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【変神(ヘンシン)】で俺の考えた最強ヒロインをプロデュース!…したはずが、彼女たちの熾烈な争奪戦のターゲットになってました!?  作者: のびろう。
第13章 偽りの聖女と、王都に響く希望の歌

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逆転のシンフォニー!届け、私たちの本当の歌

絶望。

圧倒的な、絶望。

チームの心臓であるエミリアは、呪いの刃に倒れ、光を失った。

チームの盾であるクラウディアは、理不尽な暴力の前に砕かれ、意識を失った。


リゼット、ルージュ、菖蒲もまた、傷つき、あるいは捕らわれ、なすすべもない。

僕たちの英雄譚が、民衆の憎悪と、神を名乗るプレイヤーの嘲笑の中で、今、無残に終わろうとしていた。


僕の、プロデューサーとしての、物語が。

僕の、愛する、少女たちの、未来が。

僕は、歯を食いしばり、自らの、無力さに、ただ、打ち震えることしか、できなかった。


『…どうした、アルト・フォン・レヴィナス』


僕の脳内に、カイザーの、愉悦に満ちた声が響く。


『もう終わりか?お前の大好きな『絆』とやらは、この程度か?所詮、NPCの感情など、俺が少しパラメータを弄れば、簡単に壊れてしまう、脆いプログラムに過ぎんのだよ』


その、どこまでも傲慢で、どこまでも冷たい言葉。

それが、僕の心に、最後の火を灯した。


(…違う)

(違う…!)

(彼女たちの心は、お前の創った、無機質なプログラムなんかじゃない!)

(彼女たちの輝きは、お前のような、空っぽの神には、決して理解できない、本物の魂の輝きだ!)


