5月9日 (水)・後
この後も二人の投手は互いに譲ることなく、共に三者凡退に打者を打ち取っていった。
3回が終わって両チーム0点。
このまま投手戦に持ち込まれると思われた矢先、試合は急展開を迎える。
無音続きだったA組側から、ボールを打つ乾いた音が何度も響き渡った。
「いいぞっ! 回れ回れ!」
A組の打順が一回りしたところで、友也の球が急に打たれるようになってしまったのだ。
何とかアウトを取っていくも先に2点を先制されてしまう。
「何で、いきなり打たれるようになっちゃったんだろう?」
「二順目で速さに慣れられたんだ。さすがに現役野球部は伊達じゃないな」
「取られたもんは取りかえしゃいいんだよ」
「そうだね」
A組に負けじとこちらも攻め気を強くしていくものの、点を取るどころか一人も塁に出ることなく、この回も僕達は三者凡退に終わってしまう。
4回表のA組の攻撃を走者を出しながらも何とか0点に抑えるが、いつまでたっても反撃の手立てが見つからず、徐々にB組は敗戦ムードになっていった。
「さてと、次は俺様の打順か」
「この回で、せめて1点は返しておかないとキツイな」
友也の言う通り、ここで打開策を見つけなければB組の負けは必至だ。
「そうだね、このままじゃ終われないよ」
こうしてチームを鼓舞してみるものの、やはりこちらの空気は重い。
本当に僕達に橘君の球を打てるのだろうか?
僕の頭の中にもそんな弱気な考えがよぎってしまう。
「よぉ、一つ確認しておくぜ」
そんな僕達の気持ちを察してか竜二が誰に向けたものでもなく言葉を綴った。
「別に俺様が一人でホームランを打っちまっても構わねぇんだろ?」
竜二の発言に皆が目を丸くした。
こんな状況でも、まるで勝負をあきらめていない竜二の一言で、先ほどまで僕達を包んでいた重い空気が消え去っていく。
「……うん、遠慮はいらないよ。がつんと打っちゃって、竜二」
「言ったからには打てよ。そのセリフ、俺も言おうとしてたんだから」
「おう、男に二言はねぇよ」
打席に向かう竜二の背中はとても頼もしく、いつもより大きく見えた。
そうだ、こんなところで諦めてどうするんだ。
僕の心にも再び闘志の炎が燃え盛っていく。
打席に立つ竜二の目はまさに獲物を狙うそれだった。
橘君の事を敵視しているからこそ、負けず嫌いの竜二にとってはこの試合は絶対に譲れないのだろう。
まずは球筋を見極めるかのごとく、竜二は一投目、二投目とボールを静かに見送った。
「どうしたんだい、バットは振るものだよ。それとも、もう振っても無意味だってあきらめたのかな?」
「うるせぇよ。とっとと次を投げやがれってんだ」
極限に集中力を高めている今の竜二には、橘君の挑発も何の意味もなしていなかった。
「やれやれ、じゃあこれで終わりだ!」
ボールが投げられたと同時に竜二が目を見開く。
球種はまだ分からないが、ここで振らなければ竜二の三振は確実だ。
前回の打席同様、竜二はボールと平行にバットをフルスイングした。
だが、ボールは下へと軌道を変えていく。
「くっ……オオォラァァッ!!」
雄叫びと共に竜二は全身の筋肉をフル稼働させ、バットの軌道を無理やりズラした。
