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夢物語~庶民の俺が御曹司!?~  作者: バルデル
第一章 幼少期編
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第四話

 時が過ぎるのは早い物である。

 あれから二年程が経過し、俺は三歳になった。

 言葉もしっかりとしゃべれるようになり、最近は文字の練習なんかを主にしている。

 結局、特にできることは思いつかなかったのだが、俺の記憶によれば、子どもの頃、よく動き回っていた子供ほど、運動神経が良いという話を聞いたことがあった気がしたので、ちょこまかちょこまかといろいろ動き回っている。

 今のところ、良くなった実感はないのだが、他にできることもなかったので、別にいいとしよう。


 文字の練習についてなんだが、使われている言語は日本語なので、今でも書こうと思えば自由自在に書ける。

 だが、それでは何でかけるのかと問題になりかけない。

 加えて、文字は綺麗なほうが得することが多いというのが経験で分かっているので、もともと字があまり綺麗でなかった自分にはいい機会だと思い、懸命に字の練習をしているのだ。

 撥ねや払いだけでなく、文字のバランスも重要なのですよ。

 改めてやって見ると日本語って深いなぁと思う。

 日本語の形って美しいよね!


 あぁ、そうそう、教えてくれているのはこの家に勤めている執事みたいな人で岸本さんと言う両親よりも年上の方だ。

 結構な歳にもかかわらず、その服の上からでも、筋肉がついているのが分かるというかっこいい人である。


 これがロマンスグレーと言う物なのだろうといった感じだ。

 しかも頭も良く、その上達筆であり、基本万能である。

 もし歳をとるとしたら、ああいう人になりたいものだ。


 そんな岸本さんに教わりながら、ここ最近では俺自身の名前を漢字で書く練習をしている。

 俺のフルネームは「九条英明(くじょうひであき)」と言うらしく、それを何度も何度も書いている。

 普通の子供であれば、途中で飽きてしまうかもしれないが、そこは仮にも大学生の記憶を持つ俺。

 この程度であれば全然苦ではない。


 岸本さん曰く、俺の字は今のところ「英」と言う字のバランスが若干おかしいのだそうだ。

 もっとも、まだ三歳なんだから気にしなくても良いですよとフォローを入れてくれてはいるのだが。

 とはいえ、なんとなく悔しいので必死に綺麗に書く練習している。

 これが、大して綺麗でない人に言われたのであれば違ったのかもしれないが、岸本さんが書く俺の名前はめちゃくちゃかっこいい。

 自分で書く字とは全く違う字な気さえしてしまうほどだ。

 ひとまず、俺の目標はああいう字を書けるようになることだ。

 あと、岸本さんにいつかお世辞抜きに褒められるということかな。

 先は長そうだ。


 ちなみに習い事に関しては今のところ、どこかにいって何かをするということはやっていない。

 その代わりに岸本さんを中心にいろいろと叩き込まれている。

 とはいえ、今の段階では四則演算や英会話程度、習字に礼儀作法程度であり、そこまで苦労はしていない。

 まぁ、強いて言うならば、礼儀作法と楽器系統、ピアノとバイオリンなんだが、この二つに関しては今のところ結構苦戦している。

 礼儀作法はもともとの癖みたいなものがあるのでそれを直すのはなかなか苦労する。

 種類も沢山あってなかなか覚えるのが大変だ。

 座り方もいちいち気をつけなくてはいけないらしい。

 偉い人って大変なんだなぁと現実逃避したいのだが、礼儀作法の練習だけあってか、先生が結構厳しいのでまじめに受けざるをえない。

 こんな作法をやるよりもおいしく食べたほうが食材も嬉しいはずだなどと思ってしまったのは内緒だ。


 音楽関連に関しては五歳頃になったらなんか有名な先生のところへ習いに行くそうなので、心配性な俺としてはそこまでにある程度できるようにはなっておきたい。

 ただし、両手で別な動きをするというのが感覚的にどうもつかめない俺はまだまだうまく引けない。

