入ってきた様子が画面に映し出されていた。

 黒くて長い車、いわゆるリムジンと言うやつだ。

 勿論レンタルとかそういうものではないのだろう。

 なにせ、一応家にもあるしな。


 その後、警備の人から連絡を受けたようで一人が内線を受け取っている。

 それを見た使用人たちが出迎えをする準備を改めて再開する。

 いろいろと準備をしなくてはいけないものの、あまり早くから準備をしてしまうと、味や香りが落ちてしまう可能性があるということで、ある程度のところまで準備をしておいたらそこで止めておき、直前でやり直すと言うことらしい。

 最も、出迎えを担当している岸本さんはすでに玄関先で待機しているようだが。

 ここにいては邪魔になってしまうし、そろそろ俺自身も待っていたほうがいいと思うので、家族のいる部屋へと戻ろう。




 暫しの間の後で、応接間のドアが開かれ、三人の家族と思われる人たちが入ってきた。


「やぁ、(とおる)千晶(ちあき)さん、それと優華(ゆうか)ちゃん。

 英明君は始めましてだね。

 とは言っても、実際は一度だけ病院であってはいるんだけどね」


 あれ、思ったよりも厳格な感じではないんだな。お金持ちの家のお父さんってそういうイメージがあったんだけど、父親も、この方、近衛孝之(このえたかゆき)様も全然そんなことはないように感じられる。

 今の挨拶なんかも、割りと気の知れた仲なのか、気軽な印象を受ける。

 あぁ、因みに透というのは俺の父親、千晶というのが俺の母親の名前だ。


「それで、こっちが息子の晴だ。

 晴、挨拶しなさい」

「始めまして、近衛晴(このえはる)です。

 よろしくお願いいたします」


 ぺこりと頭を下げる俺と同じぐらいの歳に見える男の子。

 挨拶の感じは一見礼儀正しく見えるのだが、どことなく気が強い感じの雰囲気がある。

 う~ん、個人的にこういうタイプはあまり得意じゃないんだけどなぁ。

 でもまぁ、両親の感じを見る限り、仲がよさそうだし、仲良くしておいたほうがいい気がする。

 こういうときのために、このぐらいの子供に受けそうなネタをいくつか練習しておいた俺に抜かりはないのだよ。


 その後、俺を含めた全員が一応自己紹介をする。

 俺もちょっぴり緊張したが、何とか噛まずに自己紹介を終えることができた。

 うまくできてちょっぴり自信がついた。




 さて、それからしばらくして、両親がいろいろと話をしている中、俺は彼と遊ぶことにした。

 ちょっと時間がかかっているのは、気合を入れるためと、機をうかがっていたためだ。

 ちょうど退屈そうにしているのをみて、これはチャンスと思い話しかける。


「近衛君、トランプで遊ばないかい?」

「ん?

 いいけど。

 何をするんだい?」


 よし、第一段階クリアだ。

 退屈そうなときに遊びの話を持ちかければ絶対に乗っかると思ったんだ。

 大人たちの邪魔にならないように、ちょっと離れたところにあるテーブルへと移動する。


「ふふふ、今からマジックを見せてあげよう、見破れるかな?」


 そう、俺の用意して来た手札はマジックだ。

 こういうタイプは負けず嫌いが多いので、挑戦的に言えば乗ってきてくれるはずだ。


「ほほう」


 おお、なんかその言葉もかっこいい。

 三歳児なのにかっこいいと言うのは変な気がするがそういう雰囲気がある。

 これが王者の風格というやつなのか!?

 ともあれ、マジックの開始だ。

 手が小さくて、あまり雰囲気が出ないのが難点ではあるが、それでもできるマジックを用意してあるので問題ない。

 ふふふ、得とごらんあれ!




「おお~、すげぇな。

 どうやったんだ?」


 相手の取ったカードを見ないで当てると言う古典的なマジックではあるが、それをきっちり成功させた俺は彼の尊敬を勝ち取ることに成功した。

 その後、他にいくつか用意してあったマジックの中の一部を見せた後で、ひとつだけマジックを教えてあげることにした。

 しばらく練習した後、彼は見事にそれを成功させた。

 俺が見てもなかなかいい出来だと思う。


「あらあら、仲良くなったのね」


 しばらくすると、お母様方と姉の三人がこちらにやってきた。


 そのまえで、早速晴が今さっき習ったばっかりの手品を行い、見事に成功させる。

 三人に褒められてちょっと得意そうだ。

 冷静そうな感じを装っているが、口の端がぴくぴくしているのでばればれだ。


 その後は父親二人の話が終わるまで、全員でいろいろなトランプ遊びをしてすごすのであった。




「それじゃあな、英明。

 今度は俺の家に遊びに来いよ」


 夕方、近衛家御一行が帰るということで、玄関まで送りに行く。

 いろいろと教えたりしながら遊んでいたおかげで、結果として、下の名前で呼び合えるほどに仲良くなることに成功した。

 うまくいってよかったよ。

 これでパーティーなんかに行くときも、少なくとも仲の良い友達が一人居るということだからな。

 壁の虫になると言うのは知らない人に話しかけられる可能性が高まってしまうので、どちらかと言うと人見知りの傾向がある俺からすれば、仲のよい友人というものを何人か作っておきたかったのだ。

あんまり得意なタイプではなさそうな気もするが、こういうタイプであれば、基本的にパーティーなんかで物怖じするようなこともないだろう。


「機会があったらお邪魔するよ。

それじゃあ、またね」


 そんな挨拶をした後で、彼らは車に乗って去っていく。


「晴君と仲良くなったのか、英明。

 よかったな、友達ができて。

 友達というのは一生物の財産なんだから、大切にするんだぞ」

「はい、お父様」


 父と話をしながら家の中に入っていく。

 はじめはちょっぴり苦手なタイプかななんて思っていたのだが、素直な感じのいい子で助かったよ。

 これから長い付き合いになりそうな感じだったし、あんまり嫌な奴だったらどうしようかと思っていたんだけど、あんな感じなら大丈夫そうだ。


 さて、今度向こうの家に遊びに行くときはどうしようかねぇ。

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