そうだ。

民衆を傷つけず、二人の強敵を退ける。

それは、不可能に近いミッションだった。


だが、僕の脳内には、すでに逆転のシナリオが描き出されていた。

科学者としてではなく、ヒーロープロデューサーとして、僕が、僕の愛するヒーローたちを、信じ抜いた、唯一の、奇跡の脚本が。


僕は、通信機に、最後の指示を、魂を込めて叫んだ。


「菖蒲君!聞こえるか!君の、その最速の足で、エミリアさんの元へ!僕の、最後の切り札を、彼女に!」


僕が、懐から取り出したのは、一本の、注射器だった。

その中には、僕自身の生命エネルギーと、プリズム・チャームの基幹魔術回路から抽出した、超高純度のマナ粒子を混合した、蒼く輝く液体が満たされている。


名付けて、『リブート・シークエンサー』。

対象の魔術回路を、強制的に再起動させる、荒療治だ。

下手をすれば、エミリアさんの身体が、暴走するエネルギーに耐えきれず、崩壊しかねない、危険な賭け。


だが、僕は、信じていた。

彼女の、その優しすぎる魂が、決して、力に飲まれたりはしないと。


「御意!」


菖蒲は、一瞬の躊躇もなく、僕の指示に応えた。

彼女は、最後の力を振り絞り、煙玉を地面に叩きつける。


爆炎と煙が、一瞬だけ、ノクスの視界を遮った。

その隙に、彼女は、影となって地を駆け、倒れていたエミリアの元へとたどり着くと、その首筋に、僕の託した注射器を、深々と突き立てた。


「ぐ…あああああああっ!」


エミリアの身体が、蒼い光に包まれ、激しく痙攣する。

その、あまりの苦悶の表情に、リゼットが悲鳴を上げた。


「アルト!あなた、エミリアさんに、何を!」


「信じろ!彼女を!僕たちの、光を!」


僕の叫びが、現実となる。

エミリアの身体から、呪いの紫色の紋様が、蒼い光によって、焼き尽くされるように消えていく。


そして、代わりに、以前よりも、遥かに強く、遥かに温かい、翠色の光が、彼女の身体から、溢れ出した。

彼女は、ゆっくりと、その瞳を開いた。

その瞳には、もう、苦痛の色はない。

全てを赦し、全てを受け入れる、聖母の、決意の光が宿っていた。


「…皆さん…ごめんなさい、です…わたくし、もう、大丈夫ですから」


その、あまりにも優しい、しかし、鋼のように強い声。

チームの、心臓が、光が、今、戦場に、舞い戻った。


「エミリアさん!」

「エミリア殿!」


「さあ、反撃開始だ!」


僕の指示一下、プリズム・ナイツは、絶望的な状況下で、完璧な連携を見せる。

エミリアの癒やしの光が、倒れていたクラウディアを包み込み、その意識を覚醒させる。

リゼットとルージュを縛っていた、影の刃も、その聖なる光に触れた瞬間、霧散した。


「クラウディアさん、ルージュさん!民衆を!」


リゼットが叫ぶ。

クラウディアのナイト・ブリザードが、巨大な氷の壁を生成し、殺到しようとする民衆の波を、押しとどめる。

ルージュのエレク・ハートが、紫電の鞭で、レックスの巨大な戦斧を受け止め、その動きを封じた。


そして、僕が解析した疫病の発生源…大聖堂の鐘に仕掛けられた呪詛の魔導具を破壊するため、菖蒲とエミリアが動く。


「ノクス!お前の相手は、この拙者でござる!」


菖蒲のシャドウ・ストライダーが、ノクスの前に立ちはだかる。


「フン、一人で、何ができる」


ノクスが、冷たく言い放つ。


「一人では、ないでござるよ」


菖蒲が、不敵に笑う。


「拙者の背後には、常に、皆の心が、ありまする!幻夢セラフィック・フィールド!」


菖蒲の幻術と、エミリアの癒やしの光が、融合する。

ノクスの周囲の空間が、歪み、彼の、完璧だったはずの未来予測システムが、膨大な、偽りの情報によって、完全に麻痺した。


その隙に、エミリアが、渾身の治癒エネルギーを、天に掲げた聖杖に収束させ、一直線に、大聖堂の鐘へと放つ。


「届け、私たちの本当の歌!」


聖なる波動が、呪詛を浄化し、疫病が霧散する。

鐘に込められていた、禍々しい魔力が、断末魔の叫びと共に、消滅していく。


その瞬間、民衆を支配していた、狂信的な熱狂が、嘘のように、霧散した。

人々は、正気を取り戻し、自分たちの手に握られた石と、目の前で繰り広げられる、本物の英雄と悪の戦いを目の当たりにして、ただ、呆然と立ち尽くしていた。


「なっ…!?民衆の、負のエネルギー供給が…止まった…!?」


レックスの身体から、力が抜けていく。


形勢逆転。

狼狽するノクスとレックスに、僕たち、プリズム・ナイツの、五人の心が一つになった、究極の合体技が、炸裂する。


「私たちの、想いを!」

「この街を愛する、全ての人の、祈りを!」

「今、一つに重ねて!」

「神を名乗る、あなたに!」

「「「「「私たちの、答えを見せてあげる!!」」」」」


「「「「「プリズム・ギャラクシアン・シンフォニー!!」」」」」


五色の、希望の光が、二人の幹部を包み込む。

それは、もはや、暴力ではなかった。

ただ、圧倒的なる、愛と、絆の、輝きだった。


「馬鹿な…!この、俺様が…NPCに…!」

「カイザー様…申し訳…」


二人の幹部は、光の奔流の中で、なすすべもなく、その身体を粒子へと変えられ、強制的に、この世界から、ログアウトさせられた。

祭壇の上にいた、偽りの聖女セレーネ(イザベラの幻影)もまた、悲鳴と共に、光の中へと消え去った。


後に残されたのは、自分たちの過ちに気づき、ただ呆然と立ち尽くす民衆と、傷つきながらも、彼らを守りきった、五人の少女たちの姿だった。

一瞬の静寂。

それを破ったのは、一人の、小さな子供の声だった。


「…ヒーローだ…」


その、純粋な一言が、引き金だった。

誰からともなく、拍手が起こる。


一人、また一人と、その輪は広がり、やがて、大聖堂は、割れんばかりの、感謝と、謝罪と、そして、心からの称賛の、嵐に包まれた。

僕たちの、砕け散ったはずの信頼は、今、この瞬間、より強く、美しい形で、取り戻されたのだ。

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