 そもそも、ピアノのほうは手が小さすぎてまだまだ厳しい気がする。


 その他に関して言うと、英会話は見せられていたビデオのを影響か、割とすんなり耳に入ってくるのでありがたい。

 それに加えて、乏しいながらも英語の知識を持っていたおかげで今のところはそんなに問題なくすごすことができている。

 だが、六つ上である姉の勉強を見ると、英語だけでなく、他の言語もまた勉強しているようなので、これからの勉強に対しては不安しかない。

 俺の中の常識では第二外国語は高校生か大学生辺りで覚えるものだと思っていたのだが、違うのであろうか。

 因みに俺が選択したのはスペイン語だったのだが、今はもう全然話せる気がしない。

 確かアディオスはさようならだった気がするが、その程度だ。


 そうそう、最近になって自分の家族についてが段々とわかってきたように思える。

 まず、この九条家なんだが、やはり、裕福な家庭だったようだ。

 父親は企業の社長、母親は有名なデザイナーであり、姉は現在小学三年生だそうだ。

 旧華族の家柄だったようで、その関係もあってか、いろいろと付き合いも多いようだ。

 毎年のプレゼントの多さも納得がいくというところだ。

 そういう付き合いってなんとなく面倒なものだと言うイメージがあるのだが、実際はどうなのだろうか。

 俺はまだ年齢的な問題でそういう人とはあったことがないので分からない。


 というわけで、とりあえず姉に聞いてみることにする。


「う~ん、確かにちょっと面倒かな。

 挨拶とかが堅苦しくて……。

 でも、いろいろとお友達とおしゃべりをしたりできるから、楽しくもあるのよ」


 とのことだ。


 がしかし、重要なのはそこではない。

 その後も話を聞いてみると、なんと、パーティーに出るのはほぼ必須なようなのだ。

 パーティーと言っても、仲間内でやる誕生日会とかそういう類の物ではない。

 皆が皆ドレスとかを着て、

「御機嫌よう」

 とか言っているやつだ。


 冗談じゃない。

 友達との誕生日パーティーですら数えるほどしか経験のない俺が、そんなパーティーに出られるはずがないだろう?

 どうしようかと迷った挙句、お母様に聞きに行くことにしたのだが……。


「あらあら、心配しなくてもいいのよ。

 来年になったらちゃんと教わることになるから大丈夫。

 いい先生だから、貴方も直ぐに上達するわ」


 との事。


 って違うわ!

 そういう意味じゃなくてさ、気持ち的な問題なんだよ。

 きっと家の両親には分からない感覚だとは思うけど、庶民からすると、厳しいですって。

「お嬢さん、一曲踊っていただけませんか」

 とか言える気がしない。

 とはいえ、結局両親に逆らえるはずもなく、受け入れるしかない。

 女性と手をつないだ経験すらない男がダンスとか、これなんて無理ゲー?

 こんな情報なんて知りたくなかった!


 ……。

 いや、逆に早いうちから分かってよかったと思うことにしよう。

 少なくとも準備期間はまだまだありそうなのだから。

 まぁ、そのときになったら分かるのだろうけど、そのときが来るまでの準備として、今から地道な情報収集をしておこうと思う。

 まずいと思って時にはもう遅い、とは過去の俺の弁。

 入試のときのちょっぴり苦い思い出がよみがえってくる。

 あの時は事前に対策を打っておくべきだと後悔したものだし、同じ失敗を二度するなんてありえない。

 一度は経験、二度は失敗と言うしな。




 さて、本日なんだが、どうやら俺と同年代の子が我が家へと遊びに来るらしい。

 両親も昔から仲が良かったそうで、ちょうど同い年の子がいることだしと、連れてくるのだそうだ。

 今のところ、友達と呼べるような人がいないボッチなので、よほど合わない人でない限り、友達になっておきたいところだ。


 さてさて、一体どんな子が来るのかなぁ。

 結構楽しみにしつつ、俺は自分の部屋でその子が来るのを待っているのであった。

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