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番外編 実香のちょっぴりドキドキ寝起き突撃レポート

 今回は本編をお休みしての番外編です。


 

 おはよ~~~~ございます。ただいま朝の5時半です。

 今回は本編をお休みしてこのあたし、松浦実香が雅彦君の寝起きを突撃レポートしたいと思います。

 その雅彦君ですが、あちらの奥の部屋で寝ています。本編ではほとんど触れられなかったもう一つの部屋です。

 せっかく1DKの部屋って設定なのに作者はぜんぜん活かせていません。まったくのおバカさんです。

 あっ、こんな話はどうでもいいですよね。では、さっそく覗いてみましょう。

 起こさないようにふすまをそっと開けてっと……うわっ、暑いっ!


 これは堪ったものではありません。

 いくら夜が明けたばかりだとはいえ、窓を閉め切っていては暑くて当たり前です。

 雅彦君はいったい何を考えているのでしょうか。もしかして暑さに鈍感なのでしょうか。

 あたしには理解不能です。


 さて、当の雅彦君ですが、掛け布団の代わりにタオルケットを掛けて寝ています。まったく起きる様子はありません。

 では少し近寄ってみましょう。


 あらあら、凄い寝汗で敷き布団のシーツがびっしょり。エアコンはあたしがいた部屋に設置されているのに襖で仕切ってしまえばこうなるのは当然でしょう。

 ホントよくこんな暑いところで寝ていられますね。あたしなら耐えられずにすぐ起きちゃいます。

 とは言ってもあたしは幽霊ですから睡眠は必要ありませんけどね。


 それよりもこれじゃ寝苦しいでしょうから襖の一方だけを開けたままにしておきましょう。起こさないように足下の襖だけをこのままにしておけば快適に寝ていられて眩しくもないでしょう。

 でも、あとでちゃんと驚かせて起こしちゃいますけどね、クスッ!

 果たしてどんなリアクションを見せてくれるのでしょうか。今からとても楽しみです。


 それにしても殺風景な部屋です。三段ボックスが二つと収納ケースが三つ重ねた状態で置いてあるだけで他に何もありません。

 あと作業着とカッターシャツがハンガーに掛けられているだけです。これはお仕事に着ていくもので乾かしているんでしょう。

 ちなみに作業服は倉庫のバイト用でカッターシャツはファミレスのバイトで着ているものです。なのに部屋干しなんかして臭いがついたらどうする気なんでしょう。

 ファミレスのお仕事は特に匂いとか身だしなみが大事なのに、これじゃ臭いってお客さんから嫌がられますよ。男の子ってホントこういう事に鈍感ですよね。


 あら!?

 よく見れば別の所に下着や靴下なんかも干してあります。これではどれも臭いがついてしまいますよ。

 やはり男の子の一人暮らしってダメですねぇ。


 よしっ、ここはあたしがお外に干してあげることにします。


 まずはそっとハンガーごと取って、ガラス扉の鍵もゆっくり外してから開いてっと……。


 うわっ、今朝は風が強いです。でもこんなに強い風だったら臭いも吹き飛ばしてくれそうです。

 では、物干し竿の代わりに張ってある細いロープに洗濯物を掛けておきましょう。これで臭いの心配はなくなるでしょう。


 えいっ!


 あ~~ん、もうちょっとで届くのに!


 こういう時に地縛霊ってとても不便です。

 ベランダに出られないから背伸びしないとロープに届きそうにありません。

 でも、雅彦君のためにもここはあたしが頑張らなきゃ!


 まずは作業着を掛けて、次にカッターシャツを……。


 うわっ、風がまた一段と強くなって……!


 あっ! 

 カッターシャツが風で……いったいどこまで飛んでいくのでしょうか?

 袖が靡いて羽ばたいているみたい。

 もう遠くまで飛んじゃって見えなくなってしまいました。


 ………………

 …………

 ……


 さて、気を取り直してそろそろ起こしてあげましょう。

 でもその前に、三段ボックスのチェックをしたいと思います。


 まず一つ目は……これは参考書とかお勉強に使うものばかりですね。資格を取るための本やレポートを書くために使うような難しい本がズラリと並んでいます。

 向こうの部屋にも参考書とかありますけど、おそらく向こうの本棚に入らなかった本をここに並べているのでしょう。

 さすが雅彦君です。寝る前でもちゃんとお勉強はしているようですね。

 もう一つの三段ボックスは……上の段はマンガです。男の子が好むアクションものがタイトルごと順番に並べられています。

 その下は小説ですね。文庫本や新書がジャンル別に並んでいるようです。雅彦君はけっこう几帳面みたいですね。

 で、最後の一番下は……これは雑誌ですね。スポーツにグルメ、それから時計やブランドもの雑誌が……んっ!?


 ぁ~~~~~っ!!(小声で叫んでいます)


 何よ、このエッチな本!

 しかも何冊も持っているなんて!