ボールはバットの側頭部に当たるものの、普通ならどう見てもピッチャーフライのコース。
だが、本気になった竜二は普通などというカテゴリーに分類される男ではないことを僕は知っている。
高く打ちあがったボールはグングン飛距離を伸ばし、大きな弧を描いて飛んで行った────
「入れりやがれぇっ!」
おしくもホームランにはならなかったが、ボールは外野のフェンスに直撃。
二塁で止まった竜二は満足していなかったものの、それを見ていた僕達のベンチからはどっと歓声が上がった。
「ナイスバッティング、竜二!!」
竜二が塁に出たことでB組の士気がさらに高まる。
「バカな……真芯からは完全に離れていたのに。僕の球を力だけであそこまで運んだのか……!?」
打たれた橘君自身も竜二の力に驚いているようだった。
ベンチプレス200キロは伊達ではない、パワーだけなら竜二は十分メジャー級なのだ。
「へっ、こりゃ俺も負けてられないな」
竜二に触発され、ヤル気に満ちた友也が打席に立つ。
「今のはマグレに決まってる。僕がB組なんかに打たれるはずがない!!」
強気な発言の裏には確かな動揺が見て取れた。
今の橘君は、いつもの絶対の自信が揺らいでいる。
そんな状態で投げられたボール。
「そのスライダーは、もう見飽きたぜ!!」
そんな球が今の友也に通用するはずもなかった。
「……バカなっ!」
三塁側に飛んで行ったボールは外野の頭上を越えて落ちた。
竜二がホームに帰り、まずは1点を返す。
「お帰り竜二」
「次は亮の番だぜ、男を見せろよ」
「うん、やるだけやってみるよ」
とは言ったものの、僕の力では竜二や友也のように球を打つのは難しいだろう。
だからって二人に頼り切りでチームの足だけは引っ張りたくはない。
僕は僕の出来ることをするだけだ。
打席に立つ前に、二塁にいる友也にあらかじめ決めておいたサインを送る。
それを了承した友也も小さく頷いて答えてくれた。
「クソッ! 僕が点をとられるなんて」
好都合なことに、橘君はさらに頭に血が上ってしまっているようだった。
この機を逃す術はない。
橘君が投球モーションに入ると同時に友也が塁を蹴って走り出す。
「盗塁だ!!」
それに気付いた捕手が叫ぶがもう遅い。
ボールは橘君の手から離れ、キャッチャーミット目がけて飛んでくる。
さらに幸運なことに捕手の声に驚いた橘君のボールは、ややすっぽ抜け気味だった。
だが、欲をだして大ぶりをするようなことはしない。
僕は向かってきたボールにバットを振らずに手前に転がすように当てた。
そう、僕の狙いは……
「セーフティーバントだと!?」
やはり皆はバントの存在をすっかり忘れていたようだ。
ボールを打てずとも、僕にだってバッドに当てることくらいは出来る。
当然バントの警戒をしているわけもなく、三塁側に転がったボールを慌てて三塁手が拾いに走った。
「三塁はもう無理だっ、ファースト!!」
捕手の指示に従い、捕球されたボールが一塁へと投げられる。
もちろんこれだけで終わるつもりはない。
僕は出来る限りのスピードで一塁に向かい、そして体ごと塁に飛び込んだ。
間に合ええぇ……!!
