賢者と昔の仲間
仮定が現実になりました。
…居留守使っちゃダメかな?
あーでも、使おうにもすでに家に侵入されてるし…。
「いい加減戻って来い。」
「…現実逃避ぐらい許せ。」
頭一つ分高いところから落ちる声は変わらず偉そうだ。
まあ、昔見た彼と同じ長命種達もたいてい偉そうな輩だったが。
あれだね、人間より優れた容姿と魔力が態度に表れてるんだ、絶対。
仮定…昔の仲間が突如訪ねてきました、どこで僕の結婚を知ったんだ。
出来ることなら嫁の視界に入る前にご退場願いたい。
本当なら誰か訪ねて来たことも気づかれる前に済ませてしまいたいんだけど、
今日に限って部屋から出る気配を見せない嫁の事だから絶対気づいてる。
まだ玄関口なのに、どんだけ気配察知に長けてるの…。
「過剰な干渉はしないと決めていたが、貴様の嫁は気になる。」
「十分な過剰な干渉だ、帰れ。」
「別に奪おうというわけではない、
一応知人の家族は把握しておかねば、いざという時に大変であろう。」
「いざ、なんて起きないから、帰れ。」
「その嫁が人間では治療できない病にかかったらどうする?
貴様は不老不死だから理解できない事態に陥るかもしれんのだぞ?」
「嫁も不老不死だ、帰れ。」
「は?嫁も…貴様いったいどこから嫁取りしてきたんだ?」
「うるさいな関係ないだろう、帰れ。」
「まさか…貴様もしや嫁ではなく、実験材料と結婚したという事ではないか?」
「潰すよ?」
呪文を紡ぐ必要もなく、本気の感情には魔力が乗る。
僕の本気を悟った彼が狼狽するのを冷えた気持ちで見る。
数百年前…およそ300年前の魔王討伐の仲間とて、嫁を害するなら容赦しない。
「ラ・オ「吹きとばせ、突風。」
未だ耳慣れない呪文と、人一人吹き飛ばすほどの風が目の前の彼を吹き飛ばす。
予想に違わずこちらを見る嫁の視線は怖い。
一気に血の気が引いていく僕に対して嫁は微笑む…目が笑ってないけど!
「火炎ねえ…家を燃やす気?」
「ごめんなさい、頭に血が上りました、ごめんなさい。」
顔面蒼白で謝りたおす僕と、頬笑みながら悪魔が背後に見える嫁。
その状況を彼は唖然見ていたそうだが、
この時僕は嫁の怒気を減らすこと神経を集中していたので、存在すら忘れていた。
次の話でもお仲間登場予定なんですが、これって前後編にすべきなのかな…。
次は癖のある夫婦が第三者を交えたのらくら会話(笑)
チート同士だとつっこまれない部分のつっこみがんばれ!