 もうっ!

 雅彦君って隠れてこんなのばかり見てたのね。

 これは没収です。起こしたあとで捨てちゃいます。

 いったいこんなエッチな本をいつから持っていたんでしょう。ホント、エッチなんだから!

 え~~っと、どれどれ……。


 うわぁ~~~~っ、裸の女の人が縄でグルグルに縛られてる!

 こっちは……こんなのダメ、とても言えない格好の表紙です。


 もうっ! こんなのここにいっぱい隠し持っているなんて!


 …………………………でも、どれも……なんか凄い!


 あんな格好や、こんな格好で男の人と……その、なんて言うか、もの凄いの一言です。


 ゴクリっ!


 次のページは……ひゃあああーーーー!

 何よこれぇぇーーーーっ!


 しまっ…………………………オホンッ!


 起きてない。ふぅ、よかった。

 おもわず大きな声を出しちゃいましたが目を覚ましていないようです。

 では、いつの間にか散らかったエッチな本をさっさと片付けて、そろそろ女性読者さんにはお待ちかねの寝顔を見てみましょう。


 まだスヤスヤと寝ています。雅彦君の寝顔、可愛いかも!

 さて、タオルケットを捲ったら起きるかな~~ぁ?


 ぅぁ~~~~~っ!!(またまた小声で叫んでいます)


 雅彦君って裸で寝ていたの。パンツだけは穿いているけどこれじゃ寝冷えしちゃいます。

 それにあたしには下着姿でうろつくなって言っておいて自分はこんな格好で寝ているなんてズルイです。


 えっ、寝顔がどんな感じかですって?

 ルックスがそんなに気になります?


 それは本編で雅彦君の特徴を描かれていないので教えることはできません。皆さんのご想像にお任せします。

 でも体型ぐらいならドケチな作者も許してくれるでしょう。


 雅彦君は意外と筋肉質です。ギュッと引き締まっていて分かり易く言えば細マッチョという感じでしょうか。

 さすが倉庫で重い荷物を運んでいるだけのことはあります。それとも普段から身体を鍛えていたりしているのでしょうか。腹筋の辺りも薄らとモコモコって感じになっています。

 筋トレなんかしているとこ見たことないのにいい身体つきをしているなんて、人って見た目とはけっこう違うものなんですね。

 そうだ、まだ起きる様子がないのでちょっと指で触ってみましょう。


 ふむふむ、胸板は思った以上に厚いです。押すと表面は柔らかいのに筋肉がしっかりしていてカチカチですね。

 では、次にお腹を触ってみましょう。


 ほほう、こちらは凄くカチカチです。腹筋の割れが見た目以上にモコモコってしていてこれは何て言っていいのやら。

 上半身の逆三角形の具合が不必要にムキムキってないのがいい感じですね。

 では、もう少し目線を下の方に移していきましょう。


 あっ! あたしとしたことが黒いボクサーパンツを見てちょっとドキドキしてきました。

 だって股間のその……膨らんでいるところがとても大きいので……やだ、あたしったらなに言ってんだろう。


(もしかして物語が進んでいけば雅彦君とあたしはいずれ……ゴクリッ!)


 あ~~~~ん、これ以上の実況ができません。せっかくの寝起き突撃レポートなのにもうドキドキし過ぎて、その……。

 なんだろう……雅彦君の汗の匂いを嗅いでいたら、なんかもっとドキドキしてくる。


(ダメェッ! 雅彦君のお腹を触っている手が勝手に動いて、段々と……それ以上は!)


「おい、人の身体を触ってお前、なにやってんだ!?」


 あれ、起こしちゃた?


(あぶない、あぶない! もう少しで大変なコトに! これって放送コードはギリギリセーフですよね)


 起こすまで寝ていればよかったのに。


「襖を開けっ放しにされたら寒くて寝ていられるかって! そんな冷たい指でいつまでも触られていたら誰だって起きるに決まってんだろ!」


 アハハハハ、とりあえず寝起きの突撃レポートは成功ってことで。


「何が成功だ! それより干してあった服はどこにやった?」


 それは部屋干しで臭くならないかって思ってお外に……。


「なに考えてんだよ。風か強すぎるから部屋の中に干してたっていうのに。それに今日は午前中から雨がふるんだぞ。濡れたらどうする」


 そんなの知らないわよ!


「天気予報で言ってただろっ! 台風だって近づいているって」


 だって、だって……。


「だってじゃないっ!」


 あたし天気予報なんて見てないんだから知らないに決まってるじゃない!


「開き直るな。って……おい、シャツがないぞ! どこにやった?」


 それは、そのぉ……。(目は遙か遠い空へ)

 ここにはもう無いと言うことで……お邪魔しましたーーーーっ!


「コラッ、消えて逃げるんじゃねぇーーーーっ!」



――返事はない。ただの幽霊のようだ――



    番外編 おしまい


 次回は本編に戻ります。

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