タイミングは、ほぼ同時。
「セーフッ!」
「よしっ!」
判定の声を聞き、小さくガッツポーズをとる。
「よくやったぞ、亮!」
遠くから聞こえる友也の声。
見ると無謀にも友也は三塁を蹴って、そのままホームを目指して走っていた。
「ファースト! 早くこっちにボールを投げろ!!」
慌てて一塁手もボールをホームに返す。
「おおおおぉぉぉっ!!」
友也が叫びながらホームに滑り込むと同時に捕手もボールを受け取った。
大きな砂煙が舞い上がり二人の体がぶつかったように見えた。
グラウンドに緊張が走る中、砂煙が徐々に晴れていく。
「セーフッ! セーフッ!」
高らかに宣言された判定にB組のベンチから大きな歓声が上がる。
「よっしゃー、これで同点だ!!」
「このままいけば勝てるぞ!」
試合は同点の振出しに戻る。
だが、流れは確実にこちらに向いていた。
「……れ……のれ……おのれ……」
ふと、皆の歓喜に交じる不穏な声が聞こえた。
マウンド側から聞こえるその声の主は投手の橘君。
俯いたまま、何事かを呟いていたその時、
「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれぇぇっ!!」
突然、そう叫んでグローブを地面に叩きつけた。
「お、おい、橘……落ち着けって……」
見かねた捕手がなだめに入るが
「うるさいっ! 僕が打たれるはずがないんだ!! そうだ速さが足りない……もっとだ、もっともっと……誰にも打てないくらい速く投げてやるよっ!!」
聞く耳を持たなかった。
「何だありゃ。橘の野郎、ついに頭がイカれちまったのか?」
「プライドが高そうだからな。格下だと思ってた俺達に打たれて相当頭に血が上ってるんだろ」
「普段から俺様達を見下すからこんなことになるんだ。ザマァだぜ」
なだめに入った捕手も心配そうな顔をしながら定位置に戻り、再び試合が再開された。
「は……?」
鬼のような形相で放たれた橘君の投球に打者が素っ頓狂な声を上げる。
打者が気付いた時にはすでにボールはミットに収まっていた。
投げられた球は、速さのみを追求したであろう剛速球。
その球筋は先ほどまで華麗な投球をしていた橘君のものとは思えないほどに荒々しいものだった。
ストライクゾーンにさえ入ればそれでいいという、コントロールもへったくれもない球。
まるで竜二が投げているかのように錯覚するほどだ。
その剛速球に三連続で打者が打ち取られ5回を迎える。
「へっ、面白くなってきたじゃねぇか」
勝負を楽しむ竜二とは正反対に僕の中にはわずかな不安が生まれていた。
試合はもう終盤だ。
ここからは1つのミスが敗北に繋がってしまう。
そんなプレッシャーが沸々と僕の足元から上ってくる。
進展がないまま5回も終わり、2対2の同点。
さらに次の6回をお互い点が入らないまま迎えた最終回。
「しまった!」
僅かな気の乱れからか、僕はただのフライを取りこぼし、さらに1点をA組に許してしまった。
「皆ごめん……」
チェンジになりベンチに戻った僕は真っ先に頭を下げた。
「一々謝るな。どのみちここで点数をとれなきゃA組には勝てないんだ」
謝る僕を慰めるわけでもなく友也はそう言い放つ。
そうだ……友也の言うとおり、今は落ち込んでいる場合ではない。
2対3で迎えた僕達の最後の攻撃。
今考えるべきは、どうやってA組から点を奪い取るかだ。
「丁度いいことに次の打順は竜二からだ。さっきの勢いで逆転サヨナラしてやろうぜ」
そう言って友也は僕に拳を突き出してきた。
「……うん!」
僕もそれに答えるように拳をつき合わせる。
三度、竜二が打席に入っていった。
「オラァ!!」
バットに当たったボールは大きな弧を描き飛んでいくが、球の勢いを返しきれなかった打球はセンターフライに終わってしまう。
「クソッタレが!」
苦虫を噛み潰したように竜二が悔しがる。
橘君のキレのある変化球の次は、球の重さに苦しむことになった。
ただ当てに行くだけのスイングでは、ボールに力負けしてしまう。
「やべっ、やっちまったか!!」
そう声を上げた友也。
スイングに思い切りが足りず、力負けしたボールはゴロゴロと三塁線を転がっていく。
「うわっ!」
しかし球を捕球しようとした三塁手の手前でボールがあらぬ方向にバウンドした。
イレギュラーバウンドというやつだ。
「ふぅ、あぶねぇあぶねぇ」
何とかセーフになった友也が安堵の声を漏らす。
「よっしゃ、友也のヤツが塁に出たぜ!」
まずは同点のランナーが出たことを喜ぶ。
だが次は僕の打順だ。
ヘタにゴロを打てばそのまま二塁、一塁とダブルプレーで試合が終わってしまう可能性も十分にある。
変われるものなら誰かに変わってもらいたいほどのプレッシャーが僕の背中にのし掛かっていた。
「よーし亮、決めちまえ!!」
バンッと竜二に背中を叩かれ、活を入れられる。
ここで終わってしまうかもしれないと言うのに僕の事を信頼してくれるセリフがとても嬉しかった。
僕だって皆の期待に応えたくないわけではない。
最初からあきらめるのはとっくの昔に卒業したのだ。
僕が打席に立つと同時にバントを警戒してか守備が少し浅くなった。
もう先ほどのような奇策は使えない。
けれどもそんなものもう使うつもりはない。
一つ深呼吸をし、集中力を高める。
「あれー、まだ男子終わってないじゃん」
「本当だ」
その時、体育館での試合を終えたであろう、女子達が次々にグラウンドに出て来るのが見えた。
いつの間にか、僕らの後ろは女子の観客で埋まっている。
「B組負けてるよ」
「せっかくだから、応援くらいしてあげよっか」
「ちょっと男子! もっと頑張りなさい!!」
B組の女子達が激を飛ばしてくれる。
「神谷君! 頑張ってくださーい!」
その中にはよく聞き覚えのある声も交じっていた。
応援してくれるのは嬉しいのだが、大勢に見られているという感覚のせいで、更にプレッシャーが高まってしまう。
「落ち着け僕……集中だ集中……」
自分に言い聞かせるように、何度も小さく呟いた。
緊張に震えていた足を鎮め、再び橘君を見据える。
「ふぅ、よし。来いっ!」
気合を入れて臨んだ一投目
バッドを振る暇もなく、あっという間にボールがミットに収まった。
初めて体感する速度に息を飲む。
おそらく友也よりも速いのだろう。
けれど、想像以上ではない、そんなことはもうわかっていたことだ。
僕には、まだ一つだけ考えがあった。
橘君は速さを意識し過ぎているあまりにさっきからストレートしか投げていない。
真っ直ぐしか来ないとわかっている以上、ボールに当てることだけはそう難しいことではない。
問題はタイミングだ。
球のスピードに合わせて、バッドを振る速さを調節する。
僅かにバッドを振り遅れ、ボールは後ろのベンチへと飛んでいった。
よしっ、これなら……
そしてツーストライクに追い込まれたここが、僕の勝負の境目だ。
ずっと橘君の投球を観察していて偶然だが一つだけ気付いたことがあった。
本人の癖なのか、橘君は打者を追い込むと次の球は必ず外角やや高めに投げるのだ。
それは冷静さを失っている今も変わっていない。
これを確信したのはつい先ほどの事だが、そうと分かってしまえばこっちのものだ。
タイミングはもう大体掴んだ。
後はボールの勢いに負けないように思い切りバッドを振りぬくだけ……
バッドに当たってさえしまえばあの球の勢いだ、ホームランも夢ではない。
そう考え、全身全霊をかけた三投目。
予想通り球は、ストライクゾーン中心から、外角高めに放られた。
今だっ!!
タイミングを見計らい、ボールが来るであろう位置に全身の力を込めてバットを振りぬく。
だが、その時に僕は違和感を感じた。
いつまで経ってもバッドにボールの重みが感じられない。
時間にしてみればほんの一瞬だが、僕は確認するべくボールの方に視線を向ける。
そして僕は確かに見た。
ボールがバッドの下を抜けていくのを……
「な……!?」
確認した時にはもう手遅れだった。
バッドはボールにカスることもなく空しく空を切った──
「ストラーイクッ!バッターアウトッ!」
見るとボールは低めに構えられた捕手のミットに収まっている。
そう、最後の球は変化球。
それは直線を行くストレートではなく下に変化するフォークだった。
「……ふふ……あははははははっ!! この場でバントなんてする君なら、きっと僕の癖を読んで逆手にとると思っていたよ。……けど残念、これでさっきの借りは返させてもらったよ」
僕のさらに一手先を読んでいた橘君はさっきまでの怒りが嘘のように声高々に笑い声をあげた。
裏をかかれたと、今さら後悔するがもう遅い。
最後のバッターも三振に打ち取られ、試合は2対3でA組の勝利に終わったのだった────
午前の授業も終わり、僕達は今日も屋上で昼食をとる。
「クソッ、腹が立つぜ! あんな奴らに負けるなんてよ」
「仕方ないさ、みんな一生懸命やった結果だ」
体育の後もずっと不機嫌に荒れていた竜二を友也がなだめる。
「はぁ……」
そういう僕も、先ほどの事を考えては、ずっとため息ばかりついているが……
「神谷君も、そんなに落ち込まないでください」
そんな僕に白河さんは優しく声をかけて慰めてくれた。
「あはは……でも僕は友也達の足を引っ張ってばっかりだったからなぁ」
「何言ってるんだ。お前のおかげで一時は同点まで追い上げたんだぞ」
「でも、あれは友也が無理してホームまで突っ込んでくれたからだよ」
「それでも亮の作戦があったから点が取れたんだ。もっと自分に自信を持て」
だが、やはり最後の打席が悔やまれる。
久しぶりに持った絶対の自信を跡形もなく粉々にされてしまったのだから。
あそこで自分が打てていればと思うとどうにもやるせない気持ちになった。
白河さんの話では女子もバレーボールでA組に負けてしまったらしい。
何でも、いつも橘君と一緒にいるA組の千歳さんが強かったとか……
試合中の橘君のことを思い出す。
自信家だが、それに見合うだけの実力も持っている。
僕とは大違いだ。
僕が思っているよりも生徒会のメンバーはスゴいのかもれない。
そんなことを思いながら僕は昼休みを過ごすのだった────
体育で体力を使い果たしたのか、午後の授業は皆、終始、眠たそうにしていた。
竜二に至っては普段よりもさらに深い眠りに入っているようだ。
「おい、いい加減起きろ竜二。授業終わったぜ」
放課後になっても爆睡していた竜二を起こす。
「ん? ああ、ふぁーあ……っともうそんな時間か……」
「ブッ! アハハハハハハハハハハッ!」
竜二が顔を上げると同時に僕達三人の間に笑いが走った。
「フフフ……笑ったら、フフ……悪いですよ……」
「白河さんこそ、ハハハ……!!」
「な、何だぁ……?」
自分の顔を見られて笑われている竜二はあっけらかんな顔で戸惑っていた。
「鏡で自分の顔を見てみなよ」
「どうぞ」
白河さんが取り出した手鏡を竜二に手渡す。
「おお、すまねぇな…………ってなんじゃこりゃあああぁぁぁっ!!」
鏡を覗きこんだ竜二の驚きが教室にこだまする。
竜二の顔には、いつの間にかマジックで様々な落書きが描かれていた。
額に肉、ほっぺのぐるぐる模様。
典型的な落書きだが友也の腕にかかれば、それも芸術の域に達する。
「アッハハハハッ! いつまでも寝てるお前が悪いんだぜ」
「友也ァッ! テメェー!!」
「安心しろ。ちゃんと水性で描いたから。じゃ、今日はバイトがあるから先に帰るぜ!!」
シュピっと手を上げて過ぎ去っていく台風の様に友也は逃げて行った。
「そういう問題じゃねぇ、待ちやがれっ!!」
竜二も友也を追い掛けて慌てて教室から出ていく。
「僕達も帰ろうか」
「そうですね」
微笑ましい二人の様子を見て、僕達も教室を出ていくことにした。
結局、竜二は友也に逃げられ、その日は三人で帰宅した。
家に到着し、夕食の支度をするために冷蔵庫の中を確認する。
しかし冷蔵庫の中には、もうほとんど食材が入っていなかった。
そういえばと一昨日のことを思い出す。
白河さんに料理を作ってもらってから、材料を買い足すのすっかり忘れてしまっていた。
食材は明日にでも駅の方に買いに行くことにし、今日はインスタントで済ませることにする。
そうして僕の今日は終わっていった──────




