【第0章】理の変動者[0-0]
こんにちわ、紅の豚丼です。小説は個人で書いていますが、投稿するのは今回が初めてになります。むず痒い文章になってしまうと思いますが、何卒生暖かい目で読んでもらえたら嬉しく思います。それではどうかよろしくお願いいたします。
Paradigm Shift【1】
プロローグ
桜華繚乱夜行
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ずっと昔の話。
これから話すのは、
私が『一つの生物』として生きていた時代の話――
今の私たちからすれば、お遊び程度の事。
だけど、当時の私たちからしたら、
人類の存亡を懸けた闘争だった。
これは、何世紀にも渡り繰り広げられていた『神様の遊戯』と
選ばれた犠牲者たちの闘いの記憶の話。
私は、ある“一人の人間”を心から愛し、尊敬している。
今までに、何の変化もなかったこの遊戯に、
一つの劇的な変動をもたらしたのだから。
とある用語では、この事をこう呼ぶ。
――Paradigm Shift――
と。
その全てを、語ろうと思う。
――――――――――――――
いつの日かの満月の夜、約束の場所にて、私は大切な人を失った。
彼の刀は、桜の木の幹に、己の躯を貫いて、動かなくなっていた。
彼の頬に手を当てる
冷たく硬い
まだ温もりが在るものだと思っていたが、それは単なる幻想だった
大切な人が死んでいるというのに
不思議と涙は流れない。
失った反動が大きすぎて、暫くその場に立ち尽くしていた。
「乱れる桜の花びらは、滅びたその身を染めてゆく…」
「儚き命は息吹かれて、永久の眠りに誘い込む…」
「呪いの桜は今日も、誰かの命を食んでゆく…」
私は、死にたいと思った。
けれど、呪われたこの躯では、それは夢のまた夢。
ならば生きよう。
貴方の想いを胸に秘め、
朽ちぬ躯を小さく屈め、
何年も、何百年も変わらぬ想いのまま、
私は静かに瞼を閉じる。
いつか来る、その日まで――
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もしも各々に、運命というものがあるとするならば、それは、必然的に受け入れなくてはならないものだろうか?
今の僕には、ただ、その答えが欲しかった。
なぜこうなったのか
その真意がしりたかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ!」
僕は走っていた。ただひたすら走り続けて、必死だった。
目に見えるのに見えない『何か』から逃げていて。
「何…何なのあれは!!」
大声を上げて愚痴を言うも、『何か』には意味を成さなかった。
返ってくるのは静寂のみ。
ここは野山…雲間から射し込む月の光が、走る僕を常時照らす。
辺りを確認してなかったからか、木の根に足を取られ、3M程吹っ飛び、地面に叩きつけられる。
「ぐ…っああ!!」
鳩尾をもろに強打したせいか、すぐには身動きが取れなかった。
そして、僕を追いかけ続けて来た張本人、奴は現れる。
「待たんか、戯け者」
前方から声が聞こえる。重苦しそうに顔を見上げると、そこには大きな桜の木が佇んでいた。
徐々に雲は晴れ、月が完全に顔を晒す。
そこに浮かんだのは…
「狐…?」
「戯け、白狐と呼ばんか、見てわからんのか?」
桜の木の幹から降りて来たのは、白銀色の狐だった。
そして白い狐は、僕に向かい静かに語りかける。
「また会ったな、『天草 焔』よ…」
「……お前は、一体何なんだ?」
「私か?私は